野球狂の詩 後編
『あーっと、空振り三振! ・・・二回表、ドラグーンズの攻撃は三者凡退に終わりました!』
「あっちゃー・・・」
僕と先生は同時に顔に手を当て、天井を仰ぎ見た。
翌日。
僕が先生の部屋へ来ると、先生はいつも通りに僕を部屋に上げてくれた。
ホントのところ、昨夜は起きてたんじゃないかと気が気でなかったけど、先生のそぶりはいつもとなにも変わらず、僕は胸をなで下ろしていた。
でも、困った事が一つだけ。
僕はもう、先生の顔を見るだけで心臓の高鳴りを抑える事が出来なくなってしまっていた。
昨夜のアレを思い出す。
先生のチンポ。
その形、大きさ、色、匂い、そして・・・味。
思い出すだけで勃起が治まらない。
正直、僕はもうどうしようもないところまで追いつめられていた。
「まったく。あのヘボ監督・・・今日も負けたら承知せんからね」
昨日の負けが尾を引いているのか、先生の機嫌は良くない。
ビールをぐびぐび飲んで、酒臭い息と一緒に悪態をついた。
「・・・ちょっとションベン」
そう言って席を立つ。
僕は先生の姿がトイレに消えるのを確認して、ベッドの下の引き出しを開けてみた。
「あ・・・!」
一番上に置かれた本が変わっていた。
・・・つまり。
先生はあの後、この本を使って、オナニーしたんだ・・・。
軽く後悔しながら引き出しを閉じる。
「・・・先生・・・」
膨らんだズボンの前をさすると、切なさで胸が苦しくなった。
もし僕が女に生まれていれば、先生に抱いてもらえたのだろうか。
・・・でも、男じゃなかったら先生とは出会えなかったんだよな。・・・偶然街で出会う事があったとして、果たして先生の事を好きになれるだろうか。
先生の姿を瞼に描く。
お世辞にも美形とは言い難い顔。でっぷり太った身体。男らしい、というよりはズボラな性格。
・・・ムリっぽい。
っていうか、何もかもムリ。
先生と知り合う事も、恋に落ちる事も、抱いてもらう事も。なにより・・・逆立ちしたって、僕は女にはなれない。
「はぁ・・・先生・・・」
愛しい人の名を、もう一度呼ぶ。
「・・・なにー?」
間近で先生の声が聞こえ、僕は飛び上がった。
「うわ! せ、先生! いつの間に!?」
「いつって・・・今だけど?」
「あ、ああ、そうでしたか。お早いお帰りで」
「・・・なに言うとりゃあすか」
先生は自分の席にドスンと腰を下ろし、枝豆を口に放り込んだ。
僕は勃起を悟られないよう居住まいを正すと、テレビに注目した。
二回裏ティーゲルスの攻撃。最初の打者はフライを打ち上げ、あっさり打ち取られていた。
「よしよし」
にんまりと笑う先生。
今日の試合運びは非常に早い。この分だと中継の延長は無さそうだ。僕としては、時間いっぱいまで延長してくれた方が嬉しいのだけど。
「あ、たわけか、もう!」
次の打者が内野ゴロを出し、一塁に出た。
記録はエラー。先生の怒りももっともだ。
「今日の試合、ティーゲルスの方が押してますね・・・」
「まだだがね。ランナーが一人出ただけでしょー」
そうは言うが、スポーツには勢いというものがある。
ティーゲルスナインはその流れに上手く乗って、アウトをもう一つ取られつつも、とうとう三人目のランナーを出した。
早い話、ツーアウト満塁。
野球というスポーツでもっとも盛り上がるシーンだ。
自然と、僕も先生も固唾をのんで展開を見守る。
初球ボール。ストライク、ストライク、ボール、ボール。
気が付けばフルカウント。
次の一球でこの試合の流れが決定するといっても過言ではない。
「頼むでー・・・」
祈るように指を組む先生。
僕もそれに習う。野球をやるものとして、ファンとして、今は純粋にドラグーンズの応援をしていた。
ピッチャーが振りかぶって投げる。
白球は見事にミットに吸い込まれた。きわどいコース。
判定は・・・
『――ストライク! ドラグーンズ、危ない場面を何とか乗り越えました!』
「ぃやったあああぁぁぁ!!」
僕たちは盛大に歓声を上げて、固く抱き合った。
・・・・・・。
先生の匂いがする。
体臭とアルコールと煙草の匂い。
その匂いが、僕の理性を大きく揺り動かす。
「や、やめてくださいよ、先生」
その一言が。いつもなら言えるその一言が、なかなか出てこない。
ヤバイって。早く離れなきゃヘンに思われる。
やめてください、って言わなきゃ。
僕は意を決して口を開いた。
「・・・好きです・・・先生・・・」
・・・あれ・・・?
だというのに。
僕の口は、なぜか告白の言葉を紡いでいた。
先生の身体がぴくっと震え、硬直したのがわかった。
汗ばむ身体。
蚊取り線香の匂い。
ナイター中継の歓声。
窓の外からは虫の鳴き声が聞こえてくる。
風が吹き、窓の風鈴がちりん、と涼しげな音を立てた。
どれだけの時間、僕らは抱き合っていただろうか。
10分、いや、20分か。
・・・実際は、CMが始まって明けたところから察するに、1分か2分程度だったのだろうけど、僕にはそれくらいの時間に感じられた。
――ちりりん。
再び、風鈴が鳴る。
やがて、先生が引きつった笑いを浮かべて言った。
「な、なに言うとりゃあすか。・・・お、大人をからかうもんでにゃあよ・・・」
そう言って体を離そうとする。
今なら、まだ引き返せる。
「あ、あははは・・・冗談ですよ、冗談」
こう言えば。
この言葉さえ言えたなら、僕と先生は元の関係を保つ事が出来るはずだ。
それなのに。
僕は先生の背中に回した腕に、ぎゅっと力を込めていた。
「――本気です。・・・先生、僕・・・先生の事、ずっと好きだったんです」
再び先生の動きが止まった。
ポトリ、と蚊取り線香の灰が落ちる。
「た・・・たわけ。変な事言やあすな。わ、ワシら、男同士だがね。
それに、倍も歳が離れとるし、なにより・・・ワシは教師で、おみゃあさんは生徒でしょー。そんな関係、許されるワケ、ないがね」
その言葉に胸をえぐられ、僕は涙を流した。
断られた事ももちろん悲しいけど、先生を困らせてしまった事が何より悲しかった。
「ごめん・・・なさい・・・先生・・・ごめんなさい・・・」
泣きじゃくる僕の腕から力が抜けると、今度は先生が僕を抱きしめてくれた。
「泣かんといてちょ。頼むで、泣かんでちょーや」
「だって・・・ひっく・・・ごめんなさい・・・」
「ワシ、嬉しかったに。こんなワシの事、好きだ言うてくれて。ホントに嬉しかったんだで、泣かんでちょ」
僕は先生に抱かれたまま、しばらく泣いた。
やがて僕が泣きやむと、先生はそっと身体を離した。
「ごめんなさい・・・先生・・・」
「謝らんでええて。・・・ホントは・・・
・・・ワシも、ホントは上杉の事、好きだったんだで」
「・・・え・・・? ・・・でも、だって・・・」
そんな、先生はノンケのハズ・・・。
「さっきも言うたでしょ。ワシら歳離れすぎとるし、なにより教師と生徒だがね。
・・・卒業するまで、待てんかね?」
そんな事言われたら、待てるものも待てませんよ。
「誰にも言いません。絶対、誰にも言いませんから・・・」
先生はゆっくり首を振った。
「勘違いせんといてちょ。ワシ、なにも我が身可愛さで言うとるわけじゃにゃあよ。
・・・そりゃ、少しはそういうのもあるけど・・・。ワシみたいなオジサンと、その・・・してまったら、おみゃあさんの人生、わやになってまうでしょー? だからだでね」
先生・・・。
僕は再び涙を流した。
でも、今度のそれは嬉し涙だった。
「そんなことありません。僕、どんな結果になったとしても、後悔なんてしません。先生を好きになった事、絶対に後悔なんてしません」
「上杉は、ホントにワシを困らせるね。
・・・そんな事言われたら、ワシだって辛抱できんようになってまうがね」
僕はそっと先生の胸に顔を埋めた。
先生がその太い腕を回してくれる。
「・・・抱いてください・・・先生・・・」
「ええの? ・・・ワシみたいなオジサンと・・・ホントにええの?」
「・・・お願いします・・・先生じゃなきゃ、イヤなんです・・・」
先生が僕の肩に手を置いて、そっと身体を離す。
真剣な表情の先生と目があった。
「途中で『やっぱやめて』なんて言っても、もう堪えれんからね・・・」
そう言って先生は僕にキスをした。
わっと盛り上がる歓声。
ドラグーンズ、川本の打球が見事なアーチを描き、ライトスタンドに突き刺さった。
でも、先生はテレビには目もくれず、僕をベッドに横たえてくれた。
先生の太短い指が、ボタンを一つずつ外していく。
やがて制服のボタンを全て外すと、先生の手が僕の胸を優しく揉んだ。
Tシャツの上からでも、先生の無骨な手のひらの感触が伝わってくる。
「・・・でらドキドキしとるよ?」
そう言われて、僕の心臓はますます暴れ出した。
そんな僕の制服を脱がし、Tシャツをたくし上げる。
表れたヘソを太い指が触り、腹をなぞっていく。
「・・・んっ・・・」
くすぐったくて思わず声を上げてしまう。
先生は満足そうに笑うと、僕のTシャツを脱がす。
「・・・引き締まったイイ身体しとるね・・・。うらやましいわ」
「先生に鍛えられてるせいですよ・・・」
この身体は、野球部の厳しい練習の賜だ。
すべて先生のおかげなのだ。
「・・・じゃあ今日はこっち鍛えたるな」
先生はそう言って僕の股間をぎゅっと握った。
ズボンの上からだというのに、電流のような刺激が走り、僕は身をよじらせた。
「でらビンビンだがん。若ゃーね」
何度も揉む。
「んっ、は、はぁっ・・・先生・・・」
「んー? こっちは鍛え方が足りんみてゃーだね」
「ああっ・・・だ、だめ・・・!」
せっぱ詰まった僕の声に、先生は手を離した。
「ズボンの中じゃ窮屈でしょー。ちょっと待っとりゃあな」
先生がベルトに手をかけ、外す。
バックルが立てるカチャカチャという音が、いやに恥ずかしかった。
ベルトを外すのを見計らい、僕はズボンを脱がせやすいように、ちょっとだけ腰を浮かせて待った。
先生がニヤリと笑ってズボンを引きずり降ろす。
ピンとテントを張ったパンツが現れて、僕はさらに赤面した。
「なんでゃーの、ブリーフじゃにゃーのかね」
ちょっと残念そうな先生の声。
「ぼ、僕もう高校生ですよ・・・?」
「別にブリーフの高校生だっておるでしょー?」
そうだけど。
・・・先生、ひょっとしてブリーフ好き? ・・・自分だってトランクスのくせに。
「まあええわ。脱がしゃあどっちゃでもおんなじだがね」
そう言ってパンツのゴムに手をかける。
僕はゴクリと唾を飲み込むと、さっきと同じように腰を浮かせた。
ああ、とうとう、先生に全てをさらけ出す時が来たんだ。
恥ずかしい半分、嬉しい半分だった。
「・・・先生・・・」
先生の手が下がり、僕は先生の目の前に自身を晒した。
「はぁ・・・心作・・・」
僕の名前を呼んで、先生がそれに顔を近づける。
鼻息がくすぐったい。
・・・あれ?
・・・今、先生・・・僕の名前を呼んでくれた・・・?
「かわいいよ。心作・・・」
やっぱり。
先生、僕の事、名前で呼んでくれてる。
僕は嬉しくなって、思わず泣きそうになった。
「先生・・・かわいいはヒドイです・・・」
「悪い悪い。・・・でも、しゃーにゃーがね。ホントにかわいいんだで・・・」
先生がそっと僕自身に口づけした。
初めて直接触れられて、僕はびくんっと体を震わせた。
「せん・・・せ・・・」
「んー?」
上目遣いに僕をみて、先生が舌を出す。
って、ヤバイかも。
猫科の人の舌はザラザラだ。
そんなもので舐められたら・・・
僕が覚悟を固めるより早く、先生はその舌で僕の亀頭を舐め上げた。
「――ひあぁッ!」
痛いとさえ感じられる快感に、僕は悲鳴を上げた。
「ホント、でらかわいいがね」
僕をパクリと口に含んで奉仕する先生。
じゅるじゅると、わざと大きな音を立てて先生は僕をしゃぶった。
「はっ、あはぁっ! ダメ・・・! 先生、待って・・・ッ」
「なにー?」
先生が口を離す。
涎が糸を引き、いやらしく光った。
「先生も・・・その・・・裸に・・・」
僕だけ全裸で、先生だけいつも通りなのは不公平だ。
僕は身体を起こすと、先生のお腹を撫でた。
「ワシの裸なんか見たって面白くにゃーよ」
「そんな事ありません。・・・見せてくださいよ・・・」
僕はお腹を撫でていた手を下ろし、タンクトップの裾を掴んだ。
先生はちょっとためらった後、バンザイをしてくれた。
わきの下の匂いが漂ってくる。・・・でも、不思議とイヤな匂いじゃなかった。
「先生・・・」
僕は先生のタンクトップを脱がす。
たぷん、という音すら立てて、先生の太った身体が垂れた。
「・・・やっぱ恥ずかしいわ・・・」
「素敵です・・・先生」
偽らざる感想を述べて、僕は先生の乳首に吸い付いた。
片手でもう片方の乳を揉み、片手で腹を触る。
「ああ・・・せんせぇ・・・」
先生は照れたように目を閉じると、照れ隠しに言った。
「なんでゃーの。心作はデブ専かね」
「ちっ、違いますよう!」
・・・とはいうものの。
ひょっとしたらそうかもしれない。
あ、いやでもさすがに100キロを超えるような体型の人はカンベンだし、先生にはもうちょっと痩せて欲しいとも思う。・・・うん、僕はデブ専じゃない。
「僕は、先生が、好きなんです」
そうだ。僕は先生が好きなのであって、先生の体型が好きなワケじゃない。
たとえ先生が痩せていても、もっと太っていても、僕は間違いなくこの人を好きになったはずだ。
・・・それでも、先生はやっぱりこの体型が一番カッコイイと思うのは、恋に目が眩んだ僕の偏見だろうか。
「嬉しい事言ってくれるね」
先生は僕の頭を撫でてくれた。
僕は先生の胸を吸いながら思いっきり甘えさせてもらう。
「先生・・・こっちもいい?」
僕は先生の股間を撫でた。
ビンビンになっているのが、パンツの上からでもハッキリわかる。
「・・・ええよ」
そう言って先生は膝を立て、僕の目の前に腰を突きだした。
その後ろで長い尻尾が左右に振られている。
「・・・失礼します」
なんと言っていいのかわからず、そんな事を言ってしまう。
僕は先生のトランクスに手をかけ、ゆっくりと脱がしていった。
まずはお尻の方から攻略する。
抱きかかえるように手を後ろに回し、脱がす。パンツの中に手を入れてその長い尻尾を出すと、先生のパンツは勃起したチンポのみに引っかかっている状態になった。
「はぁ・・・」
思わずため息をついて、そのままパンツをズリ下ろす。
充血したチンポを下に向けられ、先生が苦しそうに呻いたけど、ガマンしてもらう事にした。
やがてパンツがそれを乗り越えると、抵抗を失った先生のチンポは勢いよく反り返って、ペタンと腹を打った。
「ああ・・・せんせぇ・・・!」
いても立ってもいられずにそれをくわえる。
口の中に広がる先生の味。
ああ、幸せだあ・・・。
「んっ・・・心作ぅ・・・」
先生も気持ちいいのか、切ない声を出して僕の頭を撫でてくれる。
僕は顎が疲れるまで先生に奉仕した。
「心作・・・ち、ちょっと、待ちゃあ」
先生が腰を引き、僕の口の中から出てしまう。
「先生・・・も、もっと・・・」
「待ちゃあて。・・・ワシにもねぶらせてちょ」
先生に押し倒され、僕は乳首を吸われた。
「ん・・・!」
「はぁ・・・はぁ・・・」
荒い息を吐きながら、先生の顔が下りていく。
そして、僕は再び先生にくわえ込まれた。
「あぁ、んっ・・・せんせ・・・ッ! すご・・・!」
大人のテクニックに身をよじらせ、シーツをぎゅっと握りしめる。
だ、ダメだ・・・気持ちよすぎるよぉ・・・
「先生・・・ダメ・・・」
「んー?」
口を離すと、先生は僕を握りしめて上下にシゴき始めた。
僕は激しい快感に身悶えする。
「せんせっ・・・! ダメ・・・っ! ・・・出ちゃう、出ちゃうッ!」
「まあちょっこっと辛抱できん?」
そう言いながらも先生は手を止めてくれない。
「はあっ! は、はああっ! ダメ! もう・・・もうダメッ!」
「・・・ほんならイッてもええよ。楽になりゃあ」
その言葉が終わる前に、僕は射精してしまっていた。
「あっ、あああぁッ!」
ビュッ、と飛んだ精液が顔まで届く。
その後もビュッ、ビュッと精液を飛ばし、僕はその都度体を震わせた。
「おお。ようけ飛ばすなあ」
面白い物でも見るかのような口調で先生が言い、さらに握力を込めてシゴいてくれる。
おかげで、僕は最後の一滴まで気持ちよく出す事ができた。
「は、はぁ・・・ん・・・あ・・・せんせぇ・・・」
ぐったりと横たわる僕の身体を、先生が拭いてくれた。
枕元のティッシュを惜しげもなく使い、僕の身体を綺麗にしてくれる。
「あ・・・ごめんなさい・・・」
「ええて。寝とりゃあ」
精液を全て拭き取ると、先生は僕に覆い被さってキスしてくれた。
「ぎょうさん出したね。ゆんべも出したハズなのに」
「はい・・・」
・・・ん?
なんで先生、そのこと知ってるんだろう・・・。
「先生・・・?」
「んー?」
僕が聞こうとするより早く、先生は「ヨシ!」と身体を起こした。
え。もしかして、これで終わり・・・?
そんな、僕、もっと先生としたいよ・・・。
「ま、待って、先生」
えと、なんて言えばいいんだ・・・?
「先生もイッてください」、か? それとも「先生も気持ちよくしてあげたい」、か?
「えっと、その・・・」
僕が言葉に困っていると、先生は意志を汲んでくれたのか、はたまた本心か、ニカッと笑って言った。
「――今度はワシの番だがね」
先生の手が僕の身体を撫で回す。
もう片手は、自身をゆっくりとシゴいていた。
「先生・・・しゃぶらせてください・・・」
「・・・ええよ」
手を止め、僕にそのチンポを差し出す先生。
僕は大喜びでそれをくわえた。
「心作・・・ワシのちんぼ、好きか?」
あ、当たり前の事、聞かないでください。
僕は先生に奉仕しながら頷く。
「・・・ありがとな」
お礼を言うのはこっちの方なのに、先生はそう言って僕の身体を撫でてくれた。
その手が下がっていき、尻尾を握る。
「んっ・・・」
ゾクゾクする感触に肌を粟立たせ、それでも僕は先生を離さなかった。
先生の手がさらに下りていき、僕のお尻を撫でた。
「心作・・・ここ、できるか?」
先生の指が、円を描くように僕の秘部をさすっている。
「・・・はい」
僕は先生を吐き出して、嘘をついた。
僕のお尻はバージンだ。
といっても、自分の指を先生に見立てて受け入れた事なら幾度とある。
きっと大丈夫。
「・・・そうか」
っぷ、と、先生の指が入ってきた。
「ぁっ!」
僕の指より太い。
僕は思わず声を出していた。
「・・・ホントは初めてやら?」
見抜かれていた。
それなのに、先生は指をグリグリと動かして僕を責める。
「は、はうぅっ・・・は、はい・・・初めて・・・です・・・ああんっ!」
「ムリせんでええ。焦らんと、じっくりやろまい。・・・な?」
一気に指を引き抜かれ、僕は泣いた。
「い、いや・・・先生・・・お願い・・・」
「ええのか? ・・・コレが入るんだぞ?」
目の前に突き出されたのは、いきり立った巨根。
正直言って、怖かった。でも、それ以上に、それが欲しかった。
「はぁ・・・お願い・・・先生・・・僕の、初めての人に・・・」
「ワシみてゃーなオジサンでええのか?」
「はい・・・先生に・・・もらって欲しい・・・」
「痛ゃーぞ?」
「・・・はい」
「途中で止めて言うても、ワシ止めんよ?」
「う・・・はい・・・」
「・・・じゃあ、ちょこっと待ちゃあな」
先生はそう言うとベッドの下の引き出しを開けて、コンドームとローションを取り出した。
別に生でも良かったのだけど、僕がそう言う前に先生はコンドームを着けていた。
「・・・手慣れてますね・・・」
「まあ、ワシ、大人だでね。・・・ヤキモチ妬いてくれとる?」
「べ、別に・・・」
僕はプイとそっぽを向く。
「・・・安心しやあ。これからはワシ、心作だけのモンだで」
「先生・・・」
嬉しい事を言ってくれる。
「ほれ、ケツこっち向けやあ」
言われるまま、僕は四つんばいになって股を開いた。
ローションを塗りたくった先生の指が、再び侵入してくる。
今度はすんなり入った。
「あっ・・・ふぅ・・・」
「んー? ・・・指一本なら楽に入るがね」
「はぁ、ああっ。・・・先生・・・」
「心作、自分で何度もやっとったね?」
「う・・・はい・・・」
先生の指が二本になる。
さすがに苦しくて、僕は呻いた。
「痛ゃーか?」
「いえ・・・平気・・・です」
「ほうか」
先生が指を抜き差しする。
最初こそ痛かったが、じきに慣れた。
「は、はあん・・・ぁ・・・せんせぇ・・・」
「ほほぉ。・・・心作、おみゃあさん才能あるね」
そう言って先生は指を引き抜く。
その刺激に、僕は悲鳴を上げて身体を仰け反らせた。
ポトリ、とベッドに涎が垂れてしまった。
「心作、ワシもうガマンできん・・・。ええか?」
先生が立ち膝になって、その先端を僕にあてがった。
「はい・・・来て・・・先生・・・」
ず、と先生が入ってきた。
太い。
僕が甘かった。指三本なんて生易しいモノじゃない。
僕は悲鳴を上げて泣いた。
「ちょ・・・声がでかいて。隣の先生に聞こえてまうでしょー」
「あ、ふ・・・でもぉ・・・ひいっ!」
「ち、ちょっと待ちゃあ」
先生はリモコンを取ってテレビのボリュームを上げた。
ナイター中継の音声が、うるさいほどに大きくなる。
「これで思う存分あえいでええよ」
「あ、ああん! ひ、先生・・・! せんせぇ・・・っ!」
ず、ずぷ、と音を立てながら先生が入ってくる。
苦しい。
でも、それ以上に嬉しかった。
「ああああっ、あ、あああっ、はぁあああっ!」
僕は我を忘れて泣いてよがった。
枕に顔を埋める。
先生の匂いがして、僕はさらに興奮した。
「もうちょっと・・・ガマンしやあな・・・」
「はい・・・っ! ん、ふぅ・・・んんっ!」
先生の侵入が止まった。
「ほれ、全部入っ・・・」
『おおっと、これは大きい! 入るか!? 入るか!? ・・・入ったーっ!!』
「・・・・・・」
「・・・・・・」
あまりといえばあまりの中継に、僕らは思わず顔を見合わせていた。
テレビではドラグーンズが2点目を入れたところだった。
「・・・ぷっ」
「あ、あはははは・・・」
どちらからともなく笑い出す。
先生が体を震わせるたびに、僕は痛かったけど、それでも可笑しかった。
「・・・ふう。・・・どうだ? まだ苦しいか?」
「いいえ・・・平気です」
別の意味で苦しかったけど。
「ほんなら動いてええか?」
「あ・・・ま、まだ・・・もう少し・・・このままで・・・」
「ほうか」
先生が身体を預けてくる。
その重さが、心地よかった。
「はぁ・・・先生・・・ピクピクしてる・・・」
僕の中で、先生が脈打っているのが感じられて、僕は呟いた。
「こういうの好きか?」
「はい・・・」
先生がチンポに力を入れると、僕の中でビクッと跳ねる。
同時に、僕の身体もビクッと震えた。
まるで僕そのものが、先生のチンポになったような錯覚がした。
「は・・・せんせ・・・すご・・・」
「んー?」
グッ、グッと何度もチンポに力を込めて、先生は僕をいじめた。
「ん、んんっ・・・!」
「心作のちんぼ・・・すっかり萎えてまったな」
先生は僕の腰に手を回し、縮こまった僕自身を握る。
「あ・・・」
恥ずかしくて身をよじらせたが、逃げられるはずもなく、僕は後ろと前を同時に責められてあえいだ。
「心作はまだ包茎だね」
「せんせ・・・恥ずかしいよ・・・」
「これからはワシが鍛えたるで。じきにズルムケになってまうよ」
チンポを剥かれる。
現れた亀頭をいじられて、僕は身体を震わせた。
「なあ・・・そろそろ・・・動いてもええか?」
そういえば先生はずっと僕に挿入したまま、動いていない。
その声にはどことなく焦りが感じられた。
「は、はい・・・」
答えると同時に先生が腰を引く。
ずるっ、と音さえたてて、先生のカリ首が僕の中をひっかいた。
「ひ・・・!」
「おお・・・やっぱ初ガマは、よう締まるわ・・・」
ずん、と貫かれる。
「ひあっ!」
「へへへ・・・かわいいよ、心作・・・」
先生は僕が感じているのを確認すると、本格的に腰を使い始めた。
ずぷっ、ずちゅっ、と二人の結合部がいやらしい音を立てて、僕のあえぎ声がそれをかき消す。
「ハアッ、ハアッ・・・!」
「あ、ああああんっ、あああっ! あっ!」
激しい腰使いに、ずるんと、先生のチンポが抜けてしまう。
それでも先生の腰は急には止まらないのか、僕のお尻を何度も突いた。
「は・・・あ・・・抜けてまったわ・・・」
「先生・・・も、もっとぉ・・・」
「わかっとるて」
先生は僕をひっくり返した。
何を言われるまでもなく、僕は自分の足を抱えて股を開く。
「やぁらしいな、おみゃあさん」
「う・・・だ、だってぇ・・・」
「ほれ、もうここ、ぐちょぐちょになっとるよ?」
先生の指が、恥ずかしい音を立てて僕の肛門をかき回す。
「んふぅ・・・は、早くぅ・・・」
「ホント、いやらしいわ、まったく・・・」
先生が覆い被さるようにのしかかり、僕を貫く。
「んんっ!」
僕は先生の首に手を回して、キスをした。
・・・ああ、やっぱり正上位の方がいいなあ。
「心作・・・また勃ってきたよ?」
先生の言うとおり、僕は再び勃起していた。
前立腺とやらを刺激されたせいか、純粋に回復しただけか。
「はい・・・先生・・・気持ちいい・・・」
先生の柔らかいお腹にこすられ、僕は先走りを垂らしていた。
「ちんぼ、痛くにゃあかね?」
「え・・・あ、ちょっとだけ・・・」
僕が言うと、先生はローションを手にとって僕自身に塗りつけた。
ぬるぬるのローションで滑りを良くすると、そのままお腹でこするように腰を振る。
「あ、すご・・・! はあっ、せんせぇ・・・っ! いいっ、気持ち、いいよおっ」
前と後ろを同時に責められ、僕は泣いてよがった。
先生の首に回していた腕がほどけ、バンザイをするような恰好になる。
そのわきの下に鼻先を突っ込まれ、恥ずかしかったけど、すごく気持ちよかった。
「心作・・・心作ぅ・・・」
口を半開きにして先生が腰を振る。
汗が鼻先に滴を作り、ポトリと落ちた。
「先生・・・! イク・・・僕・・・またイッちゃいそう・・・!」
「ホントか?」
先生の動きが激しくなる。
「は・・・はあっ・・・ダメ・・・もう・・・! せ、先生ッ!」
先生のお腹にしごかれ、ぴゅっ、と僕は射精した。
さっきほどではないけど、精液を何度も飛ばして痙攣する。
「おうっ、締まる・・・ワ、ワシも・・・!」
「先生・・・来て・・・!」
「ハ、ハアッ! 心作ぅ・・・っ! ・・・うッ!」
僕に身体を預けて、先生が痙攣した。
びくん、びくん、と体を震わせるたびに、僕の中の先生が膨れあがるのがわかった。
「先生・・・すごい・・・」
「んっ、アッ・・・ハァ・・・ッ・・・く・・・っ!」
汗だくになった先生の身体を抱きしめる。
先生はぐったりと脱力し、大きく息をついて身体を上下させた。
「へ・・・へへへ・・・」
「先生・・・僕、嬉しい・・・」
「・・・ワシも。ありがとな、心作・・・」
「そんな・・・こちらこそ・・・」
ずる、と先生が引き抜かれ、僕は仰け反った。
「ぎょうさん出してまったわ」
そういう先生のコンドームには、たっぷりの精液が詰まって、まるで水風船のようになっていた。
「うわ・・・ほんとだ」
僕はそれを愛おしそうに撫でると、こぼれないようにそっと外した。
ピンクのコンドームの先に、精液がたぷたぷと揺れる。
「・・・欲しかったな・・・これ・・・」
「ん? 何か言うた?」
「あ・・・いえ、何でも」
指でつまむように、精液を弄ぶ。
「たわけ。そんなモンで遊びゃーすな」
タバコをふかしながら、先生が注意する。
僕は耳を寝せると、渋々コンドームの根元を縛った。
先生は奪うようにそれを取り、ゴミ箱に放り込んだ。
「あ・・・」
「そんな残念そうな顔しやあすな。
・・・これからは、好きなだけくれてやるで」
「はい・・・!」
嬉しくて、僕は先生に抱きついた。
「あっ、コラ! タバコ、危ないがね」
「えへへ・・・先生・・・大好き」
「・・・ワシも、好きだで。心作・・・」
僕たちはベッドに横になり、先生に腕枕してもらう。
「先生・・・」
「心作・・・」
名前を呼んで、僕の頭を撫でてくれる。
・・・あ。そうだ、名前・・・
僕も名前で呼んでも、いいのかな。
「好き・・・龍之介さん・・・」
「ぶっ」
先生はタバコの煙にむせて、咳をした。
「大丈夫・・・?」
「た、たわけ! 変な事言うからでしょー!」
「えー、でも・・・龍之介さんだって、僕の事名前で呼んでくれたから・・・」
「ワシはええの! ワシの事名前で呼ぶのは禁止! ええな?」
僕はちぇ、と舌打ちして言った。
「わかりました。・・・龍之介さん」
「・・・ぶつよ?」
「わあ、冗談です! 冗談ですって、先生!」
「ったく・・・」
先生は呆れてテレビに目を向けた。
相変わらずやかましい声で中継は続いている。
といってもイニングは9回裏。試合は終わりに近い。
「・・・でも先生・・・。先生って、ノンケじゃなかったんですか・・・?」
「は? ・・・誰がそんな事言うたの」
「え、だって・・・そんなそぶり見せなかったし・・・」
「38にもなって、ちょんが(独身)で、しかも彼女おらんっていうのは、そんなそぶりと違うん?」
言われてみればそうかも。
「じゃ、じゃあ、ベッドの下の本は? あれ、ノンケ用の、しかも無修正ですよ?」
「・・・知っとったのかね・・・」
「あ・・・ごめんなさい・・・」
「まあええけど。あれは・・・無修正だから買ったんだがね」
「え?」
「その方が・・・その・・・男の、ちんぼ、よく見えるでしょー?」
そうか。
先生も、あの写真で真っ先に男の方に目が行ってたんだ。
グラビアの女性に嫉妬していた自分がバカみたいだ。
そう考えると、なんだか可笑しい。
「なに笑っとりゃあす」
「だって・・・先生、かわいいもん・・・」
「たわけ」
こつんと僕の頭をこづいて、先生は再びテレビに目をやる。
9回裏、ティーゲルスの攻撃。
点差は2。
この分だと、延長は無さそうだ。
「今日は勝てそうだな」
「・・・そう・・・ですね・・・」
ツーアウト。ランナーは一塁に一人だけ。
試合は決まったも同然だ。
ドラグーンズが勝って嬉しい反面、僕と先生の時間もここで終わりだと思うと悲しい。
ここで一発ホームランが出れば、同点となって延長戦に突入する。
そうすればナイターも延長。僕らの時間も延長だ。
「・・・・・・」
僕はチラリと先生の顔を盗み見ると、こっそりティーゲルスの応援をしてしまった。
もうちょっと、先生と一緒にいたい・・・。
その願いが通じたのか。
快音を響かせた打球が大きく舞い上がり、スタンドへ消えた。
「・・・あ・・・」
「あーあ・・・」
同点だ。
「せ、先生・・・?」
自分でお願いしといてなんだけど、こりゃ、そうとう不機嫌になってるんじゃないかな・・・?
僕はおそるおそる先生の顔を覗き込んだ。
でも、先生はフウ、とため息をついただけで、それほど不機嫌じゃなかった。
「ワシ、ファン失格かなー・・・」
「え?」
「今、ワシ初めてティーゲルスの応援してまったわ」
「え、先生も・・・?」
僕がそう言うと、先生はジロリと僕を睨んだ。
「なんだ、心作。・・・おみゃあさん、ドラグーンズを裏切ったのかね?」
「そ、そんな、先生だって・・・!」
「ワシはええの。ファン歴長いもん」
それはずるい。
「あーあ。心作のせいでドラグーンズがピンチだがね」
「えー! そんなー!」
僕らの思惑通り、試合は延長戦に突入し、ナイター中継も延長と相成った。
これで、もう少し先生と一緒にいられる・・・。
「心作・・・」
「はい?」
先生は、僕から視線を逸らして、照れたように言った。
「その・・・ワシらも・・・延長戦、突入せんか・・・?」
おしまい。