【アルバム名】
RELAX AND ENJOY IT! (CONTEMPORARY)
【リーダー名】
GERRY WIGGINS (1956/10/3,10)
【パーソネル】
GERRY WIGGINS (p) JOE COMFORT (b) JACKIE MILLS (ds)
【収 録 曲】
NARCISSUS / FRANKIE AND JOHNNY / ONE FOR MY BABY /
THE LADY IS A TRAMP / SERENADE IN BLUE /
MY HEART STOOD STILL / JUST SQUEEZE ME ~ SATIN DOLL /
BLUE WIG
【内   容】
タワー・レコードやH.M.V. といった輸入盤屋でジャズファンを見分ける方法が あります。まず第一にジャズのコーナーにいる人は概ねジャズファンである、と推測し てもあながち間違いではないと思われます。ただし、その人が明るそうな人であった場 合、なにかの間違いでジャズのコーナーに紛れ込んだと判断してよいでしょう。第二に レジのところで暗い顔をして、4〜5枚のCDを持って並んでいたら、6割くらいの確 率でジャズファンである、と思っていいでしょう。ジャズファンというのはまとめ買い をする人種なのです。私などもたいした目的もなくCD屋をのぞき、珍しいモンないな あ、などとボヤきつつも店を出る時には約1万円分のCDを抱えていたりします。こう いう、せっかく来たんやから何か買って帰らな損やという時には、わりと聞いたことも ないような人のアルバムを買ったりします。
ジェリー・ウィギンズの『リラックス・アン・エンジョイ・イット』。この作品は アルバム・タイトルが内容の全てを表現しています。こんな名前で『アセンション』み たいな演奏やったら怒るで。こういう演奏は先発の工藤がメッタ打ちされている時の王 監督みたいに眉間にシワをよせて聴く類いのものではありません。いいですねえ、今日 の槙原はぁ、という時の長嶋監督みたいな気分で聴きましょう。
1曲目、「ナルシッソス」。スイセンですね。水洗じゃなくて水仙。ああ、僕は何 て美しいんだ、と水面に映った自分の顔を見ているうちに、川の中にいる犬がくわえて いる肉のほうが大きく見え、「その肉、俺によこせ」と「ワン」とほえたら自分がくわ えていた肉を落としてしまいました。何事も欲張ってはいけないということです。とい う寓話で有名です。軽いと言えばむっちゃ軽いけど、まあええやんか。という演奏です 。「フランキーとジョニー」も軽いと言えば軽い。スリー・サウンズをあっさりさせた 感じ、と言えばいいのか。「ザ・レディ・イズ・ア・トランプ」のアレンジなんか瀟洒 な感じがします。
お、「サテン・ドール」が入ってるな。喫茶店のこととちゃうサテン。では何のこ とかと思ってカラーザウルスの英和辞典で調べたら「しゅす」と書いてあった。うーん 、日本語にしてもわからん。縦糸又は横糸を浮かせて織った絹織物、らしいっす。漢字 で書くと繻子。子曰、繻子也浮織絹織物、不非喫茶店。こういうカクピーっぽいスタイ ルにはハマリの曲である。ちなみに「ジャスト・スクイーズ・ミー」とメドレーで演奏 されます。
ラストはウィギンスのオリジナルで「ブルー・ウィグ」という曲。ブルースです、 たぶん。ブルースでもあまり泥臭くないブルース。白人ですかね、この人は。よくわか りませんが、白人でも黒人でもリラックスしてエンジョイできること間違いないです。 たとえ中国人でも汝、憩且楽其、謝々。


| Previous | Up | Next