エニアグラム上級者理論            

                                                           2005/09/20
          
攻撃型タイプは守備に弱い!

      

   
 1 攻撃型は守備に弱い

 
ある柔道家がインタビューされているところをテレビ画面で見かけました。その男性は、「攻撃型の奴は守備が弱い…」と、ボソボソと語るのです。それならば、防御型の人間は攻撃的になりにくいとか、不得意になるのではないでしょうか。

 これをそのままにエニアグラムの性格タイプに当て嵌めれば、まさに、その通りであると考えられます。攻撃タイプ(8・2・5)は、攻撃する時ほど気力が増し、そこに意識を集中させます。そうなると、守備のほうは手抜かりが起こりやすいと考えることができます。

 たとえば、織田信長は、エニアグラムで見たならば、タイプ8と判定できる人です。信長は攻撃タイプの中の攻撃タイプですから、攻撃するときはエネルギーが満ちて来ます。事実、用意周到であり、臨機応変かつ神出鬼没だったと伝えられています。しかしながら、守備態勢が充分ではなかったために不備を突かれて、本能寺において明智光秀にしてやられたのではと考えられます。

 また、明智光秀も攻撃型のタイプ2w1ですから、短気な気質が主君殺しに駆り立てたと考えられます。主君を討ち取った後のことは考えていなかったようで、守備態勢など無いに等しいのです。怒りに駆られて軍を動かしただけのようです。

 ちなみに、豊臣秀吉もタイプ2w1ですが、1のウイングは軽そうで、光秀は重そうに見えます。w1が重くなるほどに決まりや礼儀にうるさくなり、伝統を守りたがるので、信長のやり方に義憤を感じやすくなると考えられます。


 
2 攻撃も守備も完璧にはできない

 
源義経もタイプ2w1らしさが漂っています。兄を信頼し過ぎている点で、人間の性を善と捉えている方のように見え、また男性を慕う傾向がよく見えるからです。そして、壇ノ浦などでの戦い方は、それまでになかった戦法であり、神出鬼没で臨機応変です。しかし、自分の身を守るための戦術など、まるで無いに等しいのではないでしょうか。敵を攻撃する場合のみにおいて、優れた手腕を発揮していると考えられます。

  ちなみに、義経は伝統的な戦いの決まりを守らなかったようなので、ウイング1は重いほうではないと予想します。

 一方、源頼朝のほうは、攻撃型には見えず、自分の守りに力を入れているように見えます。総大将になって前線で指導力を発揮しようとはせず、家来を導くこともなく、いつも後方にいたようで、かなり怖がりな気質に見えます。

 従って、防御型のタイプ
か、あるいは協調性のある調和タイプのタイプ3ではないかと想像しています。タイプ7やタイプ3にとって、兄弟姉妹はライバルであり、それは現代に生きるこの2つのタイプの人たちにも、クッキリとよく見えるところです。

 さて、攻撃と防御のどちらにも強い人がいれば、その人物こそが「最強の人物」になるでしょう。しかし、防御を固めることに意識を集中させれば、攻撃のほうに手抜かりが起きるのは必然的なことです。「天は二物を与えず」は本当のことです。どちらかに重点が片寄ってしまい、もう一方は手薄になってしまうか、ネックになってしまうと考えられます。

 
ところで、調和タイプ(3・6・9)ならば、適度に攻撃したり、守りも適切に固められるように見えるタイプです。しかし、どちらもできる人は、どちらもできない人になる可能性があります。
 エニアグラムの調和タイプとは、多勢に組するタイプなのですから、率先して攻撃したり、そこに意識を集中させることができにくいでしょう。他の人々の行動や考え方が気になるばかりでは、一つのことに意識を集中させにくくなります。そして、攻撃も防御も中途半端になれば、成し遂げられることがあるとは思えません。

 
 
 
3 「回転レシーブ」は防御型

 
1964年の東京オリンピックで金メダルを獲得した日本女子バレーボールチームは「東洋の魔女」と絶賛されました。

 外国のチームは体格もよく、当時の最強の対戦相手のソ連の選手たちは、身長180cm体重80Kgを超え、豪腕で攻撃型のバレーチームです。
 一方の日本女子チームは、平均身長160cmくらいで体重も50Kgですから、華奢とも言える体格です。まるで、大人チームと子どもチームのような差があると言われたようです。
 しかし、どんなに強い攻撃を受けてもボールを拾いました。横や前に飛んで、回転しながらも確実に拾って、次のトスに回します。また、驚くほど正確なスパイクを決めることができたようで、見事に優勝しています。

 東洋の魔女たちの戦術の中で独特なのは、「回転レシーブ」であり、いわば防御型のバレーと言えるのではないでしょうか。尤も、回転レシーブだけでなく、現在では当たり前になっている「時間差攻撃」や「変化球サーブ」などの攻撃方法なども編み出しているので防御に徹していたわけではありません。

 
しかしながら、回転レシーブの威力が発揮されたので優勝にまで到ったと考えられるでしょう。強い攻撃ができなくとも、勝利を収められるという象徴のようなパレーボールと思われます。

 
4 「カウンター狙い」は防御型

 
近年、人気急上昇しているサッカーにも同様なものがあるようです。「幾多の海外遠征を経て、68年の日本代表が選択した戦い方は、カウンター狙いだった。技術力が低い以上、イーブンに組んだらやられてしまう。引いて守り、相手が攻めるスペースを消す。そして相手チーム最終ラインの裏にあるスペースをカウンターで攻める」

 なお、これはサッカージャーナリストの後藤勝さんが書いているもので、以下にあります。
  
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/athens/column/200408/at00002065.html

 これは相手チームの守備が整っていないうちに、速攻するという戦術だそうですが、攻撃型のチームに対抗できる戦術のようです。 

 サッカーは多人数編成の競技ですから、優秀な攻撃的な選手と防衛に強い選手を揃えれば、どちらにも強いチームになるはずではないでしょうか。しかし、チームを全体としてみた場合、やはり重点の置き方がどちらかになるようです。

 さて、エニアグラムの攻撃タイプ(8・2・5)に憧れる人は多いのですが、攻撃の強さだけで勝利が得られるものではありません。守りにも強くなる必要があります。スポーツ界でそれが実証されているのですからね。また、防御タイプも調和タイプも、社会で成功している人たちは一杯います。

 となると、攻撃的な人間に負けるとは限らず、攻撃的にはなれない自分は弱い人間なんだと、卑下したり自信を無くすことは無いと考えられます。たとえば、回転レシープを完成させ、カウンター狙いをして、自分なりの勝てる戦法を編み出すようにすれば良いのではないでしょうか。自分の気質に合った自分らしいやり方を工夫すれば良いのです。
 
                            

 
5 集団に従うタイプのほうが安全か、それとも?

 サッカー場にいて試合を楽しんでいる時に、もしも、テロリストの標的にされているというニュースが入ったら、さあ大変です。多くの人たちがパニックに陥り、大騒動が起きてしまうでしょう。

 さて、そんな時に、「中央出口なら安全に脱出できる!」とか、「右出口のほうが安全だ!」と誰かが大声を出したならば、その言葉通りに動く人たちがいます。しかし、大勢の人間が右の出口に殺到したら危ない、「自分は左に行こう」と考える人もいるのではないでしょうか。しかし、どちらにも動けずに呆然自失してしまう人もいることでしょう。
 
 事実、イラクの首都で起きた事件(2005/08/31)は、自爆テロがあるという情報を聴いて、パニックを起こした人々が次々と川に飛び込んだようです。死者500人などと報道されています。また圧死した子どもが多かったようで、報道写真には数え切れないほどの靴が散乱し積み上げられていました。悲惨な事件を物語っています。 
 
 さて、通常は、大勢の人たちに従う傾向が強いのが、調和タイプ(3・6・9)です。しかしながら、パニックになると大勢が一斉に同じ方向に走り出すことはよく知られており、調和タイプと限られるのか疑問に思うところです。従って、統計的な調査がされない限り、分からないと言うしかありません。

 しかしながら、大勢の中の一人であれば、確率の問題として捉えたならば、安全度は高いと言えるでしょう。実際、自然界にいる動物たちは、群れを成して生きていますが、それは集団行動しているからこそ、安全に生き延びられるということを物語っています。群れから離れた個体は、生き延びられないのであり、そんな動物のほうが多いのです。

 また、原型タイプであるタイプ9は、大勢と同調するという気質が色濃く残っており、本家のタイプ9の行動パターンは、その他の分家タイプにも受け継がれていると考えることができます。従って、全てのタイプが群集にまぎれて逃げようとする行動パターンを基本的に持っているように思われます。



 
6 敏感で敏捷な人は防御型

 ところで、防御タイプは、いつも自己防御のほうに意識づけられている人たちです。たとえば、ホテルや宿屋に泊まる場合は、脱出口や危険報知ブザーや外階段など、不測の事態に備えるかのように、よく把握しています。セキュリティに関しては、とても注意力が働いているタイプです。

 それらに注意していない人がいたならば、攻撃タイプから探しますが、とくにタイプ2の人たちが最も注意力が足りず、ソコツなところがよく見えます。このタイプにとっては、「自分は世界の中心にいると自己認識」して、「世界は肯定的なところ」なのですから、必然的に全タイプ中で一番に楽観的になりやすい気質です。
 そそっかしい人のほうが無用心で警戒心が少なく、臆病で怖がりな人たちのほうが、警戒心が強く慎重になり、ミスが少ないのは原理的に捉えたならばよく理解できることです。

 従って、防御タイプがサッカー場に着くと、素早く脱出できる通路などを確認する傾向があります。とくにタイプ7の人たちにとっては、「自分は世界の淵にいると自己認識」しており、自己の存在基盤に不安を感じやすく、かつ「世界は否定的なところ」なのですから、必然的に全タイプ中で一番にセキュリティーに万全を期す人たちです。

 タイプ7は、怖がりな気質ですが、それゆえに危機的な状況に遭わないように、常日頃から神経を張り巡らしています。いつも頭を使っており、記憶力も高い人がいると、その多くは防御タイプであると判定できるくらいです。学業成績が優秀で、まさに優等生である人が多いんです。とくにタイプ7は記憶力が抜群である人が多く、そうなる所以もよく理解できるのではないでしょうか。

 危険箇所を記憶するため、かつ危険人物をマークして近づかないためには、記憶力が高いことと、かつ怖がりな気質である必要性があります。それは必然的なことであり、それゆえに自分を守れるのであり、守備に手抜かりが起きません。

 サッカー場では、誰よりも早く脱出できる可能性があり、大勢が動き出す前に、危機を直感できるような察しの良さや敏捷性が備わってもいるタイプです。しかし、怖がりなために、安全であっても危険だと認知して、誤作動をするかもしれません。とかく大騒動となりやすく、トラブルメーカーになっているかもしれません。また、過剰防衛をしてしまい、被害妄想になりやすいのもよく理解できることです。これに関することを以下のページで書いています。ぜひともお読み願いたいものです。 


   
http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/active/page15/15-201~/15-221.htm

 

 
7 横柄な人は攻撃型で決断力あり

 
攻撃タイプは不測時にパニックになりにくい人たちで、かつ、家族や仲間を守るという意識が強いタイプです。従って、冷静な判断ができる可能性が最もあります。しかし、当然ながら全ての攻撃タイプの人がそうなるのではありません。体力があり能力も高く、自信と余裕のある人物がなるでしょう。そんな人物が率いれば、見事に危機を突破するかもしれません。しかし、判断間違いがあり、危険な方向に導いてしまう人もいるのではないでしょうか。

 さて、攻撃タイプに関しては、「根拠もないのに自信にある人たち」という紹介の仕方をすることがあります。もしも、サッカー場にいて、「中央出口が安全だ!」と、確信を持って導く人がいなければ、パニックになっている人々を安全に導くことはできません。

 「中央出口なのか右通路から脱出したほうが良いのか判断がつかない」とか、「判断を間違えたらどうしょう」と迷い、「自分は責任を取れないので、何も言えない」となりがちな人物であれば、たとえ大声を張り上げても、人々を導くことなどできません。

 中央出口が安全だという根拠が薄いと分かっていても、とりあえず人々を導かなければ、もっと大変なことになるかもしれません。イチかバチか、とにかく決断しなければならず、誰かが、人々をどこかに導かねばならないのです。
 そんな場合、根拠もないのに自信をつけやすい攻撃タイプが指導的な役割を担う傾向はあると考えられます。また、そうでなければ自信ありげには見えず、付き従うことはできにくいものです。自分に過信をしやすいタイプとも言えるので、自分の過ちを認めにくく、また謝ることもできにくい人たちです。
 一方、調和タイプも防御タイプも、決断力に欠けており優柔不断です。「根拠が有っても自信をつけにくいタイプ」と言えるかもしれません。

 しかしながら、決断力がある人は、自信過剰になりやすく、人の意見を受け入れにくく、かつ横柄であることは必要不可欠な気質です。ぜひとも備わっていなければならない気質ではないでしょうか。しかし、その気質ゆえに、人とぶつかりやすく、敵を作りやすくて問題を起こしたり事件を起こすやもしれません。こちらも、トラブルメーカーになっている人がいます。

 それでは、調和タイプはトラブルメーカーにはならないのかと尋ねられたら、違うとは言えないでしょう。精神状態が悪くなるのは、どのタイプにもあり、後退している人、あるいは後退しつつある人たちは、周囲の人たちとトラブルを起こしやすくなります。 

 なお、攻撃タイプは、重い責任を持たせると、緊張してより良く動ける傾向があります。逆に軽い責任を持たせるとか、使い走りのようなことをさせると、ミスが多くなり働く意欲も減退するようです。プレッシャーを与えたほうが良いのです。一方、調和タイプや防御タイプは、プレッシャーに弱く、重い責任を与えられると緊張して、よけいに動けなくなる傾向はくっきりと見えます。

 注・ウイングが重い場合は、どのタイプでもウイングの性格が色濃いため、ここに書いてあることが当て嵌まらない場合があります。ウイングまで考慮して書き出していませんから、どうぞ誤解なきようお願い致します。また、このページだけでなく、当サイトの全てについて同じことが言えます。



 
8 完全無欠の型は無く、完璧な戦略も無い

 
なぜ、攻撃タイプが根拠もないのに自信があるような物言いができるのか、不可解に感じていた人は多いのではないかと思います。そして、実際にも横柄で傲慢になりたいという調和タイプや防御タイプがいます。
 むろん、攻撃タイプは自分が横柄になりがちとか傲慢であると自覚しにくいのは言うまでもありません。当然ながら、防御タイプにも、自分を小心者であると自覚できない人がいます。

 しかし、どのタイプもそれぞれそうなる必然性があったのです。エニアグラムで各タイプの行動パターンを知れば、それらを理解しやすいとは思いませんか。自分がどんな人間であるのか自覚できなければ、より強い、より自分に合う作戦を立てることはできないでしょう。つまりは「自分を知る」ことが最も大切なことなんです。 

 さて、意識を一点に集中させれば、それ以外は散漫になりやすく、注意力は欠如するものです。満遍なく周囲を窺えば、意識を一点に集中させられません。どちらかに片寄るのですから、全てのタイプは「片寄りタイプ」ということになります。

 どのタイプが生き残るかは分かりませんが、人類が一斉に同じ行動を取れば、全滅するリスクがあります。従って、ある者は集団を率い、ある者は集団とともに動き、ある者は他の道を選択するなど、それぞれに分散したほうが生き残れる確率は高くなります。

  タイプとは、「片寄りタイプ」を意味していたようですが、それぞれに片寄るから人類は繁栄しており、今日まで生き延びて来たとも考えられます。違う表現をするならば、「それぞれに違いがあり、違いを認め合いながらも助け合い支え合うことが大切だ」と思い知らされていると考えることもできます。

 どんな戦略でも自らが墓穴を掘る恐れがあるように、人類の繁栄が人類自身を危険に曝しています。そんな時代に突入しています。ささやかで慎ましい暮らしを取り戻すことを考えてみませんか。



    

 なお、当会の講座は、タイプごとに、どれほどの違いがあるのか、具体的にはどういうことなのかを、学び知るための講座です。違いを知らなさ過ぎるのです。まずは違いを知ってほしいために、講座を開き、ホームページを開いています。

 あるタイプが有能であるとか、あるタイプはおかしなタイプであるなどということはありません。こちらの書き方が不備なために誤解を受けることがあるかもしれません。しかし、特定のタイプを嫌うとかダメなタイプだと考えたことは全くありません。公平に取り上げられるようにと努めております。 

 当サイトの性格分析を読んで、自分のタイプが否定的に書かれていると腹立しく感じる場合があるようです。しかし、それはどのタイプでも同様です。自分のタイプの箇所だけが、「否定的でおかしく書かれているように感じる」のです。他のタイプの欠点が書かれていると、それは「正しいとか、あまり酷いことが書いてあるとは感じない」ようです。

 どのタイプにも欠点があり、良くない性質があります。その事実をそのまま書き出すことは必要不可欠なことです。欠点のない完璧な人物などいません。また、自分の欠点や弱点を知ることはとても大切なことと言えるでしょう。

 これに関しては、以下のアドレスにて公表しています。ぜひとも併せてお読みくださるようにお願いします。そして、当会の考え方をご理解いただき、この知識を人間関係の改善に役立てて欲しいと願っています。

   
http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/active/page15/15-401~/15-402.htm