昔話や童話からタイプを理解する方法シリーズ・その8
                                                                    

                                   

2005/04/20   

絵姿女房」の夫はタイプ7w6か?

   
 
このシリーズは好評のようです。「昔話や童話を読みたくなっ
た」と知らせてくれる方が結構います。昔話のような素朴で単純
な物語ほど、内容としては深い
ものがあるのではないでしょうか。
それゆえ、人々の心の奥深くまで染み入り心に残り、世代を超え
て語り伝えられてきたのではと思います。

 今回は新潟地方に伝えられている昔話です。夫が「門松売り」
となっていますが、別の地方では「桃売り」であったりします。
中国地方の横田町に伝えられているものは、殿様が難題をふっか
けて妻を取ろうと企てる話です。しかし、最後は殿様をやっつけ
てしまうという点では共通しています。また、中国の少数民族に
伝承されているお話にも、これとよく似たものがあるようです。

 どうやら、ときの為政者に対する庶民の怒りや抵抗心が、この
ような昔話を生んだのではないかと言われています。


1 新潟地方に伝えられている「絵姿女房」

 ……昔、あるところに権兵衛どんという百姓がいて、掘立て小
屋に住んでいました。ある晩、きれいな姉さまが来て「どうか一
晩泊めてくんなせや」と言いました。翌朝、姉さまは「おめさま
は一人もんのようだし、わたしを嫁にしてくんなせや」と頼みま
した。権兵衛どんは喜んで嫁にしました。

 さて権兵衛どんは、ゾウリを作るにも 嫁の顔ばかり見ていま
す。畑打ちに行っても、家にいる嫁のことが気になって仕事も出
来ません。仕方なく姉さまは絵かきに自分の絵姿を描いてもらい
ました。それからというもの、権兵衛どんは毎日その絵を見て畑
を打っていました。

 ある日 大風が吹いて、絵がひらひら天に舞いあがり、落ちた
ところが殿さまのお城の庭でした。殿さまは絵を見て嫁にほしく
なり、家来たちに「探してこい」と言いつけました。家来が探し
歩くうちに、絵と同じの顔をした姉さまが見つかりました。むり
やりと姉さまを連れ出そうとします。

 姉さまは泣く泣く「年の暮れになったらお城の前で門松を売り
に来なさい。きっと逢われるようになるから」と言い残しました。

 そのうち年の暮れとなりました。権兵衛どんは門松をいっぱい
持ってお城の前で、「門松やあ、門松やあ」とふれました。その
声がお城の中に届くと、今まで笑ったことのない姉さまが、ニコ
ニコ笑いました。殿様は大喜びで「門松屋を呼んでみれ」と言い
つけました。

 権兵衛どんが呼ばれてくると、姉さまがもっとニコニコ笑いま
したので、殿様もたいそう嬉しくなり、「そんなに門松屋が好き
なら、俺が門松屋になったらどんなに喜ぶだろう!」

 殿様は、権兵衛に自分の着物を着せ、自分は汚い百姓の着物を
着て、門松をかついで城の門の外に出ました。すると、姉さまは
家来どもに言いつけて城の門をしっかり閉めてしまいました。お
城の中では、姉さまと権兵衛どんが沢山の家来をつかって、一生
安楽に暮したそうです。……


 
2 物語の主人公はどちらなのか分からない!

 昔話だけでなく、いろいろな物語を読むと、主人公が替わって
しまうとか、分からなくなることがあります。「絵姿女房」も出
だしが「あるところに権兵衛どんという百姓がいて」とあるので、
権兵衛どんが主人公で大活躍するのだろうと予想していると、途
中から違ってきます。大活躍しているのは姉さまのほうです。

 ですから、「女運のいい男性は得するぞ」というテーマの話な
のか、はたまた賢い女を嫁にしたほうが良いというお話なのかと
思わされてしまいます。明治の頃に活躍した俳人・与謝野鉄幹の
「妻を娶らば才たけて、見目麗しく情けある」という歌詞を思い
出させます。

 マンガ「クレヨンしんちゃん」の著者は、臼井儀人さんと言い
ます。タイプ7w8で8のウイングは軽そうに見えず、7w7辺
りの可能性もあると見ています。このマンガのタイトルからは、
しんちゃんが主人公なはずですが、実は母親のほうが主人公では
ないかと感じさせられることがよくあります。

 当シリーズにも、これによく似たものがあります。「千一夜物
語」(以下のアドレス)ですが、タイプ7w8らしい男性が登場し
ていますが、男よりも女性たちが大活躍しています。さながら、
「主客転倒」しているように見え、防御タイプの人たちの著書や
創作ものに多いのではと予想しています。

 
http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/active/page15/15-201~/15-229.htm



 3 美人に見惚れる男たち!

 
ある女性が、つきあっている男性に、「私のどこがいいと思
ったの?」と尋ねたら、「顔だ!」と言われたようです。男性
はタイプ7と判定できる人でした。また、携帯電話の待ち受け
画面に、つきあっている彼女の顔写真を入れていた男性がいま
した。友人たちに彼女のかわいらしさを吹聴して自慢するので
すが、その男性もタイプ7でした。

 朝、美形の彼女の顔を見たいと、出勤前に彼女のアパートを
訪れた男性がいます。「彼女の美しい顔を見ると、今日一杯、
仕事に精出すことができる」と言うのだそうです。たまたま、
この方もタイプ7でした。タイプ3や8にもいるかもしれない
とは思いますが。

 さて、「千一夜物語」も、男たち以上に女たちが大活躍する
物語です。タイプ7の男性たちは、とくに性的な魅力があり、
美人の女性に惹かれるようです。また、智慧があり敏捷で、状
況に応じて機敏な行動が取れることを、価値ある能力だと思い
こんでいて、その価値観が、描かれた女性像に出ています。

 例えば、マンガ「東京大学物語」は、江川達也さんの創作し
たものですが、タイプ7w6と判定しています。1巻には、主
人公がある女性がエイズに罹っているとウソをつきます。しか
し、その女性に惚れている友人は、「死んでもいい、あの女と
やらなきゃ死んだほうがましだ」と言います。「オレは同じ病
気になって死ぬんだ、最高じゃんっ!」と言わしめているので
す。

 このマンガは、一流の大学に入りナンバー1になることが目
標になっているようですが、同時に女性たちとの愛の交歓を執
拗に追い求めています。しかも、窮地に陥った時は、カッコ良
く機敏な行動ができるように描かれています。普段は怖がりで
神経質おかしな妄想ばかり頭の中で駆け巡っているのですが。


 4 女性を意識し過ぎると……

 なお、城から追い出された殿様も、タイプ7と考えられます。
姉さまの笑顔を見たいばっかりに、とんでもない目に遭わされ
るのですが、美女に弱い気質が丸出しです。

 さて、タイプ7の男性によくある傾向は、あまりにも女性を
意識し過ぎることで、女性に気楽に声がかけられない人たちが
少なくありません。まして美人であると、まばゆいらしく、見
惚れていたり、声をかけられると舞い上がってしまう人もいま
す。これは、タイプ4の男性たちにもよくあることなのですが、
どちらも興奮しやすい気質だからではと考えられます。

 還暦を祝う集まりに、「目指せ腹上死!」などと書かれた色
紙を参加者に配ったタイプ2w1の男性もいますから、タイプ
7だけではないので間違えられてしまうでしょう。しかし、実
際の行動面を見れば、確実に、タイプ8・7・3という男性性
の強い3つのタイプ(お父さん気質8・長男気質7・次男気質
3)の男性が、美人に弱いという傾向が見て取れます。

 美人でありさえすれば、「それ以外のことは何でも許す」と
言ったタイプ7の男性が実在します。美人やイケメンを朝方に
見たら、それだけで「今日一日が爽やかになる気がする」とも
言うのです。9w8で8のウイング重い人たちも同様なことを
言います。

 
 
5 女に惹かれるが、女は怖い!

 人間というものはおかしな性向があります。怖いものに惹か
れるのです。「饅頭怖い」もよく似たものです。「フグは食い
たし、命は惜しい」も、フグの身が美味いというだけでなく、
毒があり危険だからこそ、よけいに食べたくなるのではないで
しょうか。

 また、恋をしている相手は、世界中で一番に怖い人間です。自
分を殺すも生かすも相手次第です。相手のちょっとした一言で、
絶望的になります。失恋の苦しみで自殺するなどは、人類に普遍
的なことです。従って、全タイプが恋患いを体験する可能性はあ
るでしょう。惹かれる人が世界中で一番に怖い人なんです。

 ところで、「8・7・3」という3つのタイプの人たちは、幼
児の頃からマセテいます。色恋の世界に関心が強くて、誰と誰と
は好き同士であるとか、誰と誰はつきあっているなどの情報収集
に熱心です。自分がいかに異性にモテルかを、友だちに見せびら
かしたいようです。

 しかし、意識し過ぎるので、女性なんぞには関心がないという
フリをする人たちも多いのです。女性たちに取り囲まれて、デレ
デレと鼻の下を長くしているのも、この3つのタイプに多いので
すから、つまりは極端になりがちで「適度で普通ではない」と言
えるでしょう。

 一方、「2・6・1」は、女性性が強いタイプ(お母さん気質
・長女気質・次女気質)で、女性と気楽に会話できる傾向があり
ます。この3つのタイプの男性たちも、女性に恋します。美人に
弱いなどとも言いますが、実際には美人だからといって特別扱い
はしません。幼児の頃には、女の子のことなど鼻にもひっかけず、
関心が全くないと分かります。こちらは、男に惹かれて男が怖く
なる傾向が見えますからね。女性たちとは、適度に普通につきあ
える人たちです。むろん、恋している相手は別です。


 
6 女性が配偶者を選んでいる

 マンガのクレヨンしんちゃんは、「母という大地の上で踊って
いる息子」に見えますが、母や女を怖がる傾向が最もよく見える
のが、タイプ7です。女性を追い求める傾向はよく見え、一見積
極的に見えたりします。しかし、自分を選んで欲しいと追いかけ
ているだけで、自分で選択しているようには見えません。

 Q&A室の質問に、「タイプ7の男性が、恋人を選ぶにあたって
消去法を使っていることが理解できないので教えて?」というも
のがありました。恋人を選ぶに際して消去法を使うとは、つまり
は「選べられない」ことを示していると回答しています。

 これは、選択の主導権を持たない、または選択権がないと言っ
ているようなものです。実際、防御タイプはさまざまなことで主
体的に選べないことが多い人たちです。優柔不断で決断しにくい
傾向はよく見られます。

 ところで、自然界の生物では、多くの種において、メスがオス
の選り好みをしていることはよく知られています。例えば、クジ
ャクの羽があれほど華麗に進化したのは、メスが華麗な羽を持つ
オスを選択してきた結果であるという説があり、有力視されてい
ます。
 ヒトという種も、女性が男性の選り好みをしていると考えられ、
女性のほうが選択権を持っている、または選択の主導権を持って
いると考えられます。

 それゆえか、周りにいる女性たちを見境なく手をつけてしまう
浮気な男性もいます。選べないために、求められたら応じてしま
うのではないでしょうか。または、求められなくとも、より多く
の女たちを孕ませて、自分の遺伝子をより多く残したいという本
能的な欲求が強いのでしょうか。


 男性性の強いタイプ7であれば、なおさら、オスとしての特長
を顕著に備えていると考えられます。キレイな姉さまから泊めて
と乞われたら、すぐさま応じてしまいます。一緒に暮らそうと申
し込まれたら、舞い上がってしまい、よく考えないままに頭をタ
テに振ってしまうのです。そして、賢い姉さまの言いつけ通りに
していたら、福が来るのですから、「濡れ手に粟」ではないでし
ょうか。

 
権兵衛どんは、なんとハッピーな人なのでしょうか。昔々に、
このような物語を作り出した人がいたならば、やっぱりタイプ
7w6の男性が最も該当すると考えざるを得ません。