2w1の母について
by 青紫エニアグラムに出会うまで、私にとって母は全く理解できない人でした。理解できないだけでなく、この母に、私は長い間、悩まされ続けてきました。成人してからも、母との関係が原因で、鬱病を繰り返し、精神科やカウンセラーを渡り歩いていました。
現在では母との関係は穏やかになり、悩まされることからも解放されました。エニアグラムなくして、このような状況は、けっして訪れなかっただろうと思います。
母は2w1で、私は4w5です。母は1のウイングが極めて重く、2w1といってもほとんどタイプ1との境界線上にいる人です。表情は硬く、親しくない人に対しては、取り付く島のないような雰囲気を漂わせています。だから、他の2w1の人たちとも、母は全然違うように思えました。
☆「遊び」よりも「勉強」の人幼い頃、母に遊んでもらったという記憶はありません。祖母や父にはよく遊んでもらったのですが、母は、私といる時、いつも何か用事をしていました。
私はずっと「母は忙しかったのだろう」と思ってきましたが、私の子どもが生まれて、それが単に忙しかったからではないことがわかりました。何故なら、私の子どもたちとも一緒に遊んだことがないのです。
遊ぶということは、彼女にとって時間の無駄でしかないようです。たとえば、自分のための楽しみの時間も、習い事などに費やします。趣味は書道や俳句なのですが、自分で自由に書いたり詠んだりするのではなく、「習い事」として、先生に指導してもらうのが楽しみなようです。私の子どもたちにも、「遊んでいるくらいなら、もっと為になることをしなさい!」と言います。たぶん、「勉強に役立つことをしなさい」という意味だと思います。
「私は小学校からずっと1番で、いつも級長だった」というのが母の口癖でした。そんな母は、しばしば私を指して、「この子はどうしてこんなに欲がないんだろう?」と言いました。私の「勝気でないこと」が、歯がゆかったのでしょうか。他にも、「自分より良い点を取った人がいたら悔しくないのはおかしい」とか、「テストで、他の人に出来て自分に出来ない問題などあるはずがない」などというのでした。
テストで80点以下など取ろうものなら、厳しく叱られました。「私の子だったらできないはずがない。勉強のできない子なんて、私の子ではない!」私は、そんなことを言う母の言葉を真に受けていました。「もしも悪い点を取ったら、この家を追い出されるかもしれない」と、思い込んでいたのでした。
☆母の価値観母の価値観は、私にはよく理解できないものでした。たとえば、東大や京大を出ている人は立派な人と思っているようです。そういう人の言うことは感心して聴くのです。それが私からすると、不思議でなりませんでした。「頭の良し悪しや勉強のできるかどうかで、その人の人間性がなぜわかるのだろう
か?」と、私は常々、母に対して思っていました。母は、自分の理解できない人や気にいらない人を指して、「あの人変わってるね!」と言います。自分はまともで、いつも他人のほうが「変わっている」のです。
また、私は子供の頃から何度となく「理屈っぽい」と言われ続けてきました。母の価値観では、理屈っぽいというのは「いけないこと」であり、「嫌がられること」でもあるのでした。「あんたは理屈っぽいので、治さなければ人に変人と思われて嫌がられる!」と、言い聞かされてきました。
けれども私の友人は理屈っぽい人が多く、友人に「理屈っぽい」と非難されたことは1度もありませんでした。だから母の認識はおかしいと思っていました。
☆友だちを指定する母私の友だち関係でも、母は無理なことを言うのでした。「あの子はよくできるし、いい子だから友だちになりなさい」とか、「あの子とは仲良くしてはいけません!」などです。気が合うかどうかなどということは全く頭にないようなのでした。
私は母に、「あの子と遊んではいけません」などと言われるのが、嫌でなりませんでした。大人になってからは、さすがに口に出して言いませんが、自分の気にいらない人に対して、顔や態度として露骨に出すので、友人から「あんたのお母さんって怖い!」とよく言われました。
☆私を脅す母
母があるとき、「結婚する時、興信所が学校へ成績を調べに来るから成績が悪いと破談になる」と言ったことがあります。私は 「成績が悪いと結婚もできないなんて!!」 と、子ども心にもすごくショックを受けたのを覚えています。
また、こんなことがありました。私が小学生の頃、夏休みに母の実家へ行った時のことです。近所の子どもたちから誘われて、キリスト教の日曜学校へ行ったことがありました。遊びの気分で行ったのですが、お話を聞いている最中に叔父が迎えに来ました。
「母がカンカンに怒っているからすぐに帰るように」というのです。私はその教室が面白かったので、「まだ帰りたくない!」と言いましたが、無理やり連れ戻されてしまいました。母がキリスト教を嫌っていたのです。
ところがその後、母は私を強制的にキリスト教系の中高一環教育の私立中学へ入れたのです。私は小学校からの友だちと一緒に公立中学へ行きたいと思っていました。それに、小学生ながらも、「公立高校へ入りたい」という夢があったのです。「私立へ行くのは絶対に嫌!」と言いました。
しかし、母は「親戚中に受験することを話してあるから、受からなかったら“馬鹿”の烙印を押されて、親戚中の笑い者になる。そうなったら、もうここには居られない!」と、私を強迫しました。
母の言葉は私にとって、とても恐ろしいものでした。私は「試験にだけは受からないと、親戚中から“馬鹿”と軽蔑される。もう家にもいられなくなるのだ」と、本気でそう思ってしまったのです。
それで、やむなく試験を受けたのでした。「もしも、受かったとしても、絶対に行かない!」と、私は母に言いました。でも、母は約束を反故にして、その私立へ入れてしまったのです。絶望的な気分で入学式を迎えました。その日、辛くて悲しくて、涙が止まりませんでした。
「子供の意思や感情など無視しても構わない」という母のやり方は、私を深く傷つけました。それは未だにトラウマになって消えることはありません。
それに、「キリスト教が嫌いなのにキリスト教系の学校へ娘を入れる」という母の行動は信じられないことです。その時から、私は母という人を全く信用できなくなってしまいました。
☆思い通りにしたがる母母は父の兄弟姉妹や友人でも、自分が気にいらないと、父と関わりを持たせないようにします。叔母が来ても、ウサン臭そうな顔をするので、叔母たちから煙たがられています。私は叔母からも父からも、そのことで母についての愚痴をよく聞かされます。
母は自分の態度や言葉が、「人にどのように思われるか」、「嫌われるようなことはないか」などということは全く考えない人に見えます。それよりも、周りの人間関係を、自分の思い通りにコントロールしようという気持ちが強いように思われます。感情タイプなのに「人の心のあや」などもまったく解さないように見えます。そういう点からも、母は「感情タイプ」なのかと不思議に感じられるほどです。
☆心強い母母のマイナス面ばかり書いてしまいましたが、母に感謝していることも、もちろんあります。幼い頃、はしかやインフルエンザなどで高熱を出した時、いつも枕もとにつきそって看病してくれました。それは私にとって、母に甘えられるとても幸せな時間でした。そんな時、母はとても優しく、普段とは別人のようでした。熱にうなされて苦しいのはつらいけれど、病気になると母が優しくしてくれるのがうれしくて、病気になるのが楽しみでもあったのです。また、母は、私が初めての子供を出産した時、赤ちゃんの扱いに慣れない私に代わって沐浴させたり、いろいろと赤ちゃんの世話をしてくれました。少しのことでもすぐ不安になる私に、「大丈夫!」と言って、安心させてくれました。そういう時の母はとても心強い人でした。今でも、そのことでは母に感謝しています。
☆潔癖症の母小学3年生の頃、上級生に赤痢患者が出たことがありました。このとき母は、水で薄めたクレゾール液を入れた洗面器を用意しました。それをトイレの前に置き、「トイレの後には必ずこの消毒液で手を消毒してね!」と言うのでした。
クレゾールの臭いがトイレの廻りだけでなく、部屋中に充満して、まるで病院にいるみたいでした。あまりに消毒くさいので、父が怒って「いい加減にしてくれ!!」と言ったので、やっと、その洗面器は撤去されたのでした。また、「食器を布巾で拭くと、その布巾からバイ菌が広がる」と言って、食器を自然乾燥させることにこだわっています。
最近も、「西ナイル熱」を媒介する蚊について、テレビで放送していたのを見て、「恐ろしい病原菌を持っている蚊がアメリカで発生しているから気をつけなさい」と言いながら、私に蚊の名前を書いたメモをくれるのでした。「そんなメモを渡されたって、どうしろっていうの?」と言いたいところですが・・・。
☆相手によって態度を変える母母は、相手によって態度が変わります。たとえば、税理士さんとか学校の先生というような人たちの前では、かしこまって「よそゆきの顔」をして、声や話し方まで違います。「ほんの少しの失礼も、あってはならない」という感じです。その様子を称して、父が「まるで天皇陛下にでも話すみたいだな」と言っていました。
かと思うと、自分の気に入らない人に対しては、「どこの馬の骨か?」と言わんがばかりの顔をします。よく知らない人で、身なりがキチンとしていなかったり、みすぼらしい感じの人たちに対しては、ウサン臭そうな表情で、ジロジロ見ることもあります。
そんな時、私は居たたまれない気持ちで一杯になります。総じて母は、よほど慣れて親しい人以外には、打ち解けた様子を見せません。☆頑張りやの母母は専業主婦ではなく、ずっと仕事をしてきました。とても働き者で、仕事には一生懸命打ち込む人です。それに、不器用な私と違って、何事も手早く要領よく片付けられる人です。
若い頃は、朝早くから夜遅くまで、働きどうしだったように思います。忙しい毎日なので疲れると思いきや、それでも、エネルギーに満ちていて、家事と仕事はキチンとこなす人でした。
その働きぶりには頭が下がります。私にはとても真似できないことです。
☆「エニアグラム」に出会ってエニアグラムに出会ってからも、私は母との関係を見直すのに随分時間がかかりました。
私は母を長く恨んでいました。けれど、エニアグラムのおかげで母を客観的に見られるようになり、母への対応も工夫できるようになりました。そして、少しずつ恨みの感情も、自分自身から切り離せるようになったと思います。
補足として
by/竜頭万里子
この2w1の母親は、1のウイングが重く、1との境界線に位置するような性格と考えられます。当会の解く「ウイング理論」がなければ、タイプ1と判定されるような人です。そこで、記載されている中で、タイプ1の性格を表わすところと、タイプ2である部分を区別して紹介したいと思います。
・タイプ1と言える部分
・いつも何か用事をしている
・遊ぶということは、彼女にとって時間の無駄でしかない
・習い事として、先生に指導してもらうのが楽しみなようです
・もっと為になることをしなさい!
・勉強に役立つことをしなさい
・東大や京大を出ている人は立派な人と思っているようです。そういう人の言うことは感心して聴くのです。
・人の心のあやなどもまったく解さない
・赤痢患者が出て、クレゾール液を入れた洗面器を用意した
・父が怒って、いい加減にしてくれと言ったので、やっと、その洗面器は撤去された
・食器を布巾で拭くと、その布巾からバイ菌が広がる
・西ナイル熱のメモを渡す
・税理士さんとか学校の先生というような人たちの前では、かしこまる
・総じて母は、よほど慣れて親しい人以外には、打ち解けた様子を見せません。
・タイプ2と言える部分・この子はどうしてこんなに欲がないんだろうと言い
・自分より良い点を取った人がいたら悔しくないのはおかしい
・テストで、他の人に出来て自分に出来ない問題などあるはずがない
・テストで80点以下など取ろうものなら、厳しく叱られた
・私の子だったらできないはずがない。勉強のできない子なんて、私の子ではない!
・自分の理解できない人や気にいらない人を指して、あの人変わってるね!
・自分はまともで、いつも他人のほうが変わっていると言う
・あの子はよくできるし、いい子だから友だちになりなさい。
・あの子とは仲良くしてはいけません!
・あんたのお母さんって怖い!
・結婚する時、興信所が学校へ成績を調べに来るから成績が悪いと破談になる
・キリスト教が嫌いなのにキリスト教系の学校へ娘を入れる
・母は約束を反故にして、その私立へ入れてしまった
・母は父の兄弟姉妹や友人でも、自分が気にいらないと、父と関わりを持たせないようにします
・叔母が来ても、ウサン臭そうな顔をする
・自分の態度や言葉が、人にどのように思われるか、嫌われるようなことはないかなどということは全く考えない人に見えます
・周りの人間関係を、自分の思い通りにコントロールしようという気持ちが強い
・そんな時、母はとても優しく、普段とは別人のようでした。少しのことでもすぐ不安になる私に大丈夫!と言って、安心させてくれます
・自分の気に入らない人に対しては、どこの馬の骨か?と言わんがばかりの顔をします
・みすぼらしい感じの人たちに対しては、ウサン臭そうな表情で、ジロジロ見ることもあります
・エネルギーに満ちている。
さて、タイプ1とタイプ2の部分を区別すると、見えてくるものがあるでしょう。タイプ2は、子どもに対して押し付けがましくなりがちですが、タイプ1の母親は、押し付けがましいところは少ないタイプです。
タイプ1は、子どもの成績が良いとか、礼儀正しく恥ずかしい行いをしなければ、子どもの交際相手にまで、口やかましく干渉をしない傾向があります。
しかし、タイプ2の母親は、子どもを脅してまでも、自分の希望校に行かせるなど、全般的に、強引です。
タイプ2は、周囲の人たちを自分の思い通りにしようとする強い意志が見えますが、タイプ1は苦手な人に対して自分が関わらないだけで、自分の子どもや夫には干渉しない傾向があります。
また、顔や態度でウサン臭くジロジロ見るというのもタイプ2にあり、タイプ1はそのような露骨な態度は見せない傾向があります。
そして、親しい人が少なく、いたとしても、いつも一定の距離を保ち、慎み深くて打ち解けにくい傾向があります。また、はめを外すように見えても、見苦しいことはしないのがタイプ1のほうです。
しかし、タイプ2は、親しい人には打ち解けて、羽目をはずすことがあり得るタイプです。
一方、子どもが病気をすると優しくなるのは、タイプ2の母親に多く、タイプ1の母親は不安で一杯となり、優しさを示す余裕がなくなるかもしれません。
また、タイプ1の母親自身が不安に陥りやすいので、娘も不安に感染するかもしれません。しかし、タイプ2のほうは、比較するとタイプ1よりは、子どもに対して、安心感を抱かせる言動ができます。
また、タイプ1の本質性は「長女タイプ」なので、子どもにそれほど強い関心を示しません。まして、女児への期待は少なく、子どもに干渉も少ないが、指導もあまりしないタイプです。
しかし、タイプ2の本質性は「お母さんタイプ」なので、やはり男児への期待のほうが高いとは言え、子どもの養育全般について、自分に義務と責任があると思いやすい。
従って、干渉も多くなるが、指導したり安心感を与えるなども心がけられるほうだと言えます。
結論として言えるのは、タイプ2w1にある傾向が、「タイプ2と言える部分」ですが、タイプ1w2には、「タイプ2と言える部分」はありません。従って、この母親は基本がタイプ2で、ウイングが1である方と判定できます。
表面的に見るだけでは、ウイングの重い方は、タイプ間違いをします。また、家庭生活などを知らないと、ウイングの部分だけを外の人たちに出しています。ウイングの性格を、基本タイプの性格だと、思い違いするのです。
当会にとって、「ウイング理論」は重要な柱となる理論です。一度、お読みください。以下に載せています。
http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/static/theory4.htm