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少なくとも、入門書に書いてあるような、市販のビールキットの様に砂糖添加でアルコール分を高めた物だけは作るまいと思いました。いえいえ、決して既存のビールキットを批判しようとは思っていません。それらのキットが、日本の各種の規制と戦いながら自家醸造を拡げる為に果たしている役割は、とてもすばらしい物です。またそのようなキットで作ったビールも、飲ませてもらった限りでは市販ビールより美味しいものです。ただ、アルコールが弱い私には、エキス分が弱くアルコール分を補強したビールが向いていない、と思ったからです。
最初に米国の友人から送ってもらったWilliam's Brewing*のカタログを隅からすみまで読みました。でも、さっぱりわかりません。書かれた言葉はわかるが、味については、こちらに指針となるべき経験がないので、全く見当が付かないのです。さらに、モルト、ホップ、イーストの種類の多様性、あげくにマッシングだの2次発酵だの、それまでに読んでいた日本のビール作りの本で描かれた世界と全く次元の違うところに迷い込んでしまった思いです。「穏やかな木のような風味と、澄んだ豊かな苦みを持つ」 Kent Goldingホップと「スパイシーな芳香と、マイルドなこくのある苦み」のhallertauホップとの違いは作ってみないとわからない。
どの種類がどんな味かを知るためには、手当たり次第に飲んでみる事が一番だ、と思いました。そのため、キットビールを作り続けます。友人が米国にいる間はWilliamsから購入して、送ってもらいました。SeattleのSellersという店のカタログも友人から送ってもらいました。ここは日本に出荷してくれますが、キットが無く、材料リストが載っているだけなので、何を注文して良いのか全くわからなく、しばらく放置したままでした。
どんなビールキットを作ったのかを表にして紹介します。なお、The Cellarsがキットを作り始めたので、途中からはそれを作っています。
こんなビールを作りました |
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今までに作ったビールの一覧表です。レシピと製法も幾つか載せてあります。 |
さて、9回も作った時点で、相変わらずビールの事について何も知識が付いていないのを感じました。問題は、キットに含まれる材料が、何であるかわからない事にあります。このホップは何なのか、このモルトエキスは何なのか、この特殊穀物は何なのかを知ることによって、それぞれの味の特徴を知ることが出来るはずなのに、Williamのキットでは内容物の説明がありません。つまり、私にとって、Williamのキットには発展性がない、ということです。
ただ、このキットを使って、Pale ale、Bitter、Porter、といった典型的な幾つかの種類のビールの味については若干のイメージを掴むことが出来ました。勿論、名古屋周辺の地ビールを幾つか飲んでみたり、醸造時の飲み物として変わった種類の輸入ビールを色々試してみたりしたことも、それに役立っています。また、ひょっとしたら味覚音痴なだけかもしれませんが、今まで作ってきたキットビールはそのようなプロのビールと比較しても決して劣っていない、と思いました。
10回目からThe Cellarのキットを使うようになって、材料の内容がはっきりわかるようになりました。これで、材料の種類と特徴がはっきりつかめる条件は出来ましたが、どの組み合わせで醸造するとどんな味になるかは、まだまだ先の目標です。ビールラベルに最初から「Original」とうたっている私としては、いつになったらそれが実現できるのやら。
19回目で、マッシングをやりました。モルトグレインをモルトに含まれる酵素によって糖化させて麦芽糖を作る段階からの醸造です。朝から初めて、発酵タンクに仕込み終わると夕方です。手間をかけただけの美味しさが期待されます。
12月末に飲みました。#18と同じレシピですから、基本的には同じ味なのですが、比べると微妙な美味しさがあります。甘味うま味こくが複雑に融合してます。泡持ちが素晴らしく良いです。手間に見合う美味しさです