【アルバム名】
DANCING IN YOUR HEAD (A&M)
【リーダー名】
ORNETTE COLEMAN (1973/1976)
【パーソネル】
ORNETTE COLEMAN (as) BERN NIX (g) CHARLIE ELLERBEE (g)
RUDY MacDANIEL (b) SHANNON JACKSON (ds)
モロッコの皆さん
【収 録 曲】
THEME FROM A SYMPHONY (VARIATION ONE/TWO) / MIDNIGHT SUNRISE
【内   容】
「フリー・ジャズ」と呼ばれるジャズのスタイルがあります。フリー・ジャズと うのはどんなスタイルかと言うと、説明すると長くなるので簡単に言うと、フリーなジ ャズ。まあ、そういったものです。と、いつもなら書くところですが、今回はわりとヒ マなのでちょっと説明してみましょう。ジャズというのは即興で演奏されます。あらか じめ作曲されているのは最初と最後に演奏されるテーマの部分だけで、途中はすべてア ドリブで演奏されているんですね。専門用語で言うとインプロヴィゼイション。よって 、同じ曲でも演奏する人によって全然違う演奏になるし、同じ人でもやるたびに違う演 奏になります。ジャズに名曲なし。ただ名演奏あるのみ。なんて言われる所以です。ア ドリブと言ってもただ適当にやればいいというもんではなく、一応の規則があります。 曲にはコードというのがありますね。昔、中古のアコースティック・ギターを買って「 禁じられた遊び」を弾こうと思って挫折した人にはおなじみの、CとかD7とかいうや つ。で、曲を作ったら、その音符に合うコードをつけるわけです。ジャズのアドリブと いうのはこれを逆手にとって、曲のコード進行に合うような音を選んでアドリブでフレ ーズを作っていくわけです。わかりましたか。わかりませんね。説明している本人すら 、よくわからん。ようするに、アドリブで使える音には制限があるわけで、こういうの がビ・バップと呼ばれるスタイルであります。そのアドリブする上での制約をいっさい 無くし、なんでもアリにしてしまったのがフリー・ジャズ。難しく言うとそうなります 。簡単に言えば、フリーなジャズ。ま、そういったものです。ジャズのアドリブという のは初心者にはわかりにくいもんですが、特にフリー・ジャズとなるとまったくの意味 不明で、「ザ・忍耐」という世界ですね。
 オーネット・コールマンは1959年に『ジャズ、来たるべきもの』というアル バムを発表。これが元祖フリー・ジャズの作品だと言われます。しかし他の人は誰もつ いてこなくて、オーネットは「ジャズ、来なかった。」と言い残して引退。60年代に 復活。この間にトランペットとバイオリンをマスターした、と本人は思っているらしい 。すごいよなあ、オーネットのバイオリン。ほとんどマスオさん並だもんな。この時期 の作品としては『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン』が有名です。特に トランペットやバイオリンの入ってない『第1集』はオーネットの最高傑作である、と 思っている人が多い。彼の作品の中ではかなりわかりやすい部類ではあるが、それでも 初心者には辛いものがある。そこでだ。おもいきって70年代物にいってみよう。『ダ ンシング・イン・ユア・ヘッド』。プライム・タイムの原型がここにありますね。オー ネット言うところのハーモロディック理論の実践がここに聴かれます。ハーモロディッ ク理論というのは誰もなんのこっちゃよくわかってないという、恐るべき理論です。「 テーマ・フロム・ア・シンフォニー」ヴァリエーション1が15分37秒、ヴァリエー ション2が11分6秒。「ミッドナイト・サンライズ」は、ほとんどモロッコの民族音 楽なので無視。とにかく「テーマ・フロム・ア・シンフォニー」を聴きましょう。問答 無用でアルトを吹きまくるオーネットが最高にカタルシス。いけますぜ、これは。フリ ー・ジャズ嫌いの人にもお薦め。ボリューム全開で聴きましょう。近所から苦情バリバ リですね、多分。


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