社会福祉/老人の理解

 

 新ゴールドプラン、介護保険・・・など世間では在宅福祉が大流行。
でも、本当に必要なものが揃っているのでしょうか?
  ここでは、社会福祉・老人の在宅介護について考えていけたら、と思っています。
 
年をとる(AGING)とは

老人くささの心理学・・・老人特有の心理って本当にありますか

老人の心理って?(実践)・・・老人心理学が今トレンディー?

                  第1話 死にたがる老人

痴呆老人って?NEW ・・・痴呆って、何なのさ?そんな疑問にお答えします。
                    

年をとる(AGING)とは   歳をとるって、こわいこと? ・いままでできていたことができなくなる。 ・突然寝たきりになるかもしれない。 ・痴呆になるかもしれない。  ・妻(夫)に先立たれたらひとりぼっちになってしまう。 これらのことを考えると、年をとることが怖くなるかもしれません。 けれども視点や認識を変えれば、これらは決して恐怖でも特別なことでも ないはずです。   いま現在介護している人、現在は介護には直接関係のない方、つまり社会の すべての人が、年をとるということに対する否定的な面ばかり見てはいません か? 年をとることは怖いことじゃない。痴呆だって怖くない。 できなくなることばかりに目をむければ、悲しいにきまっています。でも、 考え方を変えれば、年をとってできるようになること、年をとっても衰えない こと、というものはたくさんあります。年をとってからの趣味や生き甲斐だっ てあります。   正しい知識がないと、「こわい」、「どうしよう」という否定的な感情にと らわれがちです。特に現在痴呆老人となった家族の介護に関わっている方など は、「ぼけてしまったから、情けない」、「ぼけているから何もわからない」 という考えを起こしがちです。これはある意味当然のことなのですが、見方を 変えるだけでも、随分と気分が変わるものです。  ではどうやって見方を変えていったら・・・というところで、次回に続きま す。よろしければまた見に来てやってください。
老人くささの心理学     ちょっと簡単なテストをしてみましょう。老人特有の心理って本当にあるの でしょうか。
 あなたは、この中でいくつが、老人の特徴としてあてはまっていると思いま
すか?数えてみてください。(これらは、様々な書籍・雑誌・アンケートに、
老人に特有の気質・性質ととして挙げてあったものです。
 

1. 生活に変化があると何となく不安になる

2. 心が狭い

3. 引っ込み思案で新しいことには消極的である

4. 人見知りする

5. 寂しがりやである

6. おしゃべりと愚痴が多い

7. 疑い深く、ひがみやすい

8. 保守的で頑固

9. 昔への強い愛着がある

10. 保守的

11. せかされると怒る

12. 几帳面である

13. 涙もろい

14. 感情のコントロールがきかない

15. 古い記憶は正確

16. いつも中心人物でありたい

17. 現在への不満が多い

18. 被害者意識が強く、孤独である

19. 新しいことは覚えにくい

20. 初対面の相手に臆病

21. 自分の物差しですべてを考える

22. やりだすと中途変更ができない

23. 思い出や思い出の品を大事にする

24. 義理堅い

25. 自分の限度を知るのが怖い

26. 不潔になりがち

27. 依頼心が強い

28. 自分のできないことを人のせいにする

29. 出しゃばり

30. けち

31. 気が短い

32. 自分の役割が欲しい・頼られたい

33. 頼れる相手が近くにいてほしい

34. 自分の衰えた感覚を指摘されたくない

35. 自分の知っていることに関係があると、新知識でも受け入れる

どうですか?いくつあてはまりましたか。あてはまる所をクリックして
ください。
 
 ・0〜10個あてはまる、と思う
 ・11〜19個あてはまる、と思う
 ・20〜30個あてはまる、と思う
 ・全部あてはまる、と思う
 


シリーズ 老人の心理

  老人特有の心理?よく「がんこ」「古い」などと言われますが、具体的にはどんな
 状態にあるのでしょう。ここでは例をあげながら、老人が陥りやすい心の状態と、
 老人の能力について考えていきます。
  今回はどちらかと言えば、施設職員・ヘルパー向けのお話です。
 
1 死にたがる老人
 80才のGさん(男性)は、筋萎縮症と診断され、現在車いすの生活です。
 進行性ではなかったため、すぐに寝たきりになる危険はありません。自宅は持ち家、
 一部改装し、車椅子でなんとか自立して生活しており、日中家族がいなくなるため、
 昼食の準備のためヘルパーを頼んでいます。
以下は、Gさんとヘルパーのある日の会話です。
 
「ヘルパーさん、自分は、出世とはいかないが、家族をきちんと養って、年金もそ
  こそこもらっている。だのに、どうしてこんなしうちにあうんだろうね。」
「どうかなさいましたか。」
(目頭を押さえて)「嫁にも、孫にもないがしろにされている気がする。」
「ないがしろ?」→(1)
「ええ。私のことを気にかけてくれない。体はだんだん言うことをきかなくなるし、
  もう死にたい。」
(あくまで真剣に言っている)
「なにを言っているんですか。Gさん、そんなこと言っちゃいけません。」→(2)
「だって、筋肉だって、だんだんなえていくし…」
「あれ、Gさん、進行性の筋萎縮症でしたっけ?」→(3)
「いえ、進行はしないんですが…」
「そりゃ年なんだから、足腰は弱くなりますよ。気にしちゃいけません。」→(4)
「そうだね。」
 
解説
(1)→一見なんでもない言葉ですが、繰り返しは重要です。
   自分が言った言葉そのままを返されることによって、その言葉を客観的に判断し、
   どうしてそう思ったのか、自然と説明してくれます。
(2)→これは、まずい例です。
  ただし、「なに言ってるのよ。まだ20年はいけそうね!」と明るく言ってほし
   くて、気楽に「死にたい」と言っている場合もありますのでご用心。
(3)→ヘルパーは、利用者のだいたいの病状は聞かされています。Gさんが進行性で
   ないことを知りつつ、つっこみを入れることにより、Gさん自身に、体がだんだ
   ん萎えてくるという事実はないことを認めさせています。これはうまい。
(4)→3の成果もここで台無し。年なんだから、というのは禁句です。皆、年をとる
   事がつらく、気にしちゃいけない、とわかっていても気になるから、悩んでいる
   のです。
   このケースに関わらず、「気にしちゃいけません。」という発言は原則としてよ
   くありません。おそらくGさんは、「この人に話してもわかってもらえない。」
   と感じつつ「そうだね」と言ったことでしょう。
 
Q さて、では、「死にたい」と言われた時、私たちはどうすればいいのでしょうか?
A 
例1.「そんなにつらいんですか?」「どうしてそこまで思い詰めるのですか?」
    などと尋ねる。
	尋ねただけでは何の解決にもなりませんが、とりあえず利用者の「死にたい」
    という気持ちを拒絶してはいません。話を聞くだけで少しすっきりする、とい
    うこともあり得ます。最初に言ったこととは全く違う理由で、つらい、という
    ケースはよくあります。まずは、よく理解すること。
例2.「死にたい、そう、言うんですか?」or「本気でそう思っているのですか。」
	これも例1同様、解決にはならないのですが、「死ぬほどつらい」という気分
    があることに理解を示しています。
例3.「そこまで思い詰めていらっしゃることは、家族の方はご存知ですか?」
	いきなり家族(問題の中心)にふっているので、危険ではあります。時と場合
    は選びましょう。
 
 そして、あとはGさんの出方次第です。本当に家族が問題なのか、それとも、でき
 ていたはずのことができなくなったことにいらだちを感じ、死にたいと思うのか、そ
 こを見極めなくてはなりません。
 
「受容の原則」の罠
 もしかしたら、カウンセリングや臨床心理を学んだことがある方は、利用者の発言
 を、「受容」「共感」しないといけない、と言われたことがあるかもしれません。
 確かに、利用者が藁にもすがる思いでサービス利用しているのに、職員がわかって
 くれなければ、元々の問題だけでも頭が痛いというのに、追い打ちをかけることになっ
 てしまいます。ところが、何でもかんでも受容すればいいというものではありません。
 
→わかっていなくても、わかったふりをする。全然理解してもいないのに、「あなた
 の気持ちはわかります。」などと言うことは、相手を傷つけます。
 相手の言うことに共感できない場合は、
「ごめんなさい。あなたがどうしてそんなふうに言うのかわからないんです。」
など、素直に感情を表現してもかまいません。やっぱり人間素直が一番!
  ただし、決して拒絶的にならないように、理解しようとする姿勢は崩さないで。