1998年10月上旬のコーカイ日誌



横浜優勝と経済効果。(98/10/10)
 38年ぶりの横浜ベイスターズの優勝で盛り上がる横浜市民、らしいのですが、かつての大洋ホエールズは川崎市にあったはず。川崎市民はどういう気持ちでいるのでしょうか。ヴェルディ川崎も弱いしね。そもそも川崎って何をシンボルにアイデンティティを確立しているのでしょう?「隠れ川崎市民」として、日頃は都民や横浜市民の顔でもしているのかなぁ。もっとも、今回突如増殖したベイスターズファンも、7割くらいはつい先日までスワローズファンをしていた連中じゃないのかと推察されます。この連中はその前までサッカー日本代表のサポーターをしていて、その前はF1ファン、それもセナの応援をしていた奴らだと僕は睨んでいますが(笑)。

 ところでスポーツの大きなニュースがあると、必ずそこから波及する「経済効果」というやつが新聞を賑わせます。今回も横浜優勝で幾らの経済効果がある、とか言って、あたかも横浜が優勝すると日本の景気が若干でも回復するかの如く報道されていますが、そんなことはもちろんありません。これが例えばオリンピックで優勝したとかいう国際的なニュースなら、少しは日本経済への刺激になるかも知れませんが、プロ野球なんて毎年必ずどこかのチームが優勝するのです。横浜が優勝したということは巨人や阪神は優勝できなかった、ということで、そのマイナス効果を計算しなければ、本当の意味で「経済効果」というやつがあったかどうかはわかりません。

 現に名古屋でも中日優勝による波及経済効果を当て込んでいた中部経済界はガックリときています。松坂屋や三越などデパートも優勝セール用に仕入れた商品を「残念セール」として放出していますが、盛り上がりは当然ながらありません。中日でこれですから、巨人が優勝できなかったことによるマイナスの大きさは相当なものでしょう。長嶋解任によるマイナスと巨人優勝によるプラスを考えたとき、やはり監督は森にすべきだったかな、と思っている経済人も多いことでしょうね。でもそんなことに頼るよりも、きちんとした経済施策を政府に求める方が大事だと思いますけど。そもそも自分で努力して育てずに他力本願のままでは、いつまで経っても強くなれないということは、当の巨人が証明しているじゃないですか。
●キャストに頼っていない『眠れる森』。(98/10/9)
 この秋のドラマでダントツに注目を集めているフジテレビ系列『眠れる森』の第1回を見ました。この改編特番の中で早々とスタートするあたりに、このドラマに対するフジテレビ及び喜多プロデューサーの自信が現れています。企画がヒットメーカー亀山千広、脚本に『青い鳥』の野沢尚、主演に中山美穂&木村拓哉、脇も仲村トオルや陣内孝則、ユースケ・サンタマリアなどで固め、主題歌は竹内まりや。まさに盤石の布陣です。

 しかもこのドラマの凄いところはこれだけのキャストでありながら安易な恋愛ドラマにせず脚本主導のミステリー・サスペンスにしたところです。ストーリーは子どもの頃の記憶を一部欠如している中山美穂の視点から展開します。謎の男・木村拓哉が一体どんな人間なのか、何を考えているのかが、これから徐々に明らかになっていくわけですが、このあたりの脚本・演出・映像がなかなか冴えわたっています。第1回を見る限りでは今後大いに期待できる作品でした。キムタクが企画が気に入ってこのドラマに出る気になったという話も十分にうなずけます。

 さて最初にスタートした連ドラがこの出来では、他のドラマが大変ですね。後から始めてこの『眠れる森』と比較されて耐えられるドラマがいくつあることでしょうか。特番の嵐に敢えてぶつけたフジテレビ編成の勝利という気がします。
頭痛しない人。(98/10/8)
 先日の『あるある大事典』(日曜夜9時フジ系)のテーマが「頭痛」でした。僕は男性としては結構な頭痛持ちで、バファリンをいつも持ち歩いては頭痛がすると飲んでいます。本当は薬の飲み過ぎも良くないとわかっていますが、頭痛と鼻づまりはどうも我慢ができないし、薬を飲めば直るので、どうしてもマグワイアの如く(←意味が違うだろ)薬に頼ってしまいます。だから身近なテーマとして興味深く番組を見ました。

 この番組の中では日常的な頭痛を「片頭痛」と「緊張性頭痛」とに分類し(他に突発性の頭痛がありますが、こちらはちょっとヤバイ)、緊張性頭痛は肩こりなどで血行が悪くなることから起きるという説明がありました。いつもここに登場する会社の同僚Mちゃんは頭痛だけではなく、肩こりも未だに経験がないという原始人類だけに、この「緊張性頭痛」とは当然無縁だったわけです。また僕自身の頭痛は症状からすると明らかに「緊張性頭痛」ではなく「片頭痛」のようで、血行が良くなると逆効果だから薬を飲まないとしても、安静にして寝ているしかなさそうです。

 ところで番組中の情報では、なんと世の中には頭痛しない人が2割以上いるとか。これには驚きました。Mちゃんは、生まれてこのかた頭痛の経験がないというだけでこれまで驚異の人類扱い(というか猿扱いというか)されていたのですが、この事実を知ったら急に威張り出すこと間違いなしです。頭痛しないだけで威張るというのも妙ですが(笑)。ただ番組に出演していたやはり頭痛経験なしというタレントが「林家こぶ平」だと知ったら、さすがのMちゃんもどうかな?
●奥飛騨旅情。(98/10/7)
 仕事で奥飛騨のログハウスを取材してきました。10棟あるまだ新しいログハウスの半分にあたる5棟は露天風呂付き。これはなかなか魅力的でした。自分たち専用の24時間入れる露天風呂。しかも結構広くて4〜5人くらいなら入れます。露天風呂付きの棟を指名する固定客がいる、というオーナーの話もうなずけました。

 ところで久しぶりに奥飛騨まで出かけたのですが、安房トンネルが開通して以来、随分と道も綺麗になり新しい店もできて全体に明るくなった感じがしました。この不況で客足はもうひとつらしいのですが、秘境感が薄れた分、親しみやすさは増した印象です。名古屋からでも従来の高山経由ではなく、松本インターから安房トンネル経由で向かえば3時間そこそこで新穂高まで行くことができます。昔を思えば夢のような近さです。

 安くて近くて綺麗で言うことなしの露天風呂天国・奥飛騨温泉郷。まだ紅葉には早かったですが、あと1ヶ月もしないうちに見事に山が染まることでしょう。行くなら今がチャンスですよ。
●ドラゴンズの白旗は早過ぎないか?(98/10/6)
 眼下の敵ドラゴンズを叩きに叩いて、一気にマジックを減らしたベイスターズですが、苦手スワローズに良いところなく敗れてしまい、足踏み状態。38年ぶりの優勝だけにそう簡単に安産とはいかないでしょう。残り7試合でドラゴンズとの直接対決が4試合あるだけに、あまりもたもたしているとマジックがまた消えてしまいかねません。

 もっとも、そのライバルであるドラゴンズが完全に白旗を上げているようですから、ベイスターズの有利は動かないでしょう。星野監督も主将・中村も「来季につなげるために」なんてインタビューで答えているようではお話になりません。彦野も引退表明して、すっかりドラゴンズは秋色ですが、わずかでも可能性がある限りはファンのためにも全力を尽くすべきでしょう。川上の新人王だけをバックアップしていれば良いというものではありません。残り7試合、全勝すれば今のベイスターズ相手ならどう転ぶかわかりません。結局2位に終わるにせよ、最後まで諦めずに戦ってこそ「来季につながる」のではないのでしょうか?

 ところで最近急に増殖してきたベイスターズファン、一体彼らは今までどこにいたんでしょうね?にわかサッカーファンみたいなものなんでしょうけど、ブームに乗って急に現れた彼らに、タイガースファンみたいな潔さがないのを嘆いても仕方ないでしょうねぇ。
強敵に挑んでこそ勝負事は面白い。(98/10/5)
 またまたテニスの草トーナメントに出ました。ここのところ毎月出ているいつもの大会なんですが、今回は男子ダブルスのペアに会社の先輩M部長をわざわざ東京から呼び寄せて挑戦(と言うのは嘘で、たまたま単身赴任なので名古屋に帰ってきていただけなのですが)。パートナーはかなり最強に近いので、後は自分の力次第。前回は屈辱の予選リーグ敗退だっただけに、今回は最低BEST4、できたら優勝が目標です。

 予選リーグはウォームアップを兼ねてゆっくりスタート。いつもMさんは強くて速くて、という人たちとテニスしているので、予選リーグの相手では多分調子が狂うだろうということも見越して、のんびり始めました。それでも6-3、6-1で2試合をきっちり勝ち抜くことができ、さらに決勝トーナメントも1回戦6-2、2回戦6-3と順調に勝ち上がりました。徐々にMさんの調子が出てきたところで準決勝。相手は優勝候補と戦前から名前が挙がっていた土岐のベテランペア。序盤、押されながらも切り返し、なんとか2-3のタイ(テニスでは1つ負けていてもタイの時があるのです。理由はテニスに詳しい人に聞いてください)で回ってきた僕のサービスゲーム。ゲームポイントを握りながら痛恨のダブルフォールトから崩れて落としてしまいました。さらに次の相手のゲームもブレイクポイントを握りながらもキープされ、さらに最後のMさんのサービスゲームも40-0からまくられて結局2-6で負けてしまいました。

 ラスト3ゲーム、全て競り合いながらこの1本が取れずにゲームを落とし続けてしまったあたりが結局力の差、経験の差なのでしょうが、負けたとは言え実に気持ちの良い楽しい試合でした。やはり強い相手と気の抜けないテニスをする緊張感はいいものです。もちろん自分の力の及ばないところもしっかり認識させられ、課題もいろいろ浮かび上がってきましたが、それも含めてテニスの楽しさ、勝負事の面白さを満喫できました。それに一応目標のBEST4も達成したし。後はミックスダブルスだなぁ。前回はBEST4目前でスタミナ切れしたから、今度はバイアグラ飲んで頑張ろっと、ってあれは精力剤じゃないってぇの。あんなもん飲んでテニスしたら大変なことになっちゃうぞ。どんな大変かはご想像にお任せしますが。
●「オールスター感謝祭」の面白さ。(98/10/4)
 毎日毎日、どうでもいいようなスペシャル番組をテレビが垂れ流しています。以前にも書きましたが、どうしてこんなにつまらないのか、とうんざりするような番組ばかり。ふだんのドラマやバラエティの方がずっとマシです。その中で、ちょっとだけ楽しみにしていたのがTBSの「オールスター感謝祭」です。島田紳助が司会をして200人の芸能人がクイズに挑戦するこの番組は、もう何年も改編期に続いている名物番組ですが、みどころは何と言っても生放送で紳助が癖の強い200人の芸能人を仕切りまくるところです。

 これは紳助クラスの頭の回転の速さと押しの強さがなくてはできない技です。なにせ長時間の生放送。クイズだけでも大変なのに、TBS周辺で走ったり泳いだりもしますし、しかもコンピュータをフルに使って問題を出し集計をしていますから、いきなりコンピュータが止まったりもします。とにかくやたらとハプニングが起きる番組なのです。今回も一緒に司会している島崎和歌子が途中で言うことを聞かない芸能人に切れて怒鳴ったり、出題したクイズが間違っていると解答者から突っ込まれて無効にしたりと、本当にみどころ(?)の多い番組です。

 それに200人から芸能人が出ていると、ビッグな俳優や超売れっ子タレントだけではなく、最近すっかりテレビでは見かけなくなった奴や、名前と顔が一致しないようなマイナーな奴もいます。普通ならタレントの格によって扱いもかなり変わるところなのですが、なにせ生放送のクイズなのでマイナータレントが妙に目立ったりすることもしばしばあって、困った紳助のフォローぶりがまた面白かったりするんですよね。結局生放送で起こるハプニングを次々とさばき続ける紳助の芸を見るスペシャル番組なんですね。バラエティ作りが下手なTBSでも、紳助というタレントに恵まれて成り立っているわけです。これ紳助が降りて、例えばタモリやさんまや所ジョージじゃやっぱりダメでしょうね。

 ところでこの番組で視聴者に向けて総合成績トップ者の予想クイズをしていましたが、その応募方法がなんと電報でした。ファックスや電話ではなく電報。回線が確保できなかったのか、間違い電話対策か、それとも電報利用促進キャンペーンでもNTTが始めたのか?もっとも番組最後に応募の集計が間に合わず、グアム旅行当選者は月曜日の上岡龍太郎の番組で発表することになってしまいました。これも電報のスピードの遅さのせいだとしたら、すっかり裏目に出てしまったカタチですが、果たしてどうなんでしょうか。
●景気が回復しても失業率は下がらない、かも。(98/10/3)
 失業率がまた上がったとニュースで報じられています。特に家計を支える世帯主の失業率が高くなっているということで、これはかなりの社会不安を招く問題でしょう。確かにこれだけ景気が悪くっちゃな、失業率も上がるってもんだ、早く政府に景気を回復してもらってバブルの頃みたいに人手不足なんてことになんないもんかね、などとオヤジが居酒屋で酔っぱらって叫んでそうですが(って実際に見たわけじゃないですけど)、実はこの不況が上向いて経済動向が良くなることと、失業率が下がることはイコールではないと考えられます。

 これは一足先に同じような状況を切り抜けてきたアメリカ経済を見ればわかることですが、現在の不況は日本の経済構造に問題があり、旧態依然たるカタチではこれからの競争を勝ち抜いていけないということです。すなわちアメリカのように構造自体を立て直さないといつまでも経っても景気は上向かないかも、ということなんですね。となると景気回復の前にはかなりの痛みを伴ったリストラが必要なわけですし、また今後の主力産業となっていくハイテク産業への対応力を持たない中高年層は、リストラされたそのまんま、ということも十分に考えられます。すなわち経済構造が変革され景気は回復したとしても、使えないオヤジは使えないまま、という状況が予想されてしまうわけで、これは中高年の立場から言えば何ともむごい話です。

 もっとも必ずしも世の中というのは高度な知識や熟練度を必要とする仕事ばかりではありませんから、景気さえ良くなれば適当な仕事も増えることでしょう。ただそれが若い男女や主婦層ならともかく、果たして世帯主たる中高年に耐えうる仕事なのかどうか。当然給料も安いしプライドも満たされないことでしょう。やっぱり昔の勲章だけで威張っているようなオヤジには、明るい未来はないのかも知れません。何とも景気の悪い話でした。
●趣味としてのパソコンの限界。(98/10/2)
 どうも最近、パソコンに興味が持てません。パソコン雑誌を読んでいても、いまいち気持ちが入ってこないし、大須のショップを覗こうという気にもなれません。どうしてだろうと考えた結果、どうも僕は趣味としてのパソコンにそろそろ飽きてきてしまったのかも、と思うのです。

 僕がパソコンに触れるようになったのは、もうかれこれ10年近く前。当時CPUは80286で一太郎はVer3の頃でした(もっと古くから、そう「マイコン」の時代から遊んでいた人にしてみれば、つい最近のことでしょうけど)。ハードウェアの性能はこの10年で格段に向上しました。アプリケーションも随分と使いやすくなりましたし、なにより全ての価格がかなり安くなりました。しかし、その実できることは特に変わっていないのです。当時僕がパソコンを使ってしていたことはワープロと表計算とゲームと通信。10年後の今はワープロと表計算とインターネット(ゲームはさすがにあまりやらなくなりました)。そう、基本的には10年経った今となんらパソコンでしていることは変わっていないのです。コンテンツは変わらずに、中身だけが少しずつこなれていっているだけです。これでは趣味としてのパソコンに飽きてきてしまうのも無理ありません。

 10年前と比べてパソコンは生活や仕事の中に随分入り込んできました。特に仕事ではパソコンがなければパニックになるくらいです。だからパソコンに触れている時間は、以前よりはるかに増えているにも関わらず、パソコンにワクワクさせられることは逆にかなり少なくなりました。趣味から道具へと、着実にパソコンは変化してきています。パソコンにいちいちワクワクしたりソワソワしたりイライラしたりしなくて良いのかも知れません。でも、パソコンの性能は向上していますが、コンテンツに変化がない以上、果たしてそれは進化しているのかどうか、僕にはちょっと疑問です。
●時間もコストのうち。(98/10/1)
 いつも取材がある仕事を一緒に手伝ってくれている某プロダクション。キャリアはそれほどでもないのですが、熱心に仕事をしてくれるのには感心しています。ただ難点は時間に対するコスト意識が低いこと。例えば取材に行く時でも、やたらと余裕をもたせたスケジュールを組んでしまうので、大抵の場合1〜2時間も早く現地に着いてしまいます。

 もちろん仕事ですから時間を守るのは当たり前。取材相手に失礼がないように、ある程度の時間的な余裕をみておくのはわかります。しかし、相手が大女優とか政治家のような面倒な相手ならともかく、どちらかと言うと取材されて大喜び、というような相手に対し、そこまで慎重に臨む必要があるのかということです。そういう場合、20〜30分も前に着けば御の字だと僕は考えているので、いつもいつも「もっとゆっくり行けばいいんじゃないの」とスケジュールに口を挟む結果になってしまいます。

 「なにかあるといけないので」と言う気持ちはわかりますが、1時間早く着いてみんなでブラブラと無為に過ごすということは、スタッフ全員の1時間分の労働を無駄にしているのと同じです。時給に直したら各自の報酬が1000円になるのか5000円になるのかはわかりませんが、とにかくそれだけのロスを出しているということを理解すべきでしょう。そしてこれはそのプロダクションだけの問題ではありません。よく日本ではとにかく仕事にどれだけ時間をかけたか、ということで評価されがちです。人件費はタダ、だからどんどん働かせようという時代錯誤な考え方が未だに中小企業を中心に横行しているからです。

 多くの時間をかけたからと言って仕事が良くできるようになるとは限りません。長時間拘束することでモラルダウンしたりミスが増えたりすることも十分に考えられます。いかに作業を効率化し、それによって高度化していくか、というテーマを考えたとき、やはり「時間」というものに対する意識をきちんと持たなくてはならないと思います。だから某プロダクションの皆さん、もっと朝はゆっくり行こうよ。起きられないよ、僕は(←結局本音はそれか)。


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