【アルバム名】
TAKIN’ OFF (BLUE NOTE)
【リーダー名】
HERBIE HANCOCK (1962/5/28)
【パーソネル】
FREDDIE HUBBARD (tp) DEXTER GORDON (ts) HERBIE HANCOCK (p)
BUTCH WARREN (b) BILLY HIGGINS (ds)
【収 録 曲】
WATERMELON MAN / THREE BAGS FULL / EMPTY POCKETS /
THE MAZE / DRIFTIN' / ALONE AND I
【内   容】
 しばらくマイナーな人が続いたため、今回はメジャーにいきます。ハービー・ハ ンコック。うん、むっちゃメジャーや。イギリスの前の首相くらいメジャー。ハービー の代表作と言えば『処女航海』。そういえば昔、クリスタル・キングが歌ってなかった か?「処女航海」。「大都会」の次に。ミョーに声の高いアフロ頭の人と、ヤッちゃん みたいな人の2人組。ヤッちゃんのソロパートになるといきなり、「裏切りの街ではー 」と任侠演歌風になるんだよね。で、ハービーの『処女航海』と言えば新主流派を代表 する名盤として名高い。タイトル曲と「ドルフィン・ダンス」が最高。一方、ハービー の初リーダー作である『テイキン・オフ』は「ウォーターメロン・マン」で有名ですね 。ウォーターメロン・マン、日本語に訳せば「スイカ男」。子供の頃に聞いたスイカ売 りの声をモチーフにして作ったらしい。スイカ売り。私が子供の頃にはそんなものが来 た記憶はないな。パッカンなら覚えているが。米を持っていくと「ぱっかーん」と音が する機械に入れて、米を「ぱっかん」というお菓子にしてくれる行商人。最近では「わ らび餅」がよく来るな。「早くしないと行っちゃうよー」と言いながら30分ぐらいう ろうろしている。早く行けちゅうの。
 というわけで、この真っ黒でディープな「ウォーターメロン・マン」のおかげで 、この『テイキン・オフ』というアルバム全体をそういう路線だと思っている人がいま すが、それは大きな間違いです。確かに3曲目の「エンプティ・ポケッツ」や5曲目の 「ドリフティン」はスイカ路線です。が、偶数曲を聴いてみましょう。2曲目の「スリ ー・バッグス・フル」なんて実にモーダルじゃ、あーりませんか。さすがはハービーと フレディ・ハバード。となると問題となるのは、何故か参加しているテナーのデクスタ ー・ゴードン。いかにも場違いな感じがする。しかしハービーとデックスの2人は後に 映画『ラウンド・ミッドナイト』で共演する仲だ。以外にもモーダルで、何の問題点も 感じさせない演奏を聴かせてくれる。
 もっとも新主流派的なのが「ザ・メイズ」。知的でクールな感じですね。デック スも誰が場違いや。失礼な事言うな。というくらいの名演です。暗い曲で泣きたい、と いう人には「アローン・アンド・アイ」。脳天気なスイカ男と同じ人が作ったとは思え ない程、しみじみと泣けます。
 ハービーは後に『ヘッド・ハンターズ』というアルバムを発表してブラコン・フ ァンク路線に転向します。ある日、ある人物(神?仏?)が枕元に立ち、そのお告げに よるものだと言われています。さてハービーの枕元に立ったのは次のうちのどれでしょ う?
@ イエス・キリスト  A ホメイニ師  B ヨハネ・パウロ2世
C シプリアーニ司教  D ミニグ代表  E 大日如来
 ああ、Cやな。シプリアーニ司教がタイヤのついたカートみたいなもんを引きず りながら夢枕に現れたんやな。と思った人はハズレです。正解はEの大日如来。ジャズ 界では有名な話です。(ハービーは創価学会の信者。この前の衆議員選挙でも坂口力に 入れてました。ウソつけ。)
 というわけで、更に後にはヒップホップのハシリ的アルバム、『フューチャー・ ショック』を出したりしたハービーですが、やっぱり何度聴いても飽きないのは60年 代のBNの処作ですね。


| Previous | Up | Next