中国戦13-1、台湾戦9-0、韓国戦2-0。長嶋ジャパンは見事なまでの強さでアテネ五輪への切符をつかみました。まさに完勝です。シーズンが終わったというのに、これだけの野球を見せてくれた選手たちは素晴らしいと思います。

　勝因はいくつも考えられるでしょうが、何よりもひとつも負けられないというその意気込み、真剣さが際立っていました。選手たちがいつものシーズン中のそれではなく、高校野球のような表情で試合に臨んでいるのがテレビカメラ越しからでも伝わってきました。

　ヘッドスライディングをする宮本や井端、外野フェンスを怖れず好捕する谷や福留、ベンチで大声で声援を送る松井や上原。各チームの主力選手であり、日本球界を代表するプレーヤーたちが、「野球少年」の顔に戻ってプレーをしている様子を見るのは、とても楽しく心躍るものです。野球って良いなぁ、と素直に思えた3連戦でした。

　さて、これだけ強い長嶋ジャパンですが、残念ながら本番のアテネ五輪ではこのチームを見ることは難しそうです。オリンピック期間中は当然シーズンたけなわ。その間プロ野球が休めばいいのですが、そこまで協力的ではないようです。今回のように各球団の主力が揃って参加するということではなく、また前回シドニー五輪同様に、一部のプロ選手とアマチュア選手の混成軍になりそうな気配。当然、結果もメダルを逃したシドニーに似たものになることでしょう。

　アジア予選だけ最強チームで戦って、本番はずっと弱いチームを送るのでは、今回五輪切符を逃した韓国が可哀想です。代表を譲ってやれ、とまでは思いませんが、せめて韓国に失礼のないチームを組むくらいのことはしてはどうでしょうか？たかだか4週間程度シーズンを休むだけなんですから、その気になればできると思いますけどね。