【アルバム名】
A LONG DRINK OF THE BLUES (PRESTIGE)
【リーダー名】
JACKIE McLEAN (1957/2/15,8/30)
【パーソネル】
JACKIE McLEAN (ts,as) WEBSTER YOUNG (tp) CURTIS FULLER (tb)
GIL COGGINS (p) MAL WALDRON (p) PAUL CHAMBERS (b)
ARTHUR PHIPPS (b) LOUIS HAYES (ds) ART TAYLOR (ds)
【収 録 曲】
A LONG DRINK OF THE BLUES / EMBRACEABLE YOU /
I COVER THE WATERFRONT / THESE FOOLISH THINGS
【内   容】
 いよいよ真打ち登場。待ってました、ジャッキー・マクリーン。マクリーンが好 きだというジャズファンは、大変に正しいジャズファンであるというふうに私は思いま す。少なくとも加山雄三が好きだというジャズファンよりは正しい。好きだけどね、加 山雄三。ジャズの初心者というのは普通、まず「極め付けの名盤」と呼ばれるアルバム から聴いていきます。『サキソフォン・コロッサス』『グルービー』『ワルツ・フォー ・デビー』『クール・ストラッティン』『モーニン』『レフト・アローン』あたりです ね。いきなりアルバート・アイラーの『スピリチュアル・ユニティ』なんか聴くのは、 スキーの初心者をいきなり八方の黒菱に連れて行くようなもんで、コケて打撲して、も うスキーなんかやだ、とすねるのがオチです。初心者は栂池の鐘の鳴る丘ゲレンデ。ジ ャズのアルバムで鐘の鳴る丘ゲレンデに相当するのが『レフト・アローン』のタイトル 曲ではないでしょうか。ほとんどアドリブらしいアドリブがないので初心者でも安心で す。ただこのアルバムでも「マイナー・パルゼイション」は馬の背コースみたいなもん なので、決して近づいてはいけません。こうして「レフト・アローン」でマクリーン好 きになった人は、まっとうなジャズ人生を歩むことになります。
 マクリーンのリーダー作というと、真っ先に名前があがるのが『4,5&6』で しょう。しかしこのアルバム、正式にはなんて発音するのだろう。私は勝手に「よん、 ご、あんど、ろく」と言っているけど。「センチメンタル・ジャーニー」の名演で名高 い。たぶん「イヨはまだ、16だからー」という歌の真似をしてこんなタイトルを付け たのだと思うのだが、ひょっとしたら反対かも知れん。ブルーノート時代の作品は、特 に後期になると斬新すぎてわけのわからんものが多い。一番オーソドックスな『スイン グ・スワング・スインギン』が無難な選択だろう。
 この『ア・ロング・ドリンク・オブ・ザ・ブルース』は2つのセッションから成 っている。プレスティッジって、こういういくつかのセッションを適当に寄せ集めたよ うな安易なアルバム多いよな。それでも名演になるんだから50年代ってのはいい時代 だったんだねえ。自分、まだ生まれてないし。このアルバムのA面はギル・コギンズ、 ウエブスター・ヤング、カーティス・フラーなんかの参加したジャム風のセッション。 テイク1はすぐに中断されて、わいわいがやがやと打ち合わせみたいな音が入っている 。こういうの、いかにもジャム・セッションっぽくていい。この演奏のウリはマクリー ンがテナーを吹いていることでしょう。マクリーンのテナー・プレイは、あ、マクリー ンがテナー吹いてるな、という感じです。当たり前や。
 このアルバムの真の聴きどころは、実はB面の3曲にあるのではないでしょうか 。マル・ウォルドロンのトリオをバックにしたなんということのないワンホーン作です が、ここにマクリーンのすべてがあります。うまいよなあ、酢豚。(こういうこと書く から中年と間違われるんだよな。)特に「エンブレイサブル・ユー」はマイ・フェイバ リット・ソングですね。これぞ青春だ!って感じがします。私が死んだら、出棺の時に はこの曲を流してください。骨あげの時には加山雄三の「フィジーにおいで」ですね。


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