小泉元総理の「笑っちゃう」発言で大揺れの麻生内閣。確かに麻生のぶれまくる発言はもはや「痛いヤツ」レベルで、小泉ならずとも多くの国民が笑ってしまうしかないのですが、ただ当時の郵政民営化について自民内部でも反対派が多数いたこともまた事実です。その意味では麻生が言っていることは本音であり、建前と本音のズレを元にして自民党内で政局化しているだけのような気がします。

　また「小泉改革」なるものによって、現在日本は大きく傷んでいます。アメリカに騙されて直輸入した「グローバル化」がなければ、もう少し日本社会は優しい社会のままでいられたのではないか、少なくとも今の「派遣切り」のような非情なことは幾分は小規模にとどまったのではないかと思うと、今さら小泉が出てきて「笑っちゃう」と言われても笑っちゃいます。

　と言うか、ここでまたぞろ「小泉劇場」の第二幕を開くことは、瀕死の自民党を救いかねません。自民党内で内紛、分裂騒ぎが起きれば起きるほど、マスコミはそれを華々しく取り上げ、民主党はその中に埋没していきます。折角このまま麻生政権で総選挙を戦えば民主党の楽勝なのに、それも怪しくなってしまいます。小泉登場と「麻生おろし」を一番恐れているのは民主党でしょう。

　ちなみに鳩山邦夫総務相が小泉発言を「完全な造反」と痛烈に批判していますが、これは兄である鳩山由紀夫民主党幹事長にとってプラスになるのかマイナスになるのか。一応鳩山幹事長は小泉発言を容認し、定額給付金関連法案の衆院再議決で小泉らが造反することを期待していますが、小泉がやり過ぎると民主党はおいしいところを小泉にもっていかれてしまいます。そこまで見越して鳩山総務相は兄へのエールのつもりで小泉封じ込めを狙って発言しているのかも知れません。なにせ華のある主役だけに、お客を全てかっさらわれてしまうのは鳩山兄弟としては面白くないことでしょう。