シアトルを自転車で走る
(詳報)
工事中

最終訂正1998年12月2日

注意:ここに示された情報は1995年6月時点のものです。
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1. きっかけ

 友人のジョンと君子さんの夫妻がシアトルに住んで4年になる。彼らが日本に帰ってきてしまう前に遊びに行こうと思う。
 思い立って、いつ頃が都合が良いかを彼らにe-mailで尋ねた。6月が良いという。それを過ぎると研究が忙しくなって、暇な日本人と一緒に遊んではいられなくなるらしい。天気も6月ならまあまあとのこと。もうじき5月だからさっさと準備を進めなくてはならない。
 Yoshimiは、せっかくだからサンフランシスコも見たいと言う。だからシアトル4日、サンフランシスコ2日の計画を立てる。 早速、Yoshimiの職場に出入りの旅行業者(菱和ダイヤモンド航空サービス)に航空券を注文してしまう。HISにも見積もりをもらったが、菱和がほぼ同じ価格にしてくれた。二人で¥223,400。双方の職場もやりくりして有給届を出してしまう。
 シアトル・サンフランシスコ間はなんと、デルタ航空は直行便が無い。でソルトレークシティ経由となる。でも名古屋からはデルタ航空が便利なので仕方がない。成田や関西空港からだと、そこまでの移動や、混みこみの出入国通関手続きが本当に大変なのだ。名古屋では手続きの時間がかからないし、家から車で30分で行ける。
 何回も飛行機に乗り、知らない土地を見ることもできるのは、航空工学専攻の飛行機マニアの長男に言わせれば、「幸運」に他ならない。ということで、名古屋→ポートランド→シアトル→ソルトレークシティ→サンフランシスコ→ポートランド→名古屋、という長男垂涎の旅程となった。

 

2.シアトルSeattleに着く

 6/10(土)14:30頃、長男の運転する白パジェロ1990年型で名古屋空港に向かう。空港には15時頃に着いてしまう。長男は駐車料金が惜しいのでさっさと帰ってしまう。
 ここ、名古屋空港では、荷物のチェックインも出国手続きもアッという間にすんでしまうので、時間が余ってしょうがない。エイズ注意のパンフレット等を見ながら、のんびりと搭乗口でゲートが開くのを待つ。
 名古屋空港(NGO)発17:25発DL074(MD11機)で、ほぼ定刻に出発。乗ってしまえば、私はいつもの通りビールを飲んで食事をしたら到着まえの食事までひたすら眠り続ける。Yoshimiは映画を見たり機内誌を読んだりして普通に過ごす。

 6/10(土)10:35ポートランド空港(PDX)着。ここで入国と通関を行う。ほぼ同時に成田発の便も到着するため、イミグレーションは日本人であふれてしまう。いつもの日本人の中年女性係員が、列を一生懸命整理して、混んでいる列の人達を空いている列に誘導している。30分ほどで入管、通関が終わる。
 通関では、怪しい物をいっぱい持っていたので少し心配であったが、抜き取りチェックのため、運良くチェックされなかった。怪しい物とは、つまり、芥子明太子、特定ブランド赤出し味噌等、ジョン達の好きな、しかもシアトルの日本食材店で売ってない食品類。その何カ月後かにポートランドに来たときは、私の荷物が農産物チェックのテーブルに乗せられたが、社用のため何も怪しい物は入ってなかった。最近のx線チェックはカラー表示で、内容物の特定かなり可能なので、芥子明太子や紫蘇の葉を没収されたらがっかりするところであった。乗り継ぎのために再び荷物を預けて、あとは少し暇になり、空港内を二人でうろつき回る。

 12:00ポートランド発DL1975(B737)で12:45 シアトル空港(SEA)にすぐに着く。空港のゲートにジョンが迎えに来ている。ハイ・ファイブ(手のひらをパチンと打ち合わせるおおげさな挨拶)とともに、「やぁジョン、しばらく見ぬうちに、ちょっとやせたね」と、ジョンの機嫌が良くなる一言をつけ加えておく。


ダウンタウン地下のバス停
 彼は車を持ってないので、市バスに乗る。空港は市内から遠いので、バス料金は2ゾーンで $1.10 (\87@ $1=\79)、近郊1ゾーンでは料金は $0.85(\67)。
 バスに乗るときトランスファー・チケットを運転手から受け取り、ダウンタウンの地下ターミナルで乗り換えをする。なんとシアトルではダウンタウン内は地下トンネルの中をバスと電車がはしっている。路線によっては地上を走っているバスもあるが。しかも、ダウンタウン内だけをバスに乗るのは無料だという。学生にはただみたいに安いバス乗り放題パスがあるらしく、ジョンは身分上はドクター試験をまえにした大学院生なので、そのパスを使っている。

 ジョンの家に15:00頃に到着する。君子さんと合うのは何年ぶりか。3階建てのアパートの2階で、2部屋にLとDKの部屋だ。隣室はタイ人が住み、毎日香辛料のいい匂いが伝わってくる。地下が駐車場と自転車置き場になっている。裏口に分別ゴミ収集ボックスがあるが、15種類ぐらいに細かく分類されていて、リサイクル意識の徹底が示されている。例えば、新聞、雑誌、その他の紙、透明瓶、茶瓶、緑瓶、鉄缶、アルミ缶、・・・・。
 ジョンの家で30分ほど休んでから、4人で近所のスーパーマーケットLarry's Marketに夕食材料を買いにいく。大きなスーパーマーケットで、肉野菜魚介類の品揃えが多い。蟹(ダンジョネス・クラブ)が生け簀の中にうじゃうじゃいる。私はこのようなスーパーで日用品、台所用品や乾物、香辛料、菓子などを見ているが好きで、いつまで見ていても見飽きない。ここでシアトルの地図(ランド・マクナリー社$2.50)を買う。
 スーパーの横に映画館があり、「マディソン郡の橋」を上映している。映画館の前で上映時間待ちをしているカップルから「Do You Have A Time?」と訊かれた。最近は、時間を尋ねるにはこう言うのか。

 夕食は 井上さん(当時ワシントン大学で研究していたT大医学部の先生)夫妻と一緒にジョンの家でバーベキューパーティをする。3m四方ほどのベランダにバーベキュー・グリルをセットし、炭(チャコール)をおこしているうちに雨が降り始める。工事現場の様な青いシートを上に張り、そのまま作業を続ける。
 井上さんはビール自家醸造をやっていて、自作ビールをパーティに持ってきてくれる。このビールはペールエールにホップをたっぷり利かせたもの。井上さんは、いつもこのレシピで作るそうだ、で作る度に味が微妙に異なるのが自家醸造の醍醐味という。ジョンの買ってきたサミュエル・アダムス・ボストン・エールと井上ビールを飲みながらパーティーは盛り上がる。といっても、話題はこの春シアトルでも有名なオーム真理教のテロの事。なんとオーム教の医者二人は東大の井上さんの弟子だとのこと。途中から講座に顔を出さなくなって心配していたのに、こんな事になってしまって・・・という。
 そういえば、ここしばらくはシアトルのニュースで日本のことが出なかった日は無いという。つまり1/17の神戸の大地震から始まり、オーム真理教騒動が続いて起こり、いまだにどちらもニュースだねがつきることなく続いている。アメリカではオージー・シンプソン事件報道が過熱している。この件ではアメリカのマスコミがまるで日本の女性週刊誌のようだ。
 時差ボケにビールの効くこと、効くこと。眠くてしょうがない。アメリカ名物のフートンをジョンの書斎にセットして貰い、我々は書斎に寝る。フートンとは折り畳み可能のマットレスの事で、普通のマットレスのようなバネは入っていない。ベッド枠の様な物に入れて使うから、気分は布団よりベッドに近いが、今回はフートン枠を書斎に運ぶのが面倒なので、マットレスだけ使う。本来の布団に近い使い方である。枠はフートンの代わりにクッションを乗せて、今まで通り居間でソファーとして使用する。

 この時の自家醸造ビールを飲んだ経験が、後日、私自身の自家醸造となってくるのは、私のホームページを見て下さる人にはとっくに御存知の話。
 井上さんは、その後日本に帰国した。現在はT大で研究しながら、千代田区千代田1丁目1番地の3人家族の担当医として、3人方の脈を取っている。

 

3.自転車レンタルしてワシントン湖西岸トレールへ

 6/11(日)朝、天気予報は「曇り時々シャワー、ときどき晴れ」。ジョン、Yoshimi、私の3人でサイクリングに出かける、君子さんは留守番。地下ガレージの自転車置き場からジョンと君子さんの自転車を出す。私は近くのサイクリングショップでマウンテンバイクを借り、Yoshimiは君子さんの自転車を使う。ガレージの中でも、自転車はきちんと鉄骨の自転車止めにワイア錠で縛り付けてある。盗難王国の常識。
 3人で家を出て、自転車を引いて徒歩で出発する。南に1Kmでグリーン・レイクGreen Lakeに着く。湖のまわりの歩道兼ホイール道(自転車やローラースケート専用道)を1/4周回って東側に出ると、公演のすぐ東に自転車レンタル店Gregg Cycle (7007 Woodlawn ave. NE, Seattle)がある。そこで私の使うマウンテン・バイクを借りる。料金は$18(\1,418)/日で、少し高い。更にデポジット(保証金)が$300必要であるが、クレジットカードで済む。
 レンタル料には、ニーパッド、肘パッド、ヘルメット、錠、水筒の料金も含まれるので、ヘルメットのサイズ合わせをするが、合わない。どれも合わない。米国人の頭は水平断面が縦長、日本人はだいたい丸い、合うわけがない。その店に置いてある最大のサイズのヘルメットで何とか頭を入れることができる、私の頭は55cmでけっして大頭ではないのに。ヘルメットの前後に隙間ができる。

 Gregg Cycleから、ラベナ通りRavenna BLVD.にでる。この道は2車線道路の1車線分丸々自転車レーンになっている、もともとは全部自動車道路だったようだ。ラベナ通りを南東に1.5Km進むと左手にラベナ公園Ravenna Parkがある。角を左折し1ブロックのところに公園の中の「山道」の入口がある。そこから鬱蒼とした木立の中の山道を1.5Kmほど下る。本当に鬱蒼としていて、町の中とは思えない。公園を出てラベナ通りRavenna Av. NE.を南に300mで、バーク・ギルマン・トレールBurke Gilman Trailという名前のワシントン湖西岸の小道に出る。これは、ガス公園とワシントン湖北端とを結んだ、約20Kmの歩行者とホイールの専用道である。


Gregg Cycle店内

ラベナ公園

4.BurkeGilmanTrailを通ってLakeForestPark へ

 バーク・ギルマン・トレールBurke Gilman Trailを東に向かうとユニバーシティ・ビレッジ・ショッピングセンタUnivercity Village S.C.という500m四方ほどのショッピングセンターがある。文字どおり、ワシントン大学のすぐ北側に隣接している。ここから4kmほどは、住宅地の中の木立に囲まれたトレールを北東に走る。まだワシントン湖畔には出ない。
 予報に反して好天気となり、サイクリストやランナーが多くなる。ローラースケートのランナーや、後ろにベビーカーを牽引した自転車など見かけるようになる。フリースのジャケットを着ていた人もいたはずなのに、アッという間にTシャツと短パンの人達ばかりになってしまう。高速のロードレーサーが「左を追い越すよぉOn your left!」と叫びながら我々を抜き去っていく。
 湖岸の道を10Kmほど走るとワシントン湖北端のレイク・フォレスト公園Lake Forest Parkに着く。その手前1Kmほどのところにあるショッピングセンターの中のスターバック・コーヒーStarbucksCoffeeでCoffeeとおやつを買ってきて休憩する(コーヒー$1×3、菓子$2.25で、合計$5.25 =\413)。鴨が多い。水上飛行機の発着場が近くにある。

BurkeGilmanTrail

レイク・フォレスト公園

レイク・フォレスト公園で休むサイクリスト達
(右手に自転車で牽引する乳母車がある)

5. LakeForestPark からGas Parkへ

 トレールを約15km戻り、大学近くのショッピングセンターUniversityVillageSC内のスーパーマーケットQFCで昼食を買う($9.25=\728、Sandwich$3.49、NudlleSalad$4.43他)。
 トレールはワシントン大学University of Washington構内を通って行く。ワシントン大学の巨大なフットボール・スタジアムを左手に、キャンパスを右手に見て進んでいく。ワシントン大学は約1マイル四方の敷地を持った州立総合大学で、日本からの研究者もかなり多いらしい。
 大学を通りすぎると、トレールは、ワシントン湖運河Lake Washington Ship Canalを南北に渡る州間高速5号線の橋の下をくぐる。この橋は頭上50m以上の、非常に高いところに作られている。ワシントン湖を東西に渡る高速州道520号線は、ワシントン湖水面に浮いた浮橋Floating Bridgeなので、対照的で面白い。橋をくぐると1マイルほどで、ユニオン湖北岸のガス公園Gas Parkだ。

 ガス公園とは、昔のガス工場の廃墟を保存し周辺を公園としたもの。ユニオン湖に突き出した直径500mほどの半円形の半島になっている。工場廃墟のまわりは芝生広場となっている。犬とフリスビーをする人、上半身裸で日光浴する人、なぜか中世の鎧を身につけ剣劇をやっている集団などがいる。
 昼を過ぎたので、半島の先端で先ほどQFCで買った昼食を食べる。ユニオン湖にはヨットが浮かび、1.5マイル先の対岸はシアトルのダウンタウンで、高層ビル群とスペース・ニードル塔が見える。



ガス公園からユニオン湖とダウンタウンを見る

ガス工場の廃墟

6. Wasington大学を経てジョンの家に帰る

 ガス公園Gas Parkから、もとの道をワシントン大学まで戻る。風が吹きはじめ、しかもちょうど逆風のため、大学までの道で少し疲れる。
 ワシントン大学構内に入ると、ちょうど学生の卒業式でガ卒業生や父兄が大勢いる。卒業生は角帽をかぶり、ガウンを着ている。噴水池や、まわりのバラ園で記念写真を撮っている親子が多い。
 図書館前の広場や、有名な桜並木の庭園を走ったあと、大学の西側に出て学生街Univercity Avenueに行く。大学生協の店University Bookstoreで子供達への土産のTシャツを買う。生協の向かいのタワーレコードでCDを買っていたら、ジョンの友人のマシューが現れる。
 学生街を北に行ったところにあるカフェGrand Illusionに行き、マシューと話をする。このカフェはジョンたちの勉強部屋件社交場として使われ、隅の机で何時間座っていても、店主は苦情を言わない。コーヒー$0.80=\64、スコーン等のスナックも安い。マシューは、日本の事を研究しているそうで、日本語も上手。背も小柄で、ほとんど日本人と話しているような気分になる。
 

ワシントン大学

グリーン湖の周回道

7. ついでにシアトル観光を

6/12(月):ジョンの家から市バスでダウンタウンに出る。Pikes Place Market、Water Front等を散策した後、登山用品店REI等を回り旧市街Pioneer Placeのbarで地ビールを飲む。

6/13(火):徒歩バス(Yoshimiは君子さんとバス、Takayoshiはジョンと徒歩)でモールNorth Gate ShoppingCenterに行き、女性達の買い物に付き合う。昼食後ぼBoeing社のEverette工場でジャンボジェット機組立を見学する。夕食にダウンタウンのシーフードレストランMaccormic's Fish Houseで生牡蛎を食べまくった後ジャズのライブハウスNew Orleansでジャズを聴く。


ダウンタウンのPikes Place Market

市バスに自転車をのせる

8. ついでにサンフランシスコ観光を

6/14(水):井上さんの車でシアトル空港Sea-Tacに行き、12:30発DL1972便でソルトレークSalt Lake City空港経由サンフランシスコSan Francisco (SFO)空港に15:45に着く。直行便が無いため、遠回りとなる。空港からシャトルバスをたのみ、チャイナタウン門前のHotel Tritonへ。シャトルバス料金は往復で$16/一人、合計$32(\2,599)。
 チェックイン後ユニオン・スクエアUnion Squareやチャイナ・タウンChina Town界隈を散策する。久しぶりのサンフランシスコは、15年たっても物価以外あまり変わっていない。チャイナタウンで夕食、現地人は食べる前にフォークスプーン類を紙ナプキンで拭っているので、真似をする。

6/15(木):ケーブルカーでフィッシャーマンズ・ワーフFisherman's Wharfに行き、湾内クルーズ(Blue & Gold Fleet)をする。Pier39で蟹爪、ゆで蟹、クラムチャウダー、コーヒーの昼食をとる(二人で$14.32=\1228)。
 Fisherman's Wharf界隈を散策した後、ケーブルカーでCable Car博物館を見学する。そこから徒歩で徒歩コイトタワーCoit Towerまで延々と行き、高いところから町を望む。麓のタワーレコードTower Records本家本元に寄り、くねくね坂道で有名なLambert st.を登り、ケーブルカーで再びダウンタウンに戻る。
 再びFisherman's Wharfに行き、サンフランシスコに住むジョンの弟嫁に教えて貰ったレストラン、スコーマScoma's で夕食。


サンフランシスコのスカイライン

コイトタワーからの金門橋
6/16(金):前日に電話予約したシャトルバスでサンフランシスコSan Francisco空港 (SFO)に行く。10:25発DL209便がポートランドPortland空港(PDX)に遅れて12:30着。あわてて13:00発DL075便名古屋行きに乗る。
6/17(土):名古屋空港(NGO)に15:25着。迎えを頼んだ長男の運転する車で帰宅する。そのまま家族全員でトンカツ・レストラン十勝(名古屋では有名)に行き、久しぶりの日本食を食べる。

 

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