新・人の性格を見抜く方法シリーズ                    


 自分の性格を知ることは簡単なようで、最も難しいことかも
しれません。「急がば回れ」という言葉があるように、自分を
知るためには、先に他人を知ったほうが理解が早い場合があり
ます。
 そこで、このコーナーでは、「人の性格を見抜く」と題して、
少しずつ発表して行きます。 なお、文章を推敲したり整理し
ていません。徒然なるがままに書き出していますから、読みづ
らいことがあるかも知れません。ご容赦ください。
  どこまで、書き続けられるか全く分りませんが、これまで
蓄積してきたものを、できるだけ具体的に書くつもりです。自
分を知り、家族を知り、より良い人間関係を築きあげるために
活用して欲しいと願っています。


     


シリーズ・1          
                        
 なぜか、自分のタイプが分からない?! 

                    
1 自己申告は間違いだらけ
                      
 言葉を不正確に使う人がいます。しかし、正確に表現したい
と願い、言葉使いに厳格な人もいます。また、語句の一語一語
は正確であっても、表現自体が適切ではなく、全体としてみる
と、意味不明な表現をしている人がいるようです。 
                       
 また、「自分の性格を語って下さい!」というと、その時思
いついたことを、整理しないまま語り出す人がいます。しかし、
時間を充分とって熟慮しないことには語れない、と言う人もい
ます。
 また、前に聞いた性格的な傾向と異なることを言いだし、矛
盾したことを言っているのに、気づかない人も少なくありませ
ん。

 そして、多くの人たちは自分のことを「少しも把握できてい
ない! と言うしかない現状なのです。当研究会では約8割方
の人が、自分のタイプを見つけられないと見ています。これは
おおげさな数ではなく、実態です。          
 従って、性格を知るためには、その人の自己申告だけでは、
情報として不充分だと考えてください。

 それゆえ、統計調査をして、性格を知ろうとする分野があり
ますが、アンケートの回答を集計しても、性格を知ることはで
きません。それに意味や価値はなく、無駄な調査だと当会では
考えています。 

 
 性格はセットとしてあるもの! 
                       
 あるところで、性格テストのアンケートをしました。「あな
たは何事も正確でないと気が済まないところがありますか?」
という質問に対して、Aさんは「イエス!」と、即座にキッパ
リと答えました。

 ところが質問を集計してみると、集計の数が合わないので、
「集計の数を確認したのですか?」と尋ねると、「あっ忘れて
いた!」とAさんは言いました。つまり、Aさんは「何事にも
正確でないと気が済まないという性格ではなかった」ことが、
すぐ判明した幸運な例なのです。ですから、不運なことに、数
年間も自分のタイプを見つけられない人たちがたくさんいます。

 なお、このAさんは、初めの頃、自分をタイプ1だと見てい
ました。タイプ1は「何事にも正確を期す」と書いてあるので、
そのように思ったのでしょう。しかし、Aさんはその近くにい
る人で、タイプ2w1に当たる人だと後になって分かりました。

 このような間違いが起きる原因は、ウイング理論が明確にな
っていないからと考えられます。ホームページのCにある「7
つの基本理論」の中に載っていますから、お読み願えたらと思
います。以下のアドレスをクリックしてください。

http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/static/theory4.htm


 著書「究極のエニアグラム」や、HPの「D九タイプの基本的
な性格」(下部にあるアドレス)という欄は、性格を個条書きに
して紹介しています。その箇条書きされたもののうち、数ケ所
が自分と同じであっても、そのタイプとは言えません。性格は
整合的に出来ていますから、セットとしてあります。全部とは
言わないまでも、大方のところが一致しないと、そのタイプだ
と特定できません。

 http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/static/page05.htm

          

 日頃の言動を意識的に見る
                         
 B君は性格テスト欄の項目、「好き嫌いの感情で物事を決め
ていることがよくある」に、「ノー!」と答えました。ところ
が、何度めかのやりとりでは、「この仕事に就いたのは、この
仕事が好きだから」と言い、「嫌な奴が正しい意見を言っても、
なんだか割り引いて聞くところがある」と語っているのです。
 つまり、日頃の自分の表現の中に、「好き嫌い」の言葉がよ
く出ているのに、本人にとっては自然で当たり前のことなので、
意識していなかったのでしょう。

 なお、このB君はタイプ2w3に当たる人で、「好き嫌いが
激しい」性格になるのですが、自分を理知的なタイプと見てい
たようです。ですから、ワークショップに参加したばかりの頃
は、思考タイプのタイプ5と考えたようです。

 このように、「好き嫌い」とか感情に類した言葉をよく使う
タイプは、「感情タイプ」に最も多くある傾向です。しかし、
自分がそのような言葉を多く使うほうなのか、少ないほうなの
か、あなたに分るでしょうか?

  これは常日頃から、自分の言動を意識的によく観察していな
いと、分からないだけでなく、他人と比較しないと分かりませ
ん。しかも、あなたが感情タイプの2であるなら、タイプ3や
4と比較しても差が浮き出てきません。

 例えば、感情的な言葉を使うことが最も少ないタイプ5の人
と比較すると、あまりの差に愕然とするでしょう。タイプ5は
冷静で、口数少なく、客観的な事実しか言わない傾向がありま
す。「感情がないのか」と思うほど、感情的なところがあまり
みえません。従って、比較するにしても、差の大きな人と比較
しないと、あなた自身の傾向が見つけられません。

 ところで、男性の中には、自分を賢いと思っている人は、タ
イプ5だと間違えることが多く、タイプ5はなぜか人気の高い
タイプです。しかし、タイプ5がとくに賢いタイプであるかど
うか、これも、しっかりと統計調査しないと分かりません。

 
 願望を入れている

 C氏は職場の中間管理者として、らつ腕を奮っていると自ら
語ります。性格テストの中の「部下や年下でも、面と向かって
忠告したり叱ったりができにくい」の項目には「ノー!」と答
えました。

 ところが、後から部下に当たる人に聞いてみると、C氏は人
柄がよく、部下たちから好かれているそうです。また、C氏の
ことを、「口ごもっていて、はっきりと叱られているとは分か
りにくいものではないかと思う」と語ってくれました。

 そこで、再度C氏に確認をとると、「イヤァ自分では精一杯
注意しているつもりなのですが、なかなかうまく伝わらなくて、
冷や汗ものです」と言うのです。

 C氏は勇気を奮って、自分ではかなり強く部下に注意を与え
ているつもりなのです。また、言いすぎたかなと反省したり、
きつく叱り過ぎたかもしれないと心配します。厳しすぎた自分
を強く意識して、それで記憶によく残った可能性があります。

 また、「らつ腕を奮っている」と言っていたことに対して、
「多分願望が入っていたのかもしれない」と言い、顔を赤らめ
ていました。その様子は、とてもらつ腕タイプには見えず、率
直な人柄なので、改めて最初に自己申告した性格との違いが、
明瞭になりました。
                    

 何気ない言動の中に性格が見える 
                      
 このように、多くの男たちは、自分が「仕事には厳しくらつ
腕を振るう」ことに憧れたり、そうなりたいという願望を性格
テストの中に反映させることがあります。

 なお、このC氏はタイプ9に当たる人で、人に軋轢を起こす
のをかなり恐れる気質ですか。家族などにはできやすくとも、
職場では忠告や叱責などが苦手になります。

 また、ある若い夫が、妻に向かって、「俺は群れるのが嫌い
だ。職場では一匹狼をやっている。だから、エニアグラムでい
う“常識を逸脱するのを怖がる”タイプではない。俺は世界の
中心にいるタイプだ!」と語りました。

 と、そのすぐ後で、「葬儀のとき、幾ら持って行ったらよい
か、聞いておいてくれ!」と妻に言いつけます。妻が「これぐ
らいでいいと思う」と言いますが、彼は妻の助言だけでは納得
できません。友人や親戚などに香典費用は幾らがいいかと確認
を取りました。

 このような行動のとり方が、常識から逸脱するのを恐れると
いう傾向の強い気質ではないでしょうか。彼が語る自己像はど
うやらおかしいなと見ていくことができます。
 妻への反発心や男の見栄、または職場で大変な思いをして働
いているということを、妻に伝えたいために言ったのかもしれ
ません。それとも、妻に自分を高く評価して欲しいためだった
のかもしれません。

 いずれにしろ、この夫の言葉通りに信じて、タイプ判定をす
ることはできません。なお、この夫はタイプ6で、妻はタイプ
9にあたる人でした。
            

 自分の日頃の様子を客観的に見る  
                     
 ある妻が、自分の夫をタイプ4だと見て、ある時「あなたの
普段の様子を見ていると、孤独感が強い人に見えるけれど、私
といても孤独ですか?」と尋ねました。すると夫は「別に孤独
を感じたことはないよ」と答えたそうです。

 妻は幾人かの家族とともに、キャンプやハイキングに行くと
き、なぜか自分の夫が誰ともなじまず、一人でポツネンとして
いる姿を幾度も見ています。キャンプファイヤーなどで、大勢
がワイワイと騒いでいると、いつの間にか姿を消していたり、
自分の世界の中に入りこんでいる夫を見ています。寂しそうに
していると感じ、みんなとしっくりいかない様子が、ありあり
と見て取れるのです。

 そのことで再度聞くと、夫は「誰ともうまくやっているし、
別に寂しさを感じていない」と言います。
 また、自分の息子も、どうやら夫と同じタイプ4であること
が、ワークに参加して分かりました。そこで、息子に「友だち
とよく遊んでいるの?」とある時に尋ねました。すると、「ぼ
くみんなと仲良しでうまく遊べてるよ!」と元気に答えたと言
います。

 しかし、実際の息子は、いつのまにか友だちの輪から外れて
いることが多いのだそうです。友だちの中にいても、一人遊び
しているだけで、相互にやりとりしていません。表情にも寂し
さが見えると言います。それゆえ、夫と息子から、意外な答え
を聴いて驚いたと言います。このようなことは、幾らでも例と
して上げられます。  


 気づくこと、気づかないこと 
                        
 タイプ4は、全タイプ中で最も淋しがりやですが、本人が自
覚していることもあれば、無自覚なこともあると考えられます。
                            
 同様に、子どものタイプ4にとって、友だちが側にいれば一
緒に遊んでいることになります。その子にとって、遊びとはそ
ういうものであり、自分がしばしば友だちの輪から外れている
ことを知らずにいるのす。むろん、いつもみなとうまく遊べな
いと、悩んでいるタイプ4の子どももいるのではないでしょう
か。

 「調和タイプ」のタイプ6ならば、輪から外れたら、ひどく
悩み、少し外れてもすぐに気づくことになります。また、その
ような体験は記憶にもよく残ります。ですから、調和タイプは、
話す内容も、他人のことや他人と比較している話題がかなり多
いのです。

 このように、気づかないところに、性格(気質)が隠されてい
ると考えられます。そして、よく気づくことが、タイプによっ
て異なるのです。あるいは、記憶に残り易いことも、タイプに
よって違うのです。なお、よく気づくことがあると、それは誰
もがそうしていることだと考えるのです。従って、自分のタイ
プだけの「気づき方」とは考えないところに自分探しの難しさ
があります。 

 「防御タイプ」は自分を隠していたり、見えない壁を作って
いて、自分の世界になかなか他人を入れない傾向があります。
ですから、自分のそんな行動は当然のことで、誰もがそうして
いるのであり、自分だけではないはずと考えやすいのです。

  さて、例として上げたように、「性格テストから正しい自分のタイプを
見つけることは難しい」という意味が、少し理解できましたでしょうか?
 自分が思っている自己像が、実態とかけ離れていることが多いので
す。結論的に言うなら、「自己申告はあてにならず、単なる参考資料に
しかならない」のです。