1999年2月中旬のコーカイ日誌



  ●なぜ久米宏を辞めさせないのか? (1999/2/20)
 ようやく謝罪した久米宏。あれだけ世間から叩かれてから頭を下げても、いやいや謝っているようにしか見えません。しかも彼の釈明(?)の言葉によれば、「数値の中身を知らず」に「数値の公表を主張した」張本人だということで、となると、今回の騒動の責任はまさに久米宏にあることになります。だとしたら彼は即刻責任をとってキャスターを降板すべきでしょうし、本人が言い出さないのならテレビ朝日が降ろすべきです。TBSはオウム事件の時はワイドショーを潰したし、森本毅郎が女性問題で騒がれた時には、さっさとキャスターを降ろしました。いくらテレ朝には「ニュースステーション」しか視聴率を取れる番組がないからと言って、ここで久米宏を降ろさずして、果たして報道機関と言えるのでしょうか?事は女性問題よりはるかに深刻なはずです。

 そもそも伝えるニュースの中身をよく検証もせずに、これだけ重要なことを世間に垂れ流す「ニュースステーション」というニュースショーの体質自体に問題があるのは明らかです。夜のニュース番組は各局で激しく視聴率を争っていますが、「ニュースステーション」がその中心となっていることは確かです。この番組が日本において視聴率を狙って取りにいくニュース番組の走りだったからです。そして久米宏がバラエティ番組で培ったノウハウを生かして、それに大きく貢献したこともまた間違いありません。

 しかし、本来報道番組はバラエティやドラマと違って視聴率が取れれば良い、というものではないでしょう(バラエティやドラマも視聴率至上主義はどうかと思いますが)。テレビ局もジャーナリズムの端くれなら、せめて報道くらいには、それなりの矜持を示して欲しいものだと思います。特に朝日新聞系列は、日頃から人道主義的理想主義的正義感的姿勢(笑)が売りのはずです。身内の事件の時にはすぐに居直ったり隠したりする「サンゴ礁体質」がまだ直っていないのだとしたら別ですがね。

 ただイヤなのは、朝日新聞系列でこういう事件があると、いきなり「そら見たことか」と尻馬に乗って騒ぐ朝日嫌いの右がかった保守派な人たち。特に最近は小林よしのり以来、ちょっと右翼っぽい言動が流行のようで、朝日新聞を叩けばカッコイイと思っているようにしか見えません。かつての進歩的知識人系新左翼と同じで、「坊主憎けりゃ袈裟まで理論」でしかなく、いずれにしても底の浅いことです。
●トトカルチョとしては面白い都知事選。 (1999/2/19)
 青島都知事の不出馬宣言以来、混迷の度合いを深める都知事選。自民党からは明石と柿沢の2人が出るし、民主党の鳩山邦夫もどうみても自民党の色が濃く、保守票はかなり割れそうな気配です。これで公明党が明石にするのか鳩山にするのか迷った挙げ句に自主投票、なんてことになると、意外と共産党三上が伸びる可能性も高いですね。青島を当選させた無党派層という名のミーハー票が、今度は野末陳平や桝添要一に流れないとも言えないし、いったい全体誰が勝つのか、現時点では皆目見当がつきません。

 ただ言えるのは、都知事選は一自治体の首長選挙ではなく、国政選挙の代理戦争と化していることです。特に自民党と民主党には、東京都にどういう問題があって、それをどうしていきたいのか、という視点が全く欠けている気がします。最近の東京は明らかに退廃するゴッサムシティと化しています。人とモノと金が集まりすぎて、環境汚染もゴミ問題も資源問題も逼迫してきていますし、もちろん以前から言われているように大地震が起きたらひとたまりもないでしょう。神戸よりも2桁くらい大きな被害が出たって不思議ではありません。財政だってノック知事の大阪ほどではないせよ、決して楽とは言えないはずです。繁栄しているかのように見えても、一瞬のうちに崩れ去る砂上の楼閣というフレーズがぴったり来るような状態なのです。

 東京都民は「都民」という栄誉(?)の元に、日本中でもっとも過酷な住環境に置かれ続けています。この東京都をどうするのか、その議論から始まるのが都知事選だと思うのですが、現実はあくまでも党利党略のための政争の具に過ぎません。都知事が誰に替わろうが、都民は汚染された空気と水と野菜を口にし、ゴミとクルマに囲まれ、世界一高くて狭い家に暮らすわけです。もっとも、それでもみんな東京を離れたがらないから仕方ないですけどね。政治家も甘く見るわけですよ、ほんと。
●この冬2度目の胃腸風邪。 (1999/2/18)
 昨年暮れに突如胃腸風邪に罹って体重が一気に4kgくらい落ちました。それからじわじわと盛り返していたのですが、昨日からまたいきなり同様の症状がぶり返して、すでに24時間くらい何も食べていません。吐き気と下痢でヘロヘロになってしまい、薬も吐いてしまうほどだったので点滴を受けたのですが、ようやく気持ちの悪さが収まっただけで、食欲が戻るまでにはなりません。

 咳や鼻の風邪も辛いことには変わりありませんが、食べられないとなにせ一向に回復しないだけに、結構きついものがあります。ただ寝ているだけですと、起き上がった時に世界がふわふわと回ります。うーん、トリップしているぜ、なんて気楽なことは言ってられないわけです。

 それにしてもこの冬はよく風邪を引きます。幸い猛威を振るうインフルエンザにだけは罹っていませんが、これだけのべつまくなしに風邪を引いていたら、インフルエンザに罹る暇もないのかも。毒をもって毒を制す、ってやつかな。はぁ。
●そろそろ流行の終わるもの。 (1999/2/17)
 長らく続いたRV車ブームは、不況が長期化するとともに終息を迎えようとしています。そもそもああいう自然と親しむために自然を破壊するようなクルマは、この時代に相応しくありません。廃って当然です。もっとも、RVの次に来るのがアルテッツァやシルビアのようなスポーツカーの復権というのでは、やはりエコロジーな流れとは逆行していますけどね。

 自然と親しむという意味では、いかにも似非エコなガーデニングのブームも、そろそろ終わりでしょう。あれはもともと園芸という名前で一部の土いじりの好きな人たちが楽しんでいたものなのに、ちょっとそれらしい名前が付くと、すぐに飛びつく流行りに弱い人たちがいたというだけのことです。結局地味な土いじりなんだから、いつまでもミーハーな人間がやってられないこと明白です。

 そろそろこちらも危ないかな、というのが熱帯魚。これまた実は昔からある趣味なんですが、ブームになると恐ろしいもので、妙にはまる連中が蘊蓄を傾けて語り始めます。しかし、生き物の飼育というのは園芸以上に根気がいる仕事ですから、流行りに乗っただけでは長続きしないこともガーデニングと同じ。大量に輸入された高級熱帯魚が余ってしまった時、貧乏くじを引いて泣きをみるのは誰でしょうね。

 そして、もう少しブームが続きそうなのがワイン。こちらもただ好きで飲んでいるうちは可愛いものなのですが、語ろうと思えば熱帯魚以上に蘊蓄を語れるものだけに、覚えたてのにわか知識を延々と聞かされるのだけは勘弁して欲しいと思います。あまつさえソムリエになりたいとか言い出すちょっと考えが足りない系の女の子とかもいて、つくづくうんざり。料理ひとつ満足に作れないくせに、得々とワインについて語るんじゃない、と思ってしまいます。

 でもまあブームなんてみんなそんなもんです。流行りものには必ず飛びつくミーハーな人間がいるからこそ、新製品のモニタリングもできるし、よりよい改良品を廉価で提供できるわけです。経済や文化を活性化するのだと考えれば、ミーハーは大切にしなければなりませんね。
●ラグビー日本選手権に意味はあるのか。 (1999/2/16)
 予想されたこととは言え、日本選手権1回戦はひどいスコアの連続でした。社会人4強対大学4強の直接対決、2試合が100点ゲームですし、残り2試合も全く大学チームに勝ち目のない大差がつきました。とても日本選手権という冠をつけるには値しないようなゲームばかりでしたが、とりわけ神戸製鋼に100-0で敗れた明治大学など勝ったOB小村が眉をひそめるほどのひどい出来でした。

 もちろん大学側にも言い分はあると思います。1ヶ月以上も公式戦から間が空いていること、その上、期末試験の期間が挟まって満足に練習もできないことなど。しかし、そもそも外国人も加わり年々チーム力が向上している社会人と毎年メンバーが入れ替わる大学生が対等に勝負できると思うこと自体がおかしな話なのです。例えばサッカーにせよバスケットにせよ、社会人のトップチームが学生に負けることなどまずありません。学生主導で始まったスポーツの場合、当初は大学が社会人より強いこともあるでしょうが、その競技が根付けば必ず逆転するものです。最近は比較的歴史の新しいアメリカンフットボールですら社会人の強さが目立ってきました。ラグビーもそういう意味ではようやく近代化できたのかも知れませんね。

 ところで、準決勝以降は4強のどこが勝ってもおかしくはないゲームになると思いますが、先日の社会人大会で優勝したトヨタが負けて、他のチームが勝った場合、今年のチャンピオンはどちらということになるのでしょうか?社会人ナンバー1はトヨタ、でも日本一は例えばサントリーとか言うことになったら、一体社会人大会はなんだったのでしょう?トヨタの優勝の意味はどこにあるのでしょうか?こうなってしまった以上、本来は社会人大会を最高の大会として日本選手権はとりやめにするのが筋だと思うのですが、あくまでも現行のカタチで進めたいなら、せめてトヨタはシードにするとか工夫はあって良いと思いますけどね。まあどうしても大学と社会人の対決をやってみたいというのなら、社会人大会を日本選手権と改称して、そこに学生チームが加わるようにするとかね。サッカー天皇杯やバスケットの全日本選手権も同じ方式でやっているのですから、ラグビーだけができないわけでもないでしょう。なんだか同じ顔触れの4強がまた戦うのかと思うと、あまりにもくどくて、ちょっとうんざりな気もするし。
●雪見の露天風呂。 (1999/2/15)
 毎年この時期には1泊で温泉に行くことにしています。今年は加賀・山中温泉にしました。目的は雪見風呂とカニ料理。特急しらさぎで名古屋から濃尾平野を抜け関ヶ原に入ると、もうあたりは雪景色。滋賀県北部から越前地方は、白く煙って先が見えないほどの大雪です。加賀温泉駅に到着。ここには8年ほど前に来たことがありますが、その頃は田んぼのドまん中にポツンと駅舎があるだけだったのに、今や随分と開けていました。駅前には大型スーパーを始め、いろいろな商業施設が建ち並び、道も新しく造られてクルマが増えています。鄙びた感じは全然なくなってしまい、そういう意味では旅行者には便利になった半面、ちょっと寂しくもなりました。

 宿の山中温泉「百峰閣」は62室もある大型旅館。団体客もかなり来ていて満室です。露天風呂が3つありますが、特に去年できたばかりの清水の舞台風になっている露天風呂は、広さも十分、綺麗で渓谷に面していて雪見風呂には最高でした。幸い団体客が夕食の時間に風呂に行ったので、客も他に数人しかおらず、空から舞う雪を頭に乗せながら、たっぷりと雪見を楽しむことができました。

 お目当てのカニは、さすがにシーズンだけあって身がしっかり詰まっていて美味しいのですが、この旅館は他の料理もしっかりしていてなかなかのものです。思い出せば「和の鉄人」道場六三郎の故郷がこの山中温泉。料理が全体にだしが効いていて薄味ながらしっかりと仕上がっているのも、その影響なのでしょうか。

 風呂良し、味よし、部屋は広い、施設は綺麗で豪華、その割には値段はリーズナブル(1泊2食\18,000)。文句はないはずですが、実はちょっと、というところもありました。5才の娘は予約の数に入っていなかったのですが、施設利用料として\1,000円、寝具代\1,000を取られましたし、子どものために氷を頼んだらこれも有料。朝は11時チェックアウトなのですが、加賀温泉駅への送迎バスは10時20分に宿を出るということで、実質的には10時チェックアウト。こういうちょっとしたせこさが、せっかくの気分を台無しにしていきます。もちろん宿側の言い分もわかりますが、団体客ばかり向いていて子連れのファミリー客に対してきめ細かいサービスができていない感じだったのが惜しまれました。まあ担当してくれた仲居のおばさんがいろいろと気を回してくれたので、それもかなり和らぎましたけどね。一応、お薦め温泉リストには入れておきましたので、そちらも見てください。
銃を作っても犯罪。 (1999/2/13)
 アメリカ・ニューヨークの連邦地方裁判所で、銃犯罪に対して銃の製造者にも責任があるという判断が下ったそうです。規制の緩やかな米南部で大量に販売した銃が、規制の厳しい北部にも回って銃犯罪を引き起こしているから、むやみと銃を製造販売した業者にも責任がある、という民事訴訟に対して、陪審員が一部その責任を認めたそうですが、これはかなり画期的な判断だと思います。

 もともとアメリカのPL法は、日本の一般通念に比べてやたらと厳しいという印象がありますが、元来が武器である銃で起こる犯罪にまで責任を問われてしまっては、銃なんてとても作っていられません。日本で言えば関の刀鍛冶に対して製造責任を負わせるようなものです。現在、アメリカではニューヨーク以外のいくつかの地域でも同様な訴訟が起こっているということで、特にシカゴでは全く同じ論理での提訴が進んでいるそうです。今回のニューヨークに続きシカゴでも同じような判断が出たりしたら、アメリカの銃製造業者は大打撃を被ることでしょう。

 もちろん銃に対して元々規制論者が多い北部だからこそ、こういう判断が出るわけで、銃擁護論が強い南部では当然強い反発を呼ぶことは間違いありません。これで一朝一夕にアメリカの銃規制が進むということでもなく、必ず揺り返しはあると思います。ただ日本に入ってくる銃もかなりの割合でアメリカからという話ですから、もしこれで銃製造業者が減って銃の価格が上がれば、少なくとも日本では密輸入される銃器類は減るはずです。アメリカ人がお互いに殺し合うのはまあ彼らの自由だとしても(とは言え服部くんのように向こうで撃ち殺される日本人も少なからずいるわけですが)、我々まで銃に立ち向かいたくはないですし、巻き添えも食いたくありません。日本人としては歓迎すべきニュースだと思いますね。それに服部くんは僕の高校の後輩にあたりますから(もちろん直接は知りませんが)、少しでも銃規制の方向にアメリカが動くのは個人的にも嬉しいですね。
●大食いも芸の内。 (1999/2/12)
 テレビ東京系『TVチャンピオン』で男女対抗の大食い大会をやっていたので思わず見てしまいました。この番組、そもそもが大食い選手権から始まった番組ですから、他の種目に比べて大食いになると妙に制作側も気合いが入っています。今回も過去の大食いチャンピオンが男女4人ずつ登場し、対抗戦を繰り広げたのですが、その豪快な食べっぷりはいつ見ても妙に興奮させられます。

 今回もいろいろな大食いを見せた最後に全員でわんこそば(古典的ですね)にチャレンジしたわけですが、トップの女性(43才!)は45分でなんと470杯を平らげました。2位・3位の男性が413杯・412杯、4位の女性(この子は体重が44kgしかない!)が350杯。いかにも大食いという人ではない、どちらかと言うと一見胃弱にさえ見えるような人が、常識を超えた食欲を見せつけてくれるところが魅力です。

 この番組では「ケーキ職人」とか「編み物名人」とか「マンガ王」など、様々なジャンルの常識を超えた人々が登場しますが、どんな熟練の芸や博学よりも、大食いの方が人気があるところが面白いと思います。大食いは思わず人を惹きつける凄まじい力があります。人間の基本的欲求に過剰に忠実なその姿は、ある意味、とても下品なところを人前でさらしているわけですが、それだけなにか我々を根底から揺さぶるものがあるのでしょう。言葉も要らず見ているだけで、誰にでもその凄さがわかるところが芸としての大食いの長所です。それに、他のチャンピオンはケーキ職人にしろパン焼き職人にしろ「お仕事」の延長なわけですが、大食いは純粋にアマチュア(?)なだけに、より好感が持てます。

 それにしてもダイエットに悩む人間には、大食い自体よりも、あれだけ食べて全然太らないことの方が不思議で仕方ありません。彼らの食費を考えると羨ましいとは思いませんが、ちょっと秘密があったら教えて欲しいものです。
●携帯電話のメールは、e-mailを超えるか。 (1999/2/11)
 かつて公衆電話でプッシュボタンを早押ししている女子高校生をよく見かけたものでしたが、最近ではすっかりその座を携帯電話のメール機能(各社それぞれに独自の名前がありますが、基本的な機能は一緒です)に奪われてしまったようです。とにかく女の子特有の他愛もないお手紙好きを刺激しまくる携帯電話のメール。マクドナルドあたりで10代後半の女の子を見ていると10分おきくらいに新メッセージが届いているようで、いつでも手元に携帯を置いて早押しに余念がありません。

 僕も先日機種を変えた時から、このメール機能が使えるようになりました。しかし残念ながら大した用もないのにメールをやり取りするような友達はいませんから、滅多にメッセージが届いていることもありません。文字による連絡は相変わらずパソコンによるe-mailが中心です。ただ携帯電話メールの便利さは、数少ないメッセージ交換でも十分にわかりました。圧倒的に手軽なんです。e-mailはパソコンがなくては話になりません。電話もつながってなければなりません。いちいちパソコンを立ち上げるのも面倒ですし、メールソフトを起動するのさえ時間がかかります。ある程度の文字量があるちゃんとしたメールならともかく、「お昼どこに行こうか?」とか「帰りにケーキ食べていかない?」「雪が降ってきたよぉ」なんてメッセージをいちいち送信するには、あまりにもシステムが巨大なのです。

 それに比べて携帯電話メールの簡便さは、送信できる文字量が少ないことや入力の手間がかかるなどと言った欠点を凌駕するだけのパワーがあります。どこでも持って歩けるモバイルギアとしては、これ以上の軽さと普及率を誇るものはありません。この手軽さに先に馴染んでしまった女子高生、女子大生にとっては、郵便に比べはるかに手軽なe-mailさえ堅苦しく面倒なものに感じられることでしょう。e-mailを携帯電話で送受信できるサービスは現在もすでに各社が行っていますが、もっと簡単にできるようにしないとダメでしょうね。通信事業者も端末を作っているメーカーも、いろいろ考えてアイデアを出さないと負けてしまいます。特に入力システムについては工夫が欲しいですね。これをうまく解決できたら、エジソン級(大げさか?)の凄い発明だと思いますし、なにより儲かるでしょ、ほんとに。


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