【アルバム名】
THE ART PEPPER QUARTET (TAMPA)
【リーダー名】
ART PEPPER (1956/11/23)
【パーソネル】
ART PEPPER (as) RUSS FREEMAN (p) BEN TUCKER (b) GARY FROMMER (ds)
【収 録 曲】
ART'S OPUS / I SURRENDER DEAR / DIANE /
PEPPER POT / BESAME MUCHO / BLUES AT TWILIGHT / VAL'S PAL
【内   容】
 あなたは「ペッパー」という単語から何を連想しますか。それによって人間をい くつかのタイプに分類することができます。
1.アート・ペッパーと答えた人:ジャズファンな人。
2.ペッパー警部と答えた人:ピンク・レディな人。
3.ドクターペッパー:そう言えば昔、そんな飲み物もあったなあ。
4.胡椒:そのまんまやなあ。
 人間のタイプとはまったく無関係な解答でしたね。まじめに答えた俺の立場はど うなる!という人。何事にもまじめに取り組むタイプですが、少し気の短いところがあ ります。さて、日本のジャズファンというのは黒人至上主義、白人のやるジャズなんて バッタもんや。という逆アパルトヘイトな傾向の人が多いように見受けられます。私も そうです。けど、ビル・エバンスとアート・ペッパーだけは許す、という人も多いでし ょう。初心者向けペッパーの代表作と言えば『ミート・ザ・リズム・セクション』でし ょう。ガーランド、ポール・チェンバース、フィリー・ジョーというバリバリのハード バッパーをバックにペッパーのソロが冴えわたります。他の白人のようにアレンジ重視 ではなく、「アドリブ命」なのが人気の秘密でしょう。同じ有名盤でも『モダン・アー ト』のほうは渋すぎて初心者にはちいとわかりにくい。『リターン・オブ・アート・ペ ッパー』はかなりウエスト・コーストなサウンドである。ペッパーのソロは悪くはない が、テーマのアンサンブルがどうも今ひとつピンとこないっすね。やっぱりペッパーは 警部がいい。というわけでタンパ盤いきましょか。
 タンパのペッパー。こう言うだけで「おぬし、なかなかやるな。」とジャズファ ンの間では一目置かれる存在になれます。『マーティ・ペイチ・カルテット』というの も実質的にはペッパーのリーダー作みたいなもんですが、今回は『アート・ペッパー・ カルテット』でいきましょう。タイトルもそのまんまならジャケット・センスもダサダ サ。毎回このコーナーでは手書きのジャケットを掲載していますが、これとたいして変 わらないほどの出来ばえです。1曲目は「アーツ・オパス」という曲。オパスと言うの は「作品」という意味。ホレス・シルバーの「オパス・デ・ファンク」という有名曲も ありますね。よって、「アーツ・オパス」というのは「アートの作品」という意味。も っと考えて名前付けろよ、と言いたい。「オパス・デ・おます」とか。関西人なら10 0%考えつくな。しかしこんな曲はどうでもいいので、3曲目の「ダイアン」行きまし ょう。ダイアンというのはペッパーの2人目の奥さんになった人で、麻薬中毒になった ペッパーの愛をつなぎとめるために自分も麻薬を打つようになり、何度か自殺を試みた あげく、癌で死んじゃったらしいです。猫死んじゃった、猫死んじゃった、猫ふんづけ ちゃったら死んじゃった。そんなことしちゃ、いかん。しみじみと哀しいバラードであ る。
 「ダイアン」で泣いたら「ベサメ・ムーチョ」いこう。べっさめえー、べっさめ むーちょおお、という歌ですね。「もっとキスして」という意味らしいが、化粧の濃い ラテン系のオバサン(56歳)が「べっさめえー、べっさめむーちょおお」と迫ってき たら嫌ですね。私なら舌を噛んで自殺します。というわけで、この2曲を聴くだけでも 十分購入に値する1枚だと思います。


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