【アルバム名】
HELEN MERRILL (EMARCY)
【リーダー名】
HELEN MERRILL (1954/12/22,24)
【パーソネル】
HELEN MERRILL (vo) CLIFFORD BROWN (tp) DONNY BANKS (fl)
JIMMY JONES (p) BARRY GALBRAITH (g) MILTON HINTON (b)
OSCAR PETTIFFORD (b,cello) OSIE JOHNSON (ds) BOB DONALDSON (ds)
【収 録 曲】
DON'T EXPLAIN / YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO /
WHAT'S NEW / FALLING IN LOVE WITH LOVE / YESTERDAYS /
BORN TO BE BLUE / 'S WONDERFUL
【内   容】
 @ さて本日はヘレン・メリルです。通称「ニューヨークの溜め息」。ニューヨ ークというところは雨が少ないところで、街のあちこちに池を作って水不足に備えてい るんですよね。それは「ニューヨークのため池」、地理的根拠なし。たぶんないと思う ぞ、ニューヨークにため池は。風呂に入るかわりに行水するのに使う、大きなオケみた いなものですかぁ?それは「入浴のタライけぇ?」最近はあまり見かけませんよね、タ ライ。昔、ウチにありましたけどね。風呂に浮かべてその上に乗っかって、そのまま底 まで沈んでいくという「日本沈没ごっこ」でよく遊びました。みなさんはやりませんで したか?日本沈没ごっこ。最近は私もオトナになったのであまりやらないようになりま した。
 
 さてこの『ヘレン・メリル』というアルバム、一般には『ヘレン・メリル・ウィ ズ・クリフォード・ブラウン』として知られています。いわゆるエマーシーのクリ・ブ ラ歌伴3部作(後の2つはダイナ・ワシントンとサラ・ボーン)の中でも最高傑作とし て知られ、あまりボーカル物を聴かないジャズ・ファンでも持っているアルバムとして は『ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン』と双璧でありましょう。かく言う 私も昔からこれだけは持っていて、いろいろ聴いてみたけどやっぱりコレが一番、とい う不動の位置を占めております。
 
 ンじゃ、1曲目の「ドント・エクスプレイン」。ビリー・ホリデイが作った(ア ーサー・ハーツォグが補作)不世出の名バラードです。ガルブレイスのギターと地味・ 上手のピアノのイントロがたまらんっすね。ハスキーボイスで「はっしゅな〜う♪」と 囁くように歌いだすヘレ・メリはまさにニューヨークの溜め息。浮気した夫を咎めるで なく、淡々と涙をこらえてセーター編んでる、アチラ版「北の宿から」のような歌です 。だいぶ違うけどね。セーター編んでないし。「口紅をふきとって、黙っていてちょう だい。言い訳はなさらないで。」というくだりが個人的には好きです。ブラウニーのミ ュートソロも短いながら歌心に溢れております。
 
 2曲目、おそらく日本で一番よく知られているジャズ・ボーカルであろう「帰っ てくれたら嬉しいやん」。なんで大阪弁や。この曲名、「ユード・ビー・ソー・ナイス ・トゥ・カム・ホーム・トゥ」で曲名俳句を作ってみましょうか。
 
  物を言う土瓶 そう無いっす 10日もホモと 捜しても
 
10日間ホモと一緒に捜しても、物を言う土瓶はそうそう無いものなんだなぁ、と いう人生の厳しさを詠んでみました。「物を言う土瓶」を手に入れて見世物にして大儲 けしようと思っても、なかなかそうはうまくいかないモンなんですよねぇ、世の中は。 関サバ師匠からも同じ曲を詠んだ句が届いていたハズです。おお、ありました。
 
(作品1) 湯土瓶庄内須藤噛頬武藤 (関サバ)
 
> 庄内産の土瓶を巡って須藤と武藤が激しい争い。
 
おお、やはり土瓶できましたか。しかも須藤と武藤を持ち出して全部漢字で決める とは!やはり師匠にはかないませんです、頬っぺた噛んでるしぃ。ということでクイン シー・ジョーンズのアレンジも素晴らしく、ブラウニーのソロがこれまた最高という曲 でありました。
 
 残りスペース少ないぞ。「ホワッツ・ニュー」。昔の恋人に街でばったり、とい うシチュエーションの歌です。アチラ版「おひさしぶりね」。ここでのブラウニーも素 晴らしいです。「恋に恋して」。クインシーのアレンジがいいです。チェロのピチカー ト・ソロもいい感じ。地味上手の小粋なピアノ、ブラウニーの歌心ソロと、伴奏陣も完 璧。「イエスタデイズ」もこの曲を代表する名唱です。「ボーン・トゥ・ビー・ブルー 」、難しい曲だけに聴きこむほどに深い味わい。最後は「ス・ワンダフル」。ほとんど 歌詞に意味がない。
 
  あなた煙草吸う? いや、吸わんだ 古くから
 
というわけで、やっぱり名盤ですね、こりゃ。


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