【アルバム名】
LEAPIN’ AND LOPIN’ (BLUE NOTE)
【リーダー名】
SONNY CLARK (1961/11/13)
【パーソネル】
TOMMY TURRENTINE (tp) CHARLIE ROUSE (ts) SONNY CLARK (p)
BUTCH WARREN (b) BILLY HIGGINS (ds) IKE QUEBEC (ts)
【収 録 曲】 SOMETHIN' SPECIAL / DEEP IN A DREAM /
MELODY FOR C / ERIC WALKS / VOODOO / MIDNIGHT MANBO /
ZELLMAR'S DELIGHT
【内   容】
 あなたは次のうち、どれに一番心をひかれますか?それによりあなたの日本人度 がチエックできます。
1.長生きしたフツーの人
2.夭折した天才ミュージシャン
3.熔接が得意なちょっぴりオチャメな32歳、鉄工所勤務。
 1.を選んだ人が純粋の日本人です。2.を選んだ人は魂をゲルマン民族に売りわた したといってもいいでしょう。3.を選んだ人はもしかしたら大阪人かも知れません。
 さて今回の主人公、ソニー・クラークは天才的な才能を持ちながら本国アメリカ ではまったく評価されず、麻薬に溺れてそれが元で31歳の若さで死んでしまいました 。名前のとおり人生をクラーく生きたわけですが、その暗さが性格の暗い日本のジャズ ファンにウケるのです。
 そのピアノ・スタイルもファンキーな中にも独特の翳りを感じさせ「後ろ髪ひか れるタッチ」などと言われます。昔いたなぁ、「後ろ髪ひかれ組」とかいうの。オニャ ンコ倶楽部かなんかの一員で。
 さてそんなクラークなので、元気ハツラツ、オロナミンCな人よりも、ちょっと 黄昏た感じの人との共演がよく似合う。よってコル卜レーン、ドナルド・バードの『ソ ニーズ・クリブ』よりも、マクリーン、アート・ファーマーの『クール・ストラッティ ン』なのである。さらにサイドマンを極限まで黄昏させたのがこの『リーピン・アンド ・ローピン』。トミー・タレンタインにチャーリー・ラウズだもんな。
 「サムシン・スペシャル」、「メロディー・フォー・C」といかにもクラークら しいオリジナルがならぶが、中でもミステリアスな「ヴードゥー」が素晴らしい。しか しこのアルバム一番の聴き物は唯一の歌モノである「ディープ・イン・ア・ドリーム」 であろう。
 この曲だけメンバーが替わり、アイク・ケベックのワンホーンになるが、そのケ ベックのテナーが壮絶に美しい。彼はこのセッションの一年数ケ月後に死んでしまうの だが、その4日後に、まるで彼の後を追うかのようにクラークがこの世を去っている。 この演奏を聴いていると、いかにも「ぼくたちはもうすぐ死ぬんだ。」という感じがし て、ああ涙がとまらないのは何故?さあ君もこれを聴いて一緒に死のう!
 ちなみに私は『ソニー・クラーク・トリオ』はブルーノート派ではなくてタイム 派ですが、BN盤の「朝さわ」は必聴です。


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