幹事クリタのコーカイ日誌2021

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6月30日 ● フェデラーのカムバック。

 ウィンブルドン1回戦にフェデラーが登場しました。初戦の相手はベテランのマナリノ。サウスポーでいやらしいサーブを打つ選手ですが、よく知らない若手のパワー系よりは何回も対戦経験があるテクニシャンの方がやりやすいだろうし、フェデラーの復帰戦には手頃な相手だなと思っていました。

 ファーストセットはキープが続きましたが、フェデラーが終盤にチャンスを生かしてワンブレイクしてそのままセットを取りました。さすが、と思いました。フォアハンドのミスヒットは目立ちましたがサーブが良いしバックハンドもボレーも良いので、このままストレートで勝てそうだなという感じでした。セカンドセットもずっとキープが続き、タイブレークに。これを取って王手をかけるんだろうと思ったら、このあたりから様子が違います。フェデラーが立て続けにミスをしてあっさりとセットを取られてしまいました。

 ただここまではまだ安心して見ていられました。相変わらずストロークのミスは多いものの、芝に慣れるために敢えてペースを上げずにやっているのかなという印象で、調整を兼ねて戦っているならさすが芝の王者の余裕だなと。ところがサードセットは一方的にマナリノにやられ放題です。フェデラーのミスがどんどんひどくなり、逆にマナリノのテニスが冴えてきました。それまではまだのんびり観戦していた観客もざわめき始めます。それほどフェデラーの調子が悪いのです。

 あっさりサードセットを3-6で落としてしまったフェデラー。崖っぷちです。仮に残す2セットを連取して逆転できたとしても、初戦からフルセットの苦しい戦いをしているようでは先が思いやられます。やはりフェデラーはもう往年のフェデラーではないのか、万全を期して臨んだウィンブルドンなのに、ここで初戦敗退を喫してしまうようなことがあれば、いよいよ引退へのカウントダウンになるのではないかという不安が高まってきてしまいます。

 しかしフォースセットに入ってフェデラーの調子が徐々に上がってきました。なによりこれまで苦しんでいたフォアハンドがちゃんと当たり始めました。ミスヒットが減って狙ったところにコントロールできるようになってきました。先にブレイクをして4-2で迎えた第7ゲーム。ここでマナリノが足を滑らせて右膝を強打。しばらく立ち上がれません。フェデラーの調子が上がってきたところでのこの怪我が勝負を決めました。そのままセットをフェデラーが取り、ファイナルセットに入ったところでマナリノが棄権をしました。

 もしマナリノが転ばなかったら?フェデラーはいずれにしても逆転勝ちをしていたとは思います。ただあっさりとは勝たせてくれなかったことでしょう。マナリノはかなり好調でしたから、もうひと山もふた山もあったと思います。前半にあまり体力を使いたくはないフェデラーにとっては相手の棄権による勝利は納得がいかないものでしょうが、体力面を考えたらラッキーだったのではないかと思います。

 大会が始まったばかりのウィンブルドンの芝は滑りやすいというのは知られているところです。大会が進むにつれて芝が剥げて土が露出してくると動きやすくなります。そこまで考えて慎重にプレーしているフェデラーだからこその勝利だったとも言えますが、ただ往年のフェデラーの力はまだ発揮されていないことも確かです。

 次の2回戦の相手は杉田を初戦で破ったガスケです。これまたベテランのテクニシャンで手の内を良く知る相手。フェデラーにとってはやりやすいラッキードローでしょう。引退の不安を払拭できるようなプレーを期待したいと思います。



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