幹事クリタのコーカイ日誌2020

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3月30日 ● 志村けんと日本の喜劇。

 志村けんが新型コロナウィルスによる肺炎で亡くなりました。70歳。志村の死によって新型コロナウィルスに対する意識が高くなり、もっと国民全体が外出を控えたり、他人に移さないような行動をとるのではないか、という論調があるようですが、まあそういうことが仮にあったとしても、亡くなったばかりの人の死をそういう「効果」で語るのはちょっと抵抗があります。まるで戦争で死んだ軍人を「軍神」と崇めて戦意高揚に利用しているようで、いくら「いまは戦時下のようなもの」と言っても、本当の戦争ではないのですから。

 志村けんを語るならやはりその仕事で語るのが本筋です。人気絶頂のドリフターズに荒井注の後釜として加わり、ドリフの人気をさらに高めました。「東村山音頭」「ひげダンス」「カラスの勝手でしょ」「志村、後ろ!」「変なおじさん」「アィーン」「バカ殿」など、彼の持ちネタは数多くあり、日本を代表するコメディアンのひとりと言って良いでしょう。

 ただ僕が彼の仕事として期待していたのは映画やドラマなどへの進出でした。志村はコメディアンとは言え「喜劇人」ではありませんでした。俳優業には消極的で、これまでの出演本数もごく限られています。師であるいかりや長介が晩年は味のあるバイプレーヤーになったように、志村も本格的に映画やドラマで活動すればきっと良い役者になったのではないかと思っています。

 その志村が今年、山田洋次監督の『キネマの神様』で映画初主演、そしてNHK朝ドラ『エール』にも出演と、いよいよ期待通り俳優業に本格的に取り組むことになった矢先の今回のコロナ禍です。こんな残念なことはありません。70歳とは言え、志村はまだまだこれからの人、今後の日本の喜劇を支える人だったと僕は思っています。ご冥福をお祈りいたします。


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