【アルバム名】
FAR CRY (NEW JAZZ)
【リーダー名】
ERIC DOLPHY (1960/12/21)
【パーソネル】
BOOKER LITTLE (tp) ERIC DOLPHY (as,fl,b-cl) JAKI BYARD (p) RON CARTER (b) ROY HAYNES (ds)
【収 録 曲】
MRS.PARKER OF K.C. / ODE TO CHARLIE PARKER / FAR CRY / MISS ANN / LEFT ALONE / TENDERLY / IT'S MAGIC / SERENE
【内   容】
めっきり寒くなってまいりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。多分あなたは今、パソコンの前に座ってインターネットを閲覧しているところでしょう。くだらないホームページばかり見てないで、しっかり仕事(もしくは勉強、または睡眠)しましょう。さて今回はエリック・ドルフィーです。ドルフィーと言えば「馬のいななき」と形容されるわけのわからん演奏で人気のアルト奏者ですね。馬のいななきか。「国際秘宝館」でやってるやつですね。(←それは馬のマル秘ショー。まあ、ショーの中でいなないたりする場面もあるかも知れないが。)アルトの他にフルートやバスクラも吹きます。バスクラ。クラリネットがバスになったものですね。大切にしていたのに壊れてしまい、どうしよう、どうしよう、と思い悩んでいるうちに発狂してしまい、ついには「おー、ぱっけまらーど」になってしまうんだよな。クラリネット。
 私の場合、ドルフィーをどれか1枚ということになれば、この『ファー・クライ』ということになります。まともな選択ですね。だいたい、根が正直で常識的な性格なんだよね、ボクって。本作はドルフィーとブッカー・リトルの初邂逅を記したアルバムであります。ドルフィーとリトルのコンビと言えば「ファイブ・スポット」でのライブが白眉だが、スタジオ録音ではこの『ファー・クライ』がピカイチでしょう。ピカイチ。今でも使うか、こんな言葉。死語の世界か。ナウなヤングにバカウケだからな、このイカすホームページ。 1曲目、「K.Cのミセス・パーカー。」誰やそれは。と思った人はジャズに関する知識が甘いですね。K.Cというのはカンザス・シティ。K.C出身のパーカーと言えばチャーリー・パーカーに決まってます。いやしくもジャズ・ファンを名乗るなら、それくらいは常識として知っておくべきだね。(←態度でかい。)ミセスとなっているのはパーカーがオカマ化したのではなく、パーカーの母親に捧げた曲だそうです。リトルのソロがいかにもリトルらしい。で、ドルフィーのバスクラがすごい。すごく変だ。すごく変で素晴らしい。2曲目、「オード・トゥ・チャーリー・パーカー」はタイトルどおりパーカーに捧げられたオード。オードというのはヘルシーなタマゴではなくて賛歌ですね。イントロ部分でドルフィーのフルートがぴーひょろひょろひょろとうるさい。リトルのトランペットが哀しい。黒いインクが綺麗で、青いビンセンが哀しい。3曲目、「ファー・クライ」。個人的には最もドルフィーらしいと思うアルト・ソロが聴けます。5曲目、「レフト・アローン」。これぞ日本でのこのアルバムの人気を決定付けた1曲と言えるでしょう。マル・ウォルドロン作の超有名曲。これをドルフィーはフルートで演奏してます。フルートを吹くドルフィーはロマンチスト。ヘッドフォンで聴くとドルフィーが息を吸い込む音がよく聞こえ、ちょっとドキドキします。そんな私は息継ぎフェチ。個人的にはこの曲までで、残り3曲はオマケ。「テンダリー」なんかアルトの無伴奏ソロでマニアックすぎ。やっぱり「ファー・クライ」で変態アルトを聴いた後の「レフト・アローン」だな。CDを1→2→3→5とプログラムしますね、私の場合。
 「音楽は終わると空中に消えてしまい、二度とそれを取り戻すことは出来ない。」という言葉を残し、36歳でベルリンに客死したドルフィー。「地球人離れした」と言われるドルフィー。地球の男に飽きた人にはいいかもしれない。


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