99年キリン事業計画

 98-12-4日経、日経産業。キリンビールは99年の事業計画を発表した。ビール・発泡酒合計の99年国内市場は前年比で横ばいと見込む一方、キリンは発泡酒の拡販と低カロリーの新ビールの発売で総販売量を同2%増やす計画。新ビールを「ラガー」「一番搾り」「麒麟淡麗<生>」と並ぶ主力商品に育てる「マルチブランド戦略」で幅広く消費者を取り込む作戦。
 低カロリービール「ラガースペシャルライト」は太る原因となる糖質を50%カット。アルコール度5%を維持し、「ラガー」ブランドに加える形で低カロリー品に対する抵抗感を払拭。新製品としては、「キリンヨーロッパ」シリーズの第2弾も来春投入するが、「キリンLA」などの低カロリービールは1月以降販売を中止。地域限定ビールも商品点数を削減する。
 「一番搾り」は「回復基調にある」(中村和専務)が、「ラガー」は99年も98年比10%減と見込んでおり、ビール全体では4%減の232万klの見通し。発泡酒「麒麟淡麗<生>」の98年販売見通しは当初予想の2倍以上の3950万ケースで、99年は前年比32%増の5200万ケースに伸ばす考えだ。

98年販売数量見込みと99年販売計画(単位%、▲は前年比マイナス)
98年99年
業界全体ビール+発泡酒▲0.4±0
ビール▲8▲5
発泡酒23030
発泡酒比率13-1417-18
キリンビール+発泡酒0.2(292万kl)2(298万kl)
ビール▲17(242万kl)▲4(232万kl)
発泡酒-(50万kl)32(66万kl)
発泡酒比率17.122.1
 佐藤安弘社長は、98年ビール市場のシェア争いを「ビール単独ではアサヒに負けた」と45年ぶりのビールシェアトップ転落を認めたうえで、「99年は本格反攻の年にする」と巻き返しを宣言した。ここ数年、ビール市場では「スーパードライ」がすっきりした味、鮮度の良さなどを切り口にリードしてきた。しかし、98年の発泡酒市場の急成長は長年続いた「ビール一物一価」を崩し、ビールの市場構造を大きく変えた。米国では低カロリービールは成長を続けており、「日本でもカロリーを気にする消費者は多く、次世代ビールになりうる」(中村専務)という。キリンは「価格」に加えて、「健康」という切り口の新製品投入で、ビール市場の主導権を奪いかえしたい考えだ。

99年キャンペーンガールとキリンジョッキーズ決まる

 日経産業98-12-7。キリンビールは99年のキャンペーンガールと業務用樽詰め生ビールの販促部隊である「キリンジョッキーズ」の6人のメンバーを決めた。キャンペーンガールはタレント、モデルとして活躍中の野島千佳さん(21)。野島さんは神戸市出身で身長168cm、血液型B型。キリンジョッキーズのメンバーは20〜27才までの6人の女性。3人一組となって全国各地のビアホールやイベント会場をイベントキャラバンのように訪問し、料飲店の雰囲気を盛り上げる。

・・・佐藤社長は、ビール単独市場での負けは素直に認めたものの、思い切った「マルチブランド戦略」への転換、「発泡酒」への参入が奏功したことによる自信が見受けられる。「低カロリービール」が日本市場に受け入れられるかどうかは疑わしいが、その発想は評価できる。確かにアメリカ人はコーラもライト系をよく飲んでおり、カロリーを気にする人は多い(ちなみにチョコやケーキは気持ちが悪いくらい甘い)。これがそのまま日本に入ってくるとは思えない。ただ、キリンの宣伝方法によってはひょっとすると上手くいくかもしれません。

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