【アルバム名】
SPEAKIN’ MY PIECE (BLUE NOTE)
【リーダー名】
HORACE PARLAN (1960/7/14)
【パーソネル】
TOMMY TURRENTINE (tp) STANLEY TURRENTINE (ts) HORACE PARLAN (p)
GEORGE TUCKER (b) AL HAREWOOD (ds)
【収 録 曲】
WADIN' / UP IN CYNTHIA'S ROOM / BORDERLINE / RASTUS / OH SO BLUES /
SPEAKIN' MY PIECE
【内   容】
 本日のテーマは「“花茶屋”のメニュー大研究」です。“花茶屋”というのはル ートイン岐阜の中にあったレストランなんですが、ネタがないから引っ張って3回目の ルートイン岐阜ネタです。さ、頑張りましょうね。
 
 ひとりでレストランに入るのがとっても苦手なシャイ・ボーイさばくんは、その 日もコンビニでお弁当を買って部屋の中で食べたわけですが、机の上に置いてあった案 内ファイルの中にレストラン“花茶屋”のメニューを書いた紙が挟んでありました。何 かの役にたつかも?と思ってメモしてきましたので、ちょっと紹介してみましょうね。 まず最初は『御膳料理』の部です。『御膳料理』。大きく出ましたなぁ。『御膳料理』 と言い切ってしまったからには料理は御膳にのせて持ってこなければなりません。お盆 やトレイにのった御膳料理というのはないわけです。こうなってくると御膳使用料だけ で500円は覚悟しないといけませんね。外食業界には「○○定食は3桁、○○御膳は 4桁」という法則があって、たとえ並んでいる料理の内容がまったく同じであっても、 御膳の上にのせさえすれば4桁、すなわち1000円以上とっても大丈夫。といわれて おります。御膳料理を頼む人はとってもお金持ちで、人間だってデケているに違いない ので、多少メシの値段が高いくらいで文句をつけたりはしないものなのです。ひるがえ って“花茶屋”の御膳料理はというと、これがとってもリーズナブルでありまして、こ こに分類された料理の全貌は次の通りです。
 
  ・味噌カツ御膳 980円
  ・豚カツ御前 980円
  ・和風ハンバーグ御膳 980円
  ・鷄チリ御膳 1000円
 
御膳料理でありながら3桁をキープした3種の料理の価格設定にまず驚かされると 同時に、どうせなら“鷄チリ御膳”も20円くらいケチったりせず、980円にしてお けばよかったのに。。。という気がしなくもありませんが、それにしてもバラエティに 富んだラインアップですな。普通、トンカツとか味噌カツなんてものはせいぜい“定食 どまり”のメニューであって、御膳料理にするには“カツ鍋御膳”でないと格がつかな い。というのがこの世界の常識なんですが、それを敢えて“味噌カツ御膳”と“豚カツ 御前”。“トンカツ”じゃなくて“豚カツ”としたあたりがオシャレですね。“トンカ ツ”だと“ト”の“ンカツ”なのか“トンカ”の“ツ”なのわからなくって不親切では ないか!という問題が起こってくる恐れがありますが、“豚カツ”だったら一目瞭然、 “豚”の“カツ”なんだなということがわかって、勝負が早いわけです。東海林さだお の漫画に“オニオンスライス”を“オニオンス・ライス”というゴハン物だと思って注 文したところ玉ネギしか出てこず、「ライスはどうした!」と店員に詰め寄って、大恥 をかく。。。という話がありましたが、「“トンカツ御膳”だと、トンガあたりで流行 っている“ツ御膳”だと誤解される恐れがある。」という事態を案じた“花茶屋”店長 の心憎いばかりの気遣いの結果と見ることが出来るでありましょう。
 
 だいたい、味噌カツという名称もよく考えると変んですよね。カツというのはカ ツレツ(牛肉・豚肉・鳥肉などの切り身に小麦粉・たまご・パン粉をつけて油であげた もの)の略だから、豚肉の切り身に小麦粉・たまご・パン粉をつけて油であげたものを “豚カツ”と呼ぶのは実に納得がいくんですが、その豚カツに味噌をぶっかけたものを 安易に“味噌カツ”などと呼んでもいいんでしょうか?味噌カツを文字通りに解釈する と“味噌の切り身に小麦粉・たまご・パン粉をつけて油であげたもの”ということにな ってしまい、オー、名古屋人、トッテモ“ゲテモノ”食イネ。などと、あらぬ誤解を招 きかねません。日本人同士では“味噌カツ”でじゅうぶんに意味が通るからいいとして も、ガイジンとお話する場合には、正確を期して、オー、ポーク・カツレーツ・ウィズ ・“ミソ・ソース”、ベタベータ〜♪と表現したほうがいいでしょう。
で、変といえば“和風ハンバーグ御膳”というのも変ですね。ハンバーグと御膳と がまったくと言っていいほどマッチしていないんですが、だいたいハンバーグ・ステー キというのは“ハンブルグ風ステーキ”の意味だから“和風ハンバーグ”では“和風ハ ンブルグ風”となって、もはや何のことだかさっぱりわかりませんよね。これもやはり ガイジンに説明する場合には、オー、ハンブルグ・ステイク・ウィズ・“ワフー・ソー ス”、ヒタヒータ〜♪と言うのが正解でしょう。とまあ、御膳料理はこれくらいにして 、次の「洋食」を見てみましょう。
 
  ・ビーフカレー 650円
  ・カツカレー 830円
  ・エビフライカレー 830円
 
これは「洋食の部」ではなく「カレー部」ではないのか?という気がしないでもあ りませんが、あまり深くは追究せず、次の「おつまみ」へまいりましょう。
 
  ・イカ軟骨 320円
  ・貝ひも胡麻ぬた 320円
  ・海老ジャン辛 320円
  ・若鷄唐揚げ 380円
  ・鮪ぶつ 480円
  ・豆腐ステーキ 480円
 
「御膳の部」と「洋食の部」のラインアップから、この店はレアな食べ物にはまっ たく興味がないんだぁ。。。と思っていたら、いきなりイカ軟骨!貝ひも胡麻ぬた!海 老ジャン辛!もはや名前を見ただけでは、いったいどんな食べ物なのか姿形が想像でき ませんよね。うまいのか、イカ軟骨?ということで、では最後に「丼物」の部を見てみ ましょう。
 
  ・味噌カツ丼 850円
  ・鷄チリ丼 830円
  ・マグロ納豆丼 830円
 
このラインアップを見ていると、ある疑惑が沸々と浮かび上がってまいりますね。
 
丼物の疑惑:御膳とおつまみで余ったものを、ゴハンの上にぶちまけただけちゃう か?
 
次回、このホテルに宿泊する頃には「イカ軟骨胡麻ぬたジャン辛丼」という新メニ ューが登場していることを確信した次第であります。
 
 @ はい、今日は全体的に地味なネタでしたね。ま、たまにはそういうこともあ るよね。ということでホレス・パーラン。特にレアなアルバムは持ち合わせてないので 、とりあえず『スピーキン・マイ・ピース』でも取り上げてみましょう。
 
  ・酸っぱいけぇ?マイ臍
 
  > 季節は臍。
 
スタンリーとトミーとマツの多恋多淫ファミリーの参加した3管セッションになる 予定だったんだが、直前になって長女の松・タレンタインがゴネたため、2管クインテ ットになっちゃったんだ。とブルーノートのプロデューサ、アルフレッド・ライオンが 自伝『歯みがきはライオン』の中で述べていると言われておりますが、たぶん嘘でしょ う。だいたい、今のやんぐが『トミーとマツ』なんか知ってると思えないしぃ。で、ト ミ&スタ・タレ兄弟のフロントに、リズム隊はパーラン、ジョージ・タッカー、アル・ ヘアウッドの“US3トリオ”でありますな。メンバーを見ただけでメンマが食べたく なるような、いかにも後期BNらしい演奏にナルト思われます。ということで1曲目。 「ウェイディン」ですな。
 
  ・メンデルの父上、遺伝の父の父
 
  > 母上、遺伝の父の母。
 
めずらしくコンニャク系に走らなかった姿勢は評価できるものの、言ってる内容が あまりにも希薄なのがネックですね。それはそうとこの曲、『アス・スリー』でも演奏 されておりましたな。トリオにタレ兄弟が加わったことで、よりアーシーさが増大した ような気がしますが、世界一おおきい哺乳類は象だい。いや、クジラのほうが大きいで すね。それはそうと、塩サバ2号が部品を寄せ集めて作ったDOS−Vマシンがぶっこ われましたぁ。どうもハードディスクがいかれたようです。ま、ザウルスがあるので原 稿を書いたりメールをやりとりしたり、“しりとり”したり“あやとり”したり、焼き 鳥を食べたりする分にはなんの問題もないんですが、掲示板に長文のカキコをすること が出来ません。ということで、レスが冷淡だったとしてもお許しくださいね。で、本日 は伝票処理のミスを“顔はかわいいけど、性格はめっちゃきついOLさん”に叱られる かと思ってかなりユーウツだったんですが、事情を説明して許しを乞うと、わりとすん なり許してくれました。けっこう“根はいいOLさん”だったようでほっとした次第で ありますが、それはそうと「ウェイディン」。
タッカーの骨太ウォーキング・ベースのイントロに続いてピアノによるテーマが出 てくるあたりは『アス・スリー』のバージョンとよく似ております。途中からそこにタ レ兄弟が加わってくることによって、よりアーシーさが増大したような気がしますが、 世界一おおきい陸生哺乳類は象だい。というところまで話が進んでいたと思いますが、 ちなみに原文ライナーによると「曲はブルース、タイトルの意味はブルースを弾く時、 パーランは岸辺で寛ぐよりも、流れに乗り出していくことを示している」そうでありま す。これじゃああるで、岸辺で寛ぐよりも流れに乗り出していくほうがエライみたいな 書きかたで、岸辺シローの立場は?という気がしないでもないですが、正しくは岸部シ ローですかね?で、ソロ先発はスタ・タレ。こういう、あまり能のない単純ブルースを 吹かせたら、この人の右に出る人は右田敦彦さん(36歳)くらいではないでしょうか 。誰なんだかよくわかりませんけどね、右田敦彦。おおきなヴィブラートがとっても官 能的で、あたし、すっかり感動してしまいました。続くトミ・タレのソロは”上ずり加 減”がちょっぴりドナルド・バードに似ております。続くパーランは烏賊にもパーラン らしいアーシーさに溢れており、佐久間良好です。
 
 はい、2曲目。「ウェイディン」に無駄に行数を費やしてしまったので、あとは ヤックンの好きな“あっさりタイプ”でまいりましょう。あっさり好きのおっさんが赤 いスニーカーなんか履くかぁ?という気もしますが、「アップ・イン・シンシアズ・ル ーム」はパーランの義理の娘シンシアにちなんだナンバーだそうです。シンシアちゃん の部屋はいつもスイング状態なんだそうで、パーランはお医者さんごっこなどをして楽 しく過ごすんだそうであります。楽しそうでなによりなんですが、そういうウキウキと した気分がよく現れた明るい曲調が印象的ですね。ちなみに初リーダー作『ムーヴィン ・アンド・グルーヴィン』ではトリオで演奏されていたそうですが、記憶にありません 。ここではテナーとペットが、なかなか洒落た感じに鱧(ハモ)って、この楽しいメロ ディを演奏しております。ソロ・オーダーはスタ→トミ→パーの順です。温かみと歌心 に溢れたスタンリーのソロがいいですな。1曲目みたいなくどいのが苦手な人でも、こ のスタ・タレは受け入れやすいのではないでしょうか。ビートとともに音色もホットな トミーは音域全部を易々と動き回って見せる。と原文ライナーに書いてありますが、な るほど音域をフルに使っておりますな。ホレス(パーラン)は子供の愛らしさと大人の “ふりをする”様子を暗示するような機敏で想像力溢れるソロを披露しているんだそう です。はい3曲目。「ボーダーライン」はスタ・タレの曲です。「マイナーで書かれた 作品だ。」とパーランが解説しているそうです。「通常のA−A−B−A形式にのっと ってるが他の部分が8小節なのにブリッジが10小節なんだ」そうです。そういう専門 的なことはどうでもよろし。で、この曲はホレ・パーのマイ・ピン子でも採用しておい たように、実に日本人の大和魂なフィーリングにベストにマッチングまちこ先生するっ て感じぃ?のナンバーで、やっぱり日本人ってマイナー好きなんだなぁ。ということを 改めて感じさせられます。ここでのスタ・タレのいいですな。パーランというよりタレ を聴くアルバムですかね?で、もう1人のタレ、トミーくんも地味ながら滋味に富んだ 演奏を聴かせてくださいます。で、そのトミーくんは作曲家としてもなかなかの実力の 持ち主でありまして、“BN後期の隠れ名曲の作曲者”であると私は評価しているんで すが、空から降ってくる氷の粒は雹か。4曲目の「ラスタス」がそのトミ・タレのオリ ジナルですね。タッカーとホレ・パーによる印象的なイントロに続いて、これまた印象 的なテーマが演奏されます。かなり複雑な構成の曲でありまして、「形式はA−A−B −Aだがそれぞれのセクションは均等ではない。最初の2セクションは12小節だ。8 小節がメジャーであとの4小節がマイナー。第3セクション−ブリッジにあたる−は8 小節で全てメジャー。
第4セクションは最初の2小節と同じく12小節で、6小節がメジャーに4小節が マイナー、それからコーラスごとに演奏されるメジャーの4小節のタグがつく」って、 ややこしい専門的なことを書いているうちに演奏は終わってしまいました。特にブリッ ジの部分がソニー・クラーク的で、これまた大和魂のフィーリングを激しく揺さぶるよ うに思います。けだし名曲・名演でありますな。
 
 5曲目の「多そうブルース」はフィラデルフィア出身の作曲家レオン・ミッチェ ルの作品で、「今回は多そう。。。」という“多い日”のブルーな雰囲気をうまく醸し 出したメランコリーなスロー・ブルースでございます。トミーのミュートと、ソウルフ ルなスタンリーのテナーがなんとも言えぬいいムードを演出しております。「ブルース ・バラッド」という呼び方が一番ぴったりくるだろう。と、ナット・ヘンホフが書いて おりますが、けだし言い得て妙ですな。マイ・コンピにも選んでおいた、さば推薦の1 曲でございます。パーラン独特のブロック・コードを多様したソロも実にムーディド・ ムード。よろしいですな。
 
 ラストはパーラン作のアルバム・タイトル曲「酸っぱいけぇ、マイ臍」。同じホ レスでも、シルバーのほうのホレスが書きそうな感じのナンバーですな。トミーとスタ のハーモニーもさすが兄弟だけあって息はぴったり、彼らに勝てるのはもはや「あずさ 2号」の“狩人”だけではないか?という気にさせられる名コンビ鰤を披露しておりま す。ソロはパーラン→スタ→トミ、そしてジョージ・タッカーのピチカート・ソロも聴 けます、鮭鱒、クリスマス。トミとスタとヘアウッドの4小節交換も聴けます、煮ナマ ス・・・とか書いてるうちに演奏が終わっちゃったので、今日はおしまい。


| Previous | | Up | Next |