何気なく見ていたらＮＨＫの『うたコン』が阿久悠の特集でした。日本三大作詞家（阿久悠、松本隆、秋元康）の中でも、もっとも芸域の広さと業の深さが突出しているのが阿久悠です。僕の好みではないですが、子どもの頃からずっと彼の歌を聴いて育ってきたようなものですから、やはりついつい見てしまいました。

　番組が番組なので、選曲はともかく歌う歌手がかなり残念でした。本人が歌ったのは西田敏行、堺正章、岩崎宏美、石野真子、ささきいさお、北原ミレイといったベテランで暇な人たち。後はいつもの演歌歌手たちが代わりに歌ったのですが、さすがに西城秀樹の『ブーメラン・ストリート』を氷川きよしに歌わせるのはいかがなものかと。

　ピンクレディーを渡辺麻友と柏木由紀が歌うのは、まだ新旧アイドル繋がりで許容範囲でしたが、氷川ではあまりにも歌手としての方向性が西城と異なり過ぎて違和感しかありませんでした。せめて小林旭の「熱き心に」あたりだったら、氷川でも良かっただろと思うのですが、あれでは歌も氷川も損をしただけです。

　それから三浦大知の「時の過ぎゆくままに」もかなり残念。ジュリーの歌は、単に歌唱力があれば良いってもんじゃなくて、何より色気が必要。三浦ではルックスに差があり過ぎです。いま話題の人だから呼んだのでしょうが、あれならジュリーの当時の映像だけ流してお茶を濁してほしかったです。

　最後に選曲ですが、阿久悠特集なら「ジョニィへの伝言」を外すのは納得がいきません。阿久悠が自分の作品でももっとも気に入っていたという曲です。高橋真梨子本人に歌って欲しかったです。