【アルバム名】
SHORT STORY (STEEPLE CHASE)
【リーダー名】
KENNY DORHAM (1963/12/19)
【パーソネル】
KENNY DORHAM (tp) ALLAN BOTSCHINSKY (flh) TETE MONTOLIU (p)
NIELS HENNING ORSTED PEDERSEN (b) ALEX RIEL (ds)
【収 録 曲】
SHORT STORY / BYE BYE BLACKBIRD / MANHA DE CARNIVAL /
THE TOUCH OF YOUR LIPS / MY FUNNY VALENTINE
【内   容】
 インドと言えばカレーというように、ケニー・ドーハムと言えば『静かなるケニ ー』というイメージは日本人の中に深く染みついている。もうほとんど、ジュリアン・ “キャノンボール”・アダレイや“フィリー”・ジョー・ジョーンズのように、“静か なる”・ケニー・ドーハムと名前の一部と化した感すらある。スナックなんかへ行くと 必ず、「こちらお静かね。」と言われるタイプなんだろうね。ほっといてくれっていう の。俺はこういうところでわーわー騒ぐのは好きじゃねーの。え?なんか歌えって。し ゃあねえなあ。じゃあ、さだまさしの「精霊流し」を。というタイプなんだろね。私な んかもお静かなタイプで、「悲しい色やね」なんか歌うんやけど。こんど三河バージョ ン作ってみようか。三河の海は〜、悲しい色だらあ、とか。
 で、ケニー・ドーハム。なぜ彼が「静かなるケニー」と呼ばれるかというと、自 分でそういう名前のアルバムを作ったからである。『クワイエット・ケニー』って言う の。でまた、このジャケット写真のダサいこと。数あるポートレートの中から、わざわ ざ一番間延びした顔のヤツを選んだとしか思えない。で、1曲目が「蓮の花」だもんな 。「ロータス・ブロッサム」をわざわざ日本語に訳さなくてもいいっちゅうのに。ちな みにこの曲をロリンズやフレディ・ハバードは「エイジアティック・レイズ」というタ イトルで吹き込んでいます。このアルバムはよく「四畳半的ジャズ」などと言われるが 、まさにそんな感じ。それはどんな感じや、と言われると困るが、6畳よりは狭いが3 畳よりは広い。まあだいたいそんな感じやね。すすり泣くような「アローン・トゥゲザ ー」が絶品である。
 一方、「ヤル時はヤル」・ケニーというのも存在していて、その代表は『カフェ ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ』における「マイナーズ・ホリデイ」での入魂 のソロである。60年代に入ると、ちょっと派手になるよな。BN盤の『ウナ・マス』 とか。ああ、大根や人参などを細かくきざんで酢で煮た料理ぃ?それは「煮ナマス」。 ジョー・ヘンと組むと派手になるよな。「はしゃぎすぎ」なんて言う人もいるけど。こ の頃、ドーハムが作った曲には「ウナ・マス」っぽい曲が多く、相当本人は気に入って みたいだ。これで僕も「明るい青年」って呼ばれるようになるだろうな。と思っていた に違いない。誰も呼ばなかったけど。40近いし。
 というわけで、「静かなる」路線と「はしゃぎすぎ」路線の間をとって、マイナ ーやけど『ショート・ストーリー』というアルバムを選んでみました。コペンハーゲン の有名なジャズ・クラブ「カフェ・モンマルトル」でのライブですな、多分。違うかも 知れないけど。(輸入盤なので詳細わからず。)1曲目のタイトル曲を除いて、日本人 好みのスタンダードが並んでいる。そのタイトル曲も、いかにもドーハムらしい日本人 好みの曲となっている。トランペットとフリューゲルという変な編成で、そのフリュー ゲルもよくわからん、多分デンマークのおっさんだが、気にするな。ピアノのテテ(変 な名前)も好演。多分これがドーハムの普段着の演奏なのだろう。普段、家ではジャー ジ着てるタイプかもしんないけどね。


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