【アルバム名】
JAZZ GIANT (VERVE)
【リーダー名】
BUD POWELL (1949-1950)
【パーソネル】
BUD POWELL (p) RAY BROWN (b) MAX ROACH (ds)
CURLY RUSSELL (b)
【収 録 曲】
TEMPUS FUGUE-IT / CELIA / CHEROKEE /
I'LL KEEP LOVING YOU /STRICTLY CONFIDENTIAL /
ALL GOD'S CHILLUN RHYTHM / SO SORRY PLEASE /
GET HAPPY / SOMETIMES I'M HAPPY /
SWEET GEORGIA BROWN /YESTERDAYS /
APRIL IN PARIS / BODY AND SOUL
【内   容】
 バド・パウエルはモダン・ジャズ・ピアノの開祖として知られている人である。 モダン・ジャズというのはお好み焼きの中に焼きソバが入っているといった物ではな く(←それはモダン焼き)、モダンなジャズ。まあ、そういった物である。
 またパウエルは、その謙虚な人柄でも知られる。「ジャズの巨人」だもんなあ。 自分で言うか?そういうことを。彼には『ザ・ジニアス』というアルバムもあって、 こちらは日本語に訳すと「ザ・天才」。これを謙虚と呼ばずにおれようか。
 パウエルの代表作と言えば真っ先に思い出すのが、名前を聞いただけでパスした くなるようなルースト盤の『バド・パウエルの芸術』であろう。次いでブルーノートの 『アメイジング・バド・パウエル第1集、第2集』あたり。
 しかしこれらは宜保愛子の生き霊が憑依したかのような壮絶な演奏であり、凡人 の理解をM78星雲の彼方まで超越してしまった感がある。
 かと言って「クレオパトラの夢」で名高い『シーン・チェンジズ』ではド素人み たいでプライドが許さん。かと言ってリプリーズの『バド・パウエル・イン・パリ』で はワケ知りの通ぶったマニアみたいや、という人にお薦めなのが『ジャズ・ジャイアン ト』である。
 1曲目はマイルスも演奏した「テンパス・フュジット」。光陰矢の如し、とい う意味のラテン語らしい。アップテンポで派手である。が、個人的に好きなのはミディ アムテンポの演奏。「シリア」もいいけど、「ソー・ソーリー・プリーズ」で決まりで ある。
 小粒ながらキラリと光る亀田の「こつぶっこ」のような演奏である。ブルボンの 「チーズおかき」のようと言い換えてもよかろう。意味はわからんけど。アドリブ・ フレーズがすべて「歌」になっており、さすがはザ・天才といった面目躍如だ。
 定評のあるバラードはオリジナルの「アイル・キープ・ラビング・ユー」とスタ ンダードの「身も心も」が素晴らしい。それにしても「ボディ・アンド・ソウル」を「 身も心も」と訳した人は偉い。これがもし「肉体と精神」だったらこの歌はストア学派 になっていたであろう。


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