幹事クリタのコーカイ日誌2006

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8月30日 ● SPドラマ『メッセージ』。

 一昨日にTBS系列で放送された『メッセージ』というスペシャルドラマ。これは8月28日が「テレビCMの日」であることから、杉山登志というすでに亡くなっている広告界では有名なCMディレクターを題材にしたドラマでした。

 裏番組が大コケ中の広告業界ドラマ『サプリ』であることを意識したのか、広告制作現場の描き方は『サプリ』に比べてかなり丁寧なものでした。伊東美咲に比べたら内山理名の方がはるかにリアリティがあって、そのあたりはさすがにドキュメンタリーに近いドラマだけに、現場を知っている人間がきちんとアドバイスしているんでしょう。

 ドラマとしては一応2時間退屈しないで見させるだけの力はありましたが、残念ながらどうしても「上っ面」を撫でただけという印象も残りました。これはまだドラマに登場する人々がまだ最近の人たちである以上、仕方ないところだろうと思いますが、それにしてもただただキレイにまとめ過ぎてしまって、杉山登志の苦悩の描き方に深みが足りないという気がします。過去と現在を対比させながらのドラマ進行でしたが、もう少し過去に時間を割いて、丁寧に杉山の離婚や自殺に至る部分を掘り下げて欲しいと感じました。

 僕がこの業界に入った時にはすでに杉山が自殺して10年を経ていましたが、当時はまだ杉山の残した作品も人々の記憶に新しく、新入社員時代に先輩からいろいろとそのエピソードも聞かされていました。もちろんドラマの主題となった杉山の遺書の文面も知っています。

 それから20数年たち、多分いまの若い広告制作現場の人たちには杉山登志を知る人も少なくなってきたことだろうと思います。そんな中でいま杉山を取り上げることの意味、そして杉山の遺志をどう若い世代に伝えていくかというところが、業界内部の人間として気になりました。

 杉山が花形ディレクターとして活躍しながら、なぜわずか10年の短い活躍期間の後で自殺してしまったのか、そこをドラマ制作者なりの解釈で突っ込んで欲しかったのですが、やはり各方面に遠慮があったかなという感じでした。しかも最後に平泉成が延々と藤竜也に向かって現代社会の批判を語りますが、これが果たして杉山登志の遺志につながるものか、単なる制作者の拡大解釈ではないかという気もして、蛇足の感は免れませんでした。

 それとこのドラマは毎日放送55周年記念ドラマということでしたが、その割にはキャストがチープ。もっと豪華なキャストを並べても良いだろうと思ったのですが、藤木直人、内山理名、平岡祐太、香里奈という主要キャストでは、悪くはありませんでしたがちょっと華がありません。藤竜也と石黒賢は良かったですけどね。若手にもう少し柱になるようなスターが欲しかったと思います。

 それは毎日放送の限界なのか、資生堂一社提供のせいなのかわかりませんが、少なくともいくらでもいる資生堂契約タレントの豪華女優陣がもっと出演して華を添えても良かったのではないかと思います。例えば藤木直人→江口洋介、内山理名→田中麗奈、平岡祐太→木村拓哉、香里奈→広末涼子あたりで演じていたら、さぞかし見応えのあるドラマになっていたでしょう。ま、フジテレビならともかく毎日放送じゃ難しいんでしょうけどね。

 

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