人の性格を見抜く方法シリーズ・その2         


  わが身に思い当たることはショック!
                     
        
                          
1 人の異様な反応を見る
             
 あなたは、妻とケンカをしています。妻から「あなたは思い
やりの心が全くない人間だ!」と言われました。さて、あなた
は、かなりの痛手を受けるでしょうか? それとも、あまり痛
手とならず、「何のことかさっぱり分からないから言ってほし
い!」と、冷静に妻に尋ねるのでしょうか? 

 他人の性格(気質)を見抜きたいなら、何を言ったら、当人は
ショックになるのか、そこに着目します。ここでは、おおまか
には、3つの対応の仕方があると考えます。    

A君:何のことを指して言っているのか? 
       と冷静に聞き返している。
B君:そんなはずはない。僕はいつもやさしさを心がけている!
   と少し怒って言う。
C君:バカ言え!そっちこそ思いやりのない冷血な人間だ!
   と、かなり怒り狂う。逆キレする等々。

 では、このA・B・C君のうち、どの人が「思いやりのない」
傾向が強いのでしょうか。
 まず「あまり気にならない」と反応した人は、その指摘が当た
っていないので、冷静でいられるという予想が立ちます。そして、
「少し怒る」人は、少し当たっているのです。「大分怒る」なら
ば、指摘されたことが心に思い当たるので、怒らずにはいられな
いと考えられま
す。    

 つまり、A君は「思いやりの心がない」と言われても、自分に
心当たりがないので、「さっぱり分からず何のことか言ってほし
い」ということになります。B君は何か思い当たるので、「やさ
しさを心がけている」のだと主張することになります。そして、
C君は胸にグサッとくるので、自分のことはさておいて、逆襲し
ています。 

    
2 「それをいっちゃぁ おしめえよ!」
 
 1998年9月に起きた事件は、妻から「頼りない人!」と言
われて、夫が逆上して妻を殺したというものです。結婚したばか
りの夫婦なので、まだ互いの性格(気質)をよく把握していなかっ
たのでしょうか。夫が気にしていることを知らずに、妻は軽く言
ったのでしょうか。それとも、相手を充分傷つけると知っていて
言ったのでしょうか?
 
 どちらか分かりませんが、取り返しのつかない最悪の事態にな
ってしまいました。夫は「頼りない!」と言われて、かなりグサ
ッときて、怒り狂ってしまったのですから、たぶん、かなり頼り
ないと自覚していたか、もしくは頼りない自分を隠したい、自分
をそうだとは思いたくない! など、彼にとっては深刻な問題で
あったと考えられます。    

 喧嘩やいさかいをしているときに、相手方がかなり悩んでいる
欠点をズバリ指摘すると、それは相手にとって、いつまでも心に
残る傷となってなかなか忘れられません。葛飾の寅さんではあり
ませんが、「それを言っちゃあ おしめえよ!」なのです。

 喧嘩しているときでなく、通常の親しい会話の最中であっても、
相手の心の琴線に触れたり、核心を突いているならば、相当な痛
手を与えるのではないでしょうか。

 よくよく知り合って、相手方の人柄や欠点を理解しているなら
ば、どんなことを言うと相手が傷つくのか、推察できます。そし
て、自分もどんなことを言われたら、傷つき腹が立つのか予想で
きます。 

 このように見ていくとはっきりとしてきますが、性格的(気質)
なことを指摘されて、「異様な反応」があるとしたら、それはお
おかたのところで、当たっているのです。たまたま別のことで怒
っていたため、それが作用して「つい怒ってしまった」というよ
うなこともあるため、全部とは言えません。
 がしかし、「怒り狂う・烈火のごとく怒る・ムシャクシャして
辺り構わず物を壊したくなる」というような、異様な反応がある
とします。すると、それはけっして触れてはならない、その人の
欠点なのです。


3 ランクを3段階に別けてみる

 当会の性格分析からは、各タイプがどのようなことを指摘され
ると傷つくのかを、予測できます。ですから、それを知ったなら、
あなたのタイプも特定できます。がしかし、それは別の機会に公
表したいと思います。
 ここでは、同じひどい言葉を投げかけられても、ショックを受
ける程度が、人によって違うことを理解してください。

 a ショックが大きい 
 b ショックは普通ぐらいである
 c ショックは少しである

 と、ランクづけをします。すると、自分を客観的に見ることが
できます。つまり、性格(気質)を見抜くには「量的」に捉えるこ
とが重要となります。また、性質というものは、不変ではなく、
いつも動いているものとして見るべきものです。
 ですから、あまり細かく分けると、訳の分からないものになり
ます。もちろん、固定的にとらえると実態と全く異なることが出
てきます。従って、数値として捉えるなら、3段階ぐらいに分け
るのがベターです。


4 痛手はいつも同じにやっては来ない 
 また、男と女で比較してみると、男の方が弱さや傷つきやすさ、
頼りなさなどを指摘されると痛手となるようです。
 一方、女の方ではゴーマンとか横柄などという表現で攻撃され
ると痛手になることがあります。従って、性格(気質)には男女差
があるとわかるでしょう。

 エニアグラムの9つの気質は、基本的に男女差がないものと考
えています。しかし、実際には、攻撃性が強いのは男性であり、
浮気症も男性のほうが強く、行動力も男性のほうがあると考えら
れます。

 なお、どのタイプも中身がないとか、頭の悪さに関することを
言われたら、不愉快になるのは当然のことです。あるいは、家族
や伴侶の悪口を言われても、同じです。       

 ところで、状況によって同じ否定的なことを言われても、ある
ときは痛手になり、あるときは痛手にならないことがあります。
また、言った相手との人間関係によって、さして酷いことを言わ
れた気がしない場合があり、反対に、相当に深刻になってしまう
場合もあります。さらに、当人の精神状態によって、痛手になる
一言が異なります。  
                                 

5 言葉うらはら            

 さまざなな罵詈雑言、罵倒する言葉がありますが、そのうちの
どんな一言に対して「異様な反応」をするのか、自分でも気がつ
かないことが多いのです。その時にならないと、自分でも分から
ないと思われますが、およその見当はつけられます。

 エニアグラム性格学では自分が最も隠したいこと、最も嫌って
いる自分の性格があからさまになりますから、精神的な打撃を受
けます。

 例えば、「2w1の人たちはよくぶりっ子しているね」と言わ
れて、怒り出した女性がいます。1のウイングが重い人ほどぶり
っ子をしていますが、その事実を認め受け入れることができない
のは、当の本人なのです。

「わたしって傷つきやすいのよ!やっと分かってくれた」と言い
つつ、とてもうれしそうな表情をする人がいます。このうれしそ
うな顔をした人は、傷つきやすいところがないとは言えませんが、
あまり傷つきやすくない人なのかなと見ます。

「わたしってこんなに繊細なところがあるのよ!」と自ら言いだ
す人には、繊細という要素は少ないのです。逆に、真に繊細な人
は、自分のことを繊細だと気づかないものです。また、「繊細」
などとは言わず、「神経質」というのではないでしょうか

 また、気づいているなら、傷つきにくい強い人間になりたいと
いう思いが強くなるでしょう。そして、繊細さというものを弱さ
の表れでもあると考えて、他人に知られたがりません。ですから
自分のことを繊細だと、軽く吹聴できるような状態にはなりませ
ん。本当に傷つきやすくて神経質な人であれば、「俺は強い人間
だ!」とか、「私は昔、タイプ8だった!」「私って、結構傲慢
で、強い人間よ!」と語る可能性が高いと考えられます。 
               
 その他、いろいろな言い方から、言った当人の性格が分かるこ
とが多いのです。例えば、「がんばらなくてもいいよ!」と他人
に言う人は、つい!がんばってしまう人です。無気力でやる気が
起きにくい人に、「がんばらなくてもいいよ!」と言っても、当
人はどのように返答したらよいのか、困ることではないでしょう
か。

 「自分は安定している」と口癖のように言う人がいたら、それ
は安定していないことを表わしています。「自分は正直だよ!」
としばしば語る人は、正直なところは少ないのではと考えてしま
います。


 囚われている人ほど傷つく          
                

 もっと一般的な例を上げるなら、「男らしくありたい!」とい
思いが強く、男らしさに囚われている人ほど「男らしくない!」
と他人に言われると傷つき腹を立てます。同様に、「女らしくあ
りたい!」という思いが強く、女らしさに囚われている人ほど、
「女らしくない!」と、他人に言われると傷つき、腹を立てます。

 反対に、「男らしい」や「女らしい」という幻想に囚われてい
ない人は、傷つくことも少なく、腹を立てるほどのことでもない
のです。ですから、人々と穏やかに仲良く過ごすことができます。

 このように、どのような一言が痛手になるのか、タイプごとに
違い、男女の違いによっても異なり、境遇によっても、その時の
精神状態や人間関係によっても異なると考えられます。

 そして、ここではっきりしてきたことは、否定的なことを他者
に言われても、傷つかず腹を立てないとしたら、その人は相当に
強くて逞しく、人間的にも成長して自信と余裕をつけている人で
す。

 そして、些細なことや、軽微な欠点を指摘されているだけなの
に、相当に傷ついて落ち込み、怒り狂い、興奮して攻撃的になる
と、それは、まさに指摘が当たっているのです。従って、その人
はかなり余裕と自信のない、人間的にも後退している人ではない
でしょうか。 

     
                           
 なお、講座では、自分の欠点を何度となく見ていくために慣れ
てきます。自分を客観的に見る訓練ができるのか、いつの間にか
欠点を自然に受け入れられるようでもあります。従って、欠点や
短所はなくならないが、それらを克服することは可能だと言える
のではないでしょうか。

 また、これまで見てきたように、誰もが何かに囚われて苦しみ
ますが、その囚われは全て、自分の心の中で作り出しているもの
だと考えることもできます。苦しみは外部からやってくるのでな
く、そのほとんどは、自分の心が作り出しているものだと悟るこ
とができたなら、問題のほとんどは解決しています。