- 【アルバム名】
- NEVER LET ME GO (BLUE NOTE)
- 【リーダー名】
- STANLEY TURRENTINE (1963/2/13)
- 【パーソネル】
- STANLEY TURRENTINE (ts) SHIRLEY SCOTT (org) MAJOR HOLLEY JR. (b)
- SAM JONES (b) AL HAREWOOD (ds) CLARENCE JOHNSTON (ds)
- RAY BARRETTO (conga)
- 【収 録 曲】
- TROUBLE / GOD BLESS THE CHILD / SARA'S DANCE / WITHOUT A SONG /
- MAJOR'S MINOR / NEVER LET ME GO / YOU'LL NEVER GET AWAY FROM ME
- 【内 容】
- 「爵士楽株式会社」の忘年会のお話です。なんのことだかわかんない人は『マイ
・コンピ』のコーナー『あっは〜ん♪ク〜ッ!揉まれるとたまらんマッサージ(その1
)』を参照してねっ♪さて、この会社の現在の社長はルイ・アームストロング氏、通称
サッチモ氏でございます。なぜ彼がサッチモと呼ばれているかと言うと、社長就任披露
パーティの席でフォーリーブスの「もう、どうにもこうにもにっちもさっちもブルドッ
ク♪」をカラオケで歌ったからだとされておりますが、このエピソードが示すとおり、
たいへんくだけた性格の人でございます。今でも宴会の席で興が乗ってくると得意のダ
ミ声で歌を披露したりして、その憎めない人柄と相俟って社員からも慕われております
。一方その経営的手腕に目を転じると、それまでの集団的経営方針を転換して、自分の
信じるままに会社の運営を率先していくというワンマン的な一面も持ち合わせているの
でありました。で、このサッチモ社長が宴会の冒頭で、「まあコノー、この素晴らしき
世界でですね、コノー、薔薇色の人生をですね、おくって欲しいと。マー、このように
思っているわけでございましてね。」なんて挨拶を終えたところなのであります。
-  
- ではここで簡単に他の取締役について紹介しておきましょう。まず副社長が2名
おりまして、これはコールマン・ホーキンス氏とレスター・ヤング氏が就任しておりま
す。ホーキンス氏は熱血的な親分肌で、ちょっぴり鷹派的な一面を持ち合わせています
。通称「ホーク」。対するレスター氏のほうはインテリ肌で、ちょっぴり世の中にたい
して斜に構えているようなところがございます。いつもネクタイを斜めに締めているの
がトレードマークで、その冷静沈着で近代的な経営感覚には定評がございます。通称「
プレス(大統領)」。秘書課のビリー・ホリデイと不倫しているという噂もありますが
、その関係はプラトニックであるなんて言われております。この対象的な2人に対して
社員の多くは、ホーキンス氏の熱意とレスター氏の知性を合わせたような、そういう人
に私はなりたい。と思っているようです。で、その下はというと、常務がチャーリー・
パーカーで、専務がディジー・ガレスピーとバド・パウエルの2人。この3人は革新的
な経営戦略を編み出して、地方企業に過ぎなかった「爵士楽株式会社」を一躍、全国区
の一流企業に育て上げた中興の祖として知られ、社内では「爵士楽近代化三羽烏」と呼
ばれ、宴会のカラオケでは3人で「てんとうむしのサンバ」を歌うのが常であります。
-  
- さて忘年会は社長の挨拶が終わりって「乾杯の儀」に移ろうとしております。
- 「さて、こういう場ではございますが、決して飲みすぎてハメをはずすようなこと
がないよう最初にお願いをして、ではここで乾杯の音頭を・・・」
- などとマイクの前でしゃべっているのは司会進行役の総務次長、マックス・ローチ
でございます。ローチ氏は実直で厳格な性格の持ち主でありまして、その真っすぐ過ぎ
るところは部下からも「ローチさん、まっくす過ぎますよぉ。」と指摘されているわけ
なんですが、何故かOLのアビー・リンカーンからは慕われていて、「でもね、それが
あなーたの、いい〜と・こ・ろ〜♪」なんて思われているわけです。で、このローチの
「ハメをはずすようなことがないよう・・・」という挨拶を聞いて、「こういう場は無
礼講でええねん!」なんてヤジを飛ばしてローチからキッと睨まれたのが第1技術部の
アート・ブレイキー部長であります。この親分肌のブレイキー部長の下では多くの優秀
な部下が育つことで知られております。「宴会は無礼講が命!」が信条で、通称「無礼
講のブレイキー」。無類のマッサージ好きとしても知られ、社内で「爵士楽マッサージ
ャーズ」という愛好会まで開いております。この宴会の後も、ひとっ風呂あびたら部屋
にマッサージを呼ぼう、なんて考えていることでしょう。
- ということでこの宴会ばなし、まだまだ続きまーす。
-  
- @ さ、スタ・タレとシャリ・スコですね。「プレイしてる時のスタンリーは(
中略)最高だわっ♪」と、シャリ・スコは申しております。どういう「プレイ」なんだ
か知りませんが、さてここで問題です。スタンリー・タレンタインとシャーリー・スコ
ットの2人は、世間一般では何と呼ばれていたでしょう?
-  
- A.ジャズ界のおしどり夫婦
- B.ジャズ界のこまどり姉妹
- C.ジャズ界のぴんから兄弟
-  
- ありがちな問題ですねぇ。
-  
- (A群)(B群) (C群)
- おし どり 夫婦
- こま 売り 姉妹
- もろ 出し 相撲取り
-  
- というふうに「せがれいじり」の問題にしてもいいかもしれません。「押し売り夫
婦」とか「押し出し相撲取り」などのコトバが誕生しますね。「もろ出し姉妹」だって
、いや〜ん♪で、スタ・タレといえば以前、この塩通におきまして「スタンリー鍛練隊
員」という活動がございましたが、そういえばそんなのもあったっけ?というくらい、
ずーっと鍛練活動は「おさぼり」しております。また健康診断が近づいてきたらその場
しのぎ的に活動を再開し、活動再開記念にカツ丼などを賞味してプリン体の摂取に励も
うと思っております。この「ぷりん体」というのも、なんとなくいじりたくなる言葉で
すなぁ。
-  
- (A群)(B群)(C群)
- ぷ りん 体
- ふ まん カップル
- くり よう かん
-  
- とかぁ。「くりりんカップル」とか「くりまん体」とか、実に爽やかなコトバが誕
生いたします。で、スタ・タレ。60年代以降に活動したテナーマンで、コルトレーン
の影響を受けてないのはスタ・タレとブッカー・アービンだけであるというような話を
、なんかの本かライナーノートで読んだような気がするんですが、気のせいかも知れま
せん。「今やアメリカでもっとも高いギャラをとる男になった。」とか書いていたのは
「完全ブルーノート・ブック」、街で見かけた女子高生がどこの学校であるかを調べる
なら「完全ブルセラ・ブック」ですな。「日本での人気はハロルド・ランドやクリフォ
ード・ジョーダンよりちょっと上という程度」とか書いていたのはラズウェル細木で、
それを読んで「うまいこと言うなぁ。」と感心したのが塩サバ1号なのであります。そ
んなスタ・タレのリーダー作はブルーノートを中心にかなりの数が残されていて、その
中にはシャリ・スコとのコラボレーションによるものが何枚か。プレスティッジにもシ
ャリ・スコのリーダー名義でスタ・タレと共演してるのがいくつかありますが、それら
をひっくるめて「ジャズ界のくりりんカップル」のベストはこの『ネバー・レット・ミ
ー・ゴー』やと、ワテは思いますな。さ、んじゃ1曲目から聴いてみましょうね。
-  
- 1曲目は「トラブル」ですな。シンプルなブルース・ナンバーで、まあまあやん
。といったところです。シャリ・スコという人はギターを入れずにベースを入れるとい
う、どうせ入れるんなら、大きいほうがいいわっ♪という趣向の人なんですが、そのた
めオルガン・ジャズにしてはソウル度が薄めで、ハードバピッシュな仕上がりとなって
おります。2曲目はバラードの「ゴット・ブレス・ザ・チャイルド」。オルガンによる
バラードというのは、なんつうか、芝生の切れ目はアンツーカー、しみじみとしてイイ
もんですなぁ。スタ・タレのぷれいもヒジョーにウォームでございますぅ。さ、3曲目
。「サラズ・ダンス」、日本名「皿踊り」。うーん、長崎ですなあ。って、それは「蛇
踊り」と「皿うどん」やがな。おいしいですよねぇ「皿うどん」。個人的には「ちゃん
ぽん」よりも「皿うどん派」ですな。今、ふと思ったんですが、皿うどんのバリバリの
麺にカレーをかけて食べたらオイシイかも知れませんね。ということで「皿踊り」。ス
タ・タレ作のオリジナルなんだけどぉ、キュートなメロディがとってもイイんだモン♪
スタ・タレとトミ・タレの兄弟ってブルーノートの4000番台にいくつか印象的な曲
を残していますよねぇ。この「サラズ・ダンス」もタレ兄弟名曲集に加えておきたいと
思います。スタ・タレのケレン味のない吹きっぷりもシャリ・スコのメロディアスなア
プローチも、とってもよろしいです。何度も繰り返して聴きたくなるような名曲・名演
でございます。
-  
- 4曲目の「ウィズアウト・ア・ソング」はコンガの音がチャカポコと耳につきま
すね。明るくて楽しいのは結構なんですが、個人的には5曲目の「メジャー・マイナー
」のほうが好きっ♪「サラ・ダン」と「メジャ・マイ」が本アルバムの双璧と言えるで
ありましょう。タイトル曲の「ネバー・レット・ミー・ゴー」は、しみじみバラード。
これも悪くねーっす。んで、ラストの「ユール・ネバー・ゲット・アウェイ・フロム・
ミー」は明るく楽しい演奏でした。ということで、んぢゃ。
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