1行ブックガイド
ここでは、みなさんから寄せられた「1行ブックガイド」を掲載しています。
投稿作品(99年1月24日以降)・下へ行くほど新しい作品です。
●ヘンリー・デンカー作「復讐法廷」
(「俺が悪者になって世の中に警告してやる」という妄想)を通して (白人中年男性)は (黒人殺しを正当化 )。
ついでに(若い弁護士)も (黒人検事に差別的罵倒)。
・投稿者： 大根
・投稿者コメント：あの司馬遼太郎が激賞した法廷劇。
自分が有色人種だということを忘れると、けっこう面白い小説。
・主催コメント：70年代後半のディスコには自分を黒人だと思ってるボビ男なる人種がいましたですね。投稿一番ノリおめでとうございます。何もでないけど(^-^)
●ダニエル・キイス作「アルジャーノンに花束を」
(実験)を通して (ちえおくれの青年)は (天才的知能を得る)。
ついでに(スケベ心)も (わいてくる)。
投稿者ふじーひろし・ そこはか通信
・投稿者コメント：どうもです。とりあえずつくってみました。 あんまり小説読まないんで、ちょっとハズしてるかも。
・主催コメント：いえいえ、このみもふたもないところが核心です。 しっかりつぼ押さえてますです。(^-^)
●フランツ・カフカ作「変身」
(巨大な虫)を通して (家族)は (嫌がる)。
ついでに(リンゴ)も (めりこんだ)。
投稿者第一寿はるか・ ズキズキどんぶり
・投稿者コメント：失礼しました。リンゴだったっけナシだったっけ。
・主催コメント：かんべむさし「氷になった男」という「変身」のパロディで、主人公がグレゴール・ザムザならぬミズコール・サムサというのがありました。
●花村 萬月作「ゲルマニウムの夜」
(陰湿な暴力)を通して (主人公)は (魅力を増していく)。
ついでに(修道女に)も (やられちゃったしぃ)。
投稿者あつよ・ ATSUYO'S HOMEPAGE
・投稿者コメント：本は結構読みますが、内容はあんまり覚えていない、 ということに今気付きました。
・主催コメント：けっこうあります覚えてない本。大藪晴彦の「復讐の掟」なんて角川文庫で表紙が変わる度に新刊と思って買ってしまい、本棚に3冊あります。読み終わっても以前読んだこと思い出さない(^-^)
●池波正太郎 作「剣客商売」
(剣の道)を通して (秋山小兵衛)は (セックスと美食と殺しの悦楽を堪能する)。
ついでに(人生の機微)も (一人で納得する)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：時代小説の巨匠が残した、連作チャンバラハードバイオレンス!!っつっても あながち嘘ではないような。池波先生、ゴメンナサイ。
・主催コメント：「セックスと美食と殺しの悦楽」ってまるで大藪ですな。池波作品読むと、江戸時代へ行って旨いもん食って、小股の切れ上がった、ちょっとあだっぽい町娘なんかとエッチしたくなります。「うーんお武家さまったら･･･」
●京極夏彦作「姑獲鳥の夏」
(この作品)を通して (ミステリーマニア)は (温故知新って便利な言葉だなあと知る)。
ついでに(ミステリにおける臨床心理学と精神病理学の使い道)も (心得る)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：ネタバレ】これって「アルファベットで始まる、国産ミステリーの傑作短編」とおんなじやん!と思ったヒト、結構いると思う。
・主催コメント：同感。でも語り口とキャラで物語は立っちゃうのも事実。ちなみに主催は榎木津が好き。机上に置かれた「探偵」という三角錐（爆笑）
●京極夏彦作「魍魎の匣」
(この作品)を通して (ミステリーマニア)は (宗教論争さながらに「十戒」の解釈を論争する)。
ついでに(モダンホラーというジャンル)も (ますますボーダーレス化が進む)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：とはいえ,明らかに、どちらの「十戒」にも反しているんですが。
・主催コメント：雰囲気で読んじまうんだこれ。ラストシーンはもう乱歩ですよ。でも研究所のくだりは、60年代東宝の「電送人間」を連想しちゃうな。
●京極夏彦作「狂骨の夢」
(この作品)を通して (ミステリーマニア)は (「カルト教団必ずしも邪ならず」と誤解する)。
ついでに(丹波哲郎)も (増長する)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：丹波哲郎監督(だったような)「砂の小舟」って映画がありまして、その映画の中で「狂骨」のキーパーソンの教団が出てくるんです。ちなみに、教祖は丹波御大が演じていました。
・主催コメント：「砂の小舟」って少しロリ入っていなかったかなあ。
●京極夏彦作「鉄鼠の檻」
(この作品)を通して (ミステリーマニア)は (「是是難解」と錯覚する)。
ついでに(特撮マニア入ってる読者)も (「帰ってきたウルトラマン」みたいだと喜ぶ)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：喜ぶのはオレだけか。「二大妖怪箱根を襲撃」「決戦！妖怪対京極堂」ってか。ホントは「薔薇の名前」ナンだが。
・主催コメント：日本が舞台だからいわば「菊の名前」、あっ男ばかりの僧院で「菊」ってのはまずかったかな。
●京極夏彦作「絡新婦の理」
(この作品)を通して (ミステリーマニア)は (科学的教養を問われる)。
ついでに(変革ミステリ作家)も (なお一層の精進（暴走）に励む)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：いきなり冒頭で、「ラプラスの魔」だの「不確定性原理」だのを持って来たのは確信犯でやってるんですよね？京極先生!!
・主催コメント：ミステリーマニアに「ラプラスの魔」だの「不確定性原理」をぶつけるなんて、ウィークポイントをついてますね。絶対に確信犯。
●京極夏彦作「塗仏の宴 宴の仕度/始末」
(この作品)を通して (ミステリーマニア)は (フリッツ・フォン・エリック並の握力を身につけた)。
ついでに(思考力)も (ガッツ石松並に強化された)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：辞書か聖書かというボリュームと読後の脱力感といったら...洒落にもナンにもなってないな。＞この投稿
・主催コメント：太平洋戦争中の研究がでてくると鉄人28号を連想する俺・41歳です。思うに「太平洋戦争中の秘密研究」ってのは何やってもいいぞっていうキーワードですね。
●貴志祐介作「クリムゾンの迷宮」
(命がけのサバイバルゲーム)を通して (主人公)は (NINTENDOは不滅だと力説する)。
ついでに(BANDAI)も (「ワンダースワンもヨロシク！」と便乗するか？)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：カレー成金」(笑)のこの作者、かなりのゲームマニアとみたが如何か？
・主催コメント：うーむこの年ではNINTENDOはやや子供っぽくて･･･でも子供とコロコロコミックも読んでるんだな、俺
●貴志祐介作「黒い家」
(生涯)を通して (作者)は (林真須美に足を向けて寝られない人になった)。
ついでに(30代以上の読書家)も (角川商法の健在を知った)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：「人生タイミングが命」ということを教えてくれました。(笑)刊行から１年以上たって起きた事件なのにネ。
・主催コメント：私も88年にオウム事件を予言する「第七の封印」という長編を書いて「ムー」(爆笑)に投稿したことがあります。荒唐無稽と言われましたが、オウム事件ほど荒唐無稽ではなかった･･･
●小野不由美作「屍鬼 上・下」
(連続する村人の変死)を通して (僻村の医師)は (吸血鬼ってホントにいるんだと思う)。
ついでに(坊主)も (丸儲け)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：三千枚以上の大長編が、要約できちゃったヨ。(笑)小野先生、ゴメンナサイ。
・主催コメント：やはり88年にキングの影響で「沈黙の島」という「ホラー中編」を「ムー」に投稿しました（爆笑）。枚数もキングなみでなければいかん、ということですなあ。
●トマス・ハリス作「ハンニバル」
(優雅な逃亡生活)を通して (ハンニバル・レクター博士は)は (クラリス捜査官と行くところまでいく)。
ついでに(昔の患者に)も (アフターケアは忘れない)。
投稿者末代までの恥・
・投稿者コメント：『映画秘宝』で紹介されたまんまの内容だけど、ホント だから仕方ないっす。
・主催コメント：殺しほうだい、しかも頭の良さで尊敬までされ、美女とねんごろ･･･、作者の秘めたる(全然秘めてへん)願望だろうか。トマス・ハリス、よっぽど日常で鬱屈してるんだなあ。
●エドガー・アラン・ボー作「黒猫」
(ダメ人間な生活)を通して (主人公)は (妻を壁に塗りこめる)。
ついでに(黒猫)も (塗りこめた)。
投稿者けいちゃん・
・投稿者コメント：自信ないですー。
・主催コメント：直球勝負! この球には、かのポーすらお手上げですね(笑)
ちなみに、文学には「ダメ人間な生活」が不可欠です。でもダメ人間が文学者になるわけではありません。ミュージシャンになったりもします(笑)
●J・K・ローリング作「ハリー・ポッターシリーズ」
(魔法使いの少年)を通して (生活保護を受けていたシングルマザー)は (億万長者になった)。
ついでに(差別語騒動)も (起こして日本全国の図書館を混乱に陥れた)。
投稿者ババちゃん・ ぱおにゃん？
・投稿者コメント：ガキ向けファンタジーとしてはつまんねえ部類にはいると思います。「ゲド戦記」や「ライラの冒険」シリーズの方がずっとおもしろいや。こんなもので騒動になるならロアルド・ダールなんか今ごろ焚書坑儒されてるぞ。
・主催コメント：ヒットさせるために、普段はガキ向けファンタジーを読まない評論家に読ませて賛辞を書かせる、というのもいい手なんでしょうね。いわば撒き餌。
●津本陽 作「下天は夢か」
(天下統一)を通して (織田信長)は (各地を焼き払った)。
ついでに(自分)も (最後には燃されちゃった)。
投稿者撞球王さん・ それでもあなたは球を撞く
・投稿者コメント：こんなん作ったぎゃ。
・主催コメント：下手に長生きしなかったところがヒーローのヒーローたる所以ですね。
長生きした秀吉が朝鮮に出兵したぐらいですから、信長が長生きしていたら明まで行っ ちゃったかも。
●高見広春 作「バトルロワイヤル」
(同級生皆殺しの殺人ゲーム)を通して (主人公たち)は (やがて政府に反逆する決意を固めるようになる)。
ついでに(中高生)も (政治家よりもよっぽどモノを真剣に考えた)。
投稿者もりりん・ もりりんのるつぼ
・投稿者コメント：映画も見たけど、小説のが数段面白かったなぁ。どうしても仕方がないけど。
・主催コメント：見ないでコメントする政治家や教育関係者にも困ったもんです。
暴力描写も全然おとなしいし。生徒の制服もパンチラしないように配慮されてましたし。内容的にはむしろ左翼(今さら何でって気もするが)ですよね。
映画という個別事例を問おうと言うときに「暴力はいけません」という総論を持ってくるのは「おかど違い」ですよ。
「クレヨンしんちゃん」の方がよっぽど教育的によくないと思うよ私は。
●アーサー・C・クラーク 作「2001年宇宙の旅」
(モノリス)を通して (ヒトザル)は (新しい知識を得る)。
ついでに(イボイノシシ)も (食べられるようになった)。
投稿者撞球王・ それでもあなたは球を撞く
・投稿者コメント：小説「2001年宇宙の旅」はわかりやすくて好きですね。
・主催コメント：映画が伝説になったのはひとえにキューブリックの説明不足ゆえってとこです(笑)。
●作者不明 作「猿蟹合戦」
(柿の所有権問題)を通して (猿と蟹の関係)は (抗争へと悪化する)。
ついでに(蜂と栗と臼達)も (蟹の支援を表明する)。
投稿者撞球王・ それでもあなたは球を撞く
・投稿者コメント：反則ですか？
・主催コメント：柿に「エルサレム」とか「クエート」とかを代入して猿と蟹にイスラエ ルとかパレスチナとかアメリカとかイラクとかを代入すると、現代を鋭くえぐってしま いますね。
人間ってのは本当に進歩しませんねえ（笑）。
あっ「満州」とか「朝鮮半島」ってのも代入可能だな。この場合は近代史をえぐっちゃう。当然「大日本帝国」とか「アメリカ」を代入してください。
撞球王さんの説話ネタ。これには一本取られました。このシリーズ（勝手にシリーズ化・笑）も面白いですね。
●アリステア・マクリーン作「ナヴァロンの要塞」
(絶えざる困難)を通して (男たち)は
(団結と自己犠牲の尊さを知る)。
ついでに(ナチ)も (皆殺し)。
投稿者匿名希望・
・投稿者コメント：つい出来心での投票です。スイマセン。
しかしアンドレア１人にあれだけやられちゃうドイツ軍も頼りない。
・主催コメント：毛唐の近代娯楽小説で皆殺しにしていい相手の変遷。 海賊→インディアン→ナチ・旧日本軍→コミュニスト→ベトコン→ソ連軍→帝国軍→テロリスト→タリバン→イラク軍、やあ切りがないや(笑)。
以前、ビデオで「米独のにらみ合う第二次大戦のヨーロッパの戦場に宇宙人が現れる」というのがありました。
「ほう、地球の危機に対して、敵対する米独が確執を乗り越えて手を組む、これはおもしろそう」と思ってレンタルしたら、なんと「宇宙人と手を組んでナチを倒す」という内容だったことがありました。俺の想像の方がぐっと面白いのに。
●サルトル作「壁」
(壁)を通して (男)は
(実存主義を知った)。
ついでに(ボク)も (実に損した)。
投稿者shisyun・
・投稿者コメント：実存主義を否定しているわけではございませんので、あしからず。
・主催コメント：今は昔、受験生の頃、アンガジェマンをエンゲージメントと読んで、最後まで
その問題文がサルトルであることに気づかなかったのは私です(涙)
●カミュ作「異邦人」
(不条理)を通して (ママン)は
(死んだ)。
ついでに(太陽)も (黄色かった)。
投稿者shisyun・
・投稿者コメント：フランスの原文でも、太陽は黄色かったのでしょうか？？？
・主催コメント：今では、太陽が黄色かったから、という理由があるだけでも、あの殺人はまだましな気がしてしまいます。
ま、それにつけてもあのアラブ人は災難でした。
●我孫子武丸作「殺戮にいたる病」
(殺人鬼の視点)を通して (読者)は
(叙述トリックの醍醐味を知り)。
ついでに(僕)も (インポになった)。
投稿者ぽっと・
・投稿者コメント：読書しながら、えずくという貴重な体験をさせてもらいました。
・主催コメント：読書しながら思わず何かさせてしまうというのは、作品に力があるということで、でもできれば気持ちいいことがいいですな。
ま、官能小説ってやつもそんなものだろうな。思わず・・・。
●小林泰文作「ＡΩ（アルファ・オメガ） 」
(ＳＦ)を通して (本格小説を気取る作者)は
(ウルトラマンと社会を皮肉る)。
ついでに(古式英語の成り立ちと小野妹子と )も (作家が食えない愚痴)。
投稿者ポンガーヨン・
・投稿者コメント：出版は９８年。作者は「玩具修理者」が映画化もされた阪大出の松下社員。生物レベルで変異する知的生命体が、謎の生物を変異させる敵を追って地球に飛来。その時、航空機と衝突してその航空機を墜落させる。その時、知的生命体は、殺してしまった絵本が賞取ったばかりに脱サラして奥さんに逃げられた男を細胞レベルで再生。男の意志に潜んだまま・・。
という、当時「ウルトラマンの小説化」と評された作品ですが、その後本家ウルトラマンがこのプロットを模倣してしまった（笑）聖書と怪獣を折りお混ぜ、腸描写の丁寧さをホラーと歌うが、味気ない上にアラだらけのお話で大不評。いちおう、とり・みきお薦めで、それに騙された口です。
・主催コメント： この作品は、生物再生のグチョングチョン描写がしたいために後からストーリーを持ってきたような印象があります。それだけにその描写は微に入り細に入り。まるでSFXだけが突出したような映画ですな。とり・みきお薦め>>>私もよくだまされる口です。別ジャンルでは、冒険小説とハードボイルドでは内藤陳さんによく騙されました。映画ではおすぎさんによく騙されます。というか、おすぎさんの場合は、褒めてると見ないのです。どれだけいい作品を見逃したことやら(涙)。
●エンリケ・バリオス「アミ・小さな宇宙人 」
(宇宙からちょっかいを掛けてきたアミ星人)を通して (在りもしない理想郷を見せつけられた南米の田舎モン)は
(ますます人間がイヤになる)。
ついでに(電波を受信した広告塔に騙された読者 )も (危険な宇宙論に被れ初めてカルマを落としたがる)。
投稿者ポンガーヨン・
・投稿者コメント：感動するのはご自由ですが、書評を読んでいるとなんだか宇宙論だとか悟りだとか自信に蠢く罪悪を消したいとか宇宙と一体となるとか、あからさまに危険信号を発しているので怖いです。だれか何とかしてやれ！
・主催コメント： ファンタジー的ではありますが、言ってることはアダムスキーと同じかあ、と思う私は、かつて大陸書房の数々の書籍を愛読していました。照れる。
●Ｌ・キャロル「ふしぎの国のアリス」
キャロルの目を通して 大人は
少女像を創りあげる。
ついでに少女は 幻想の世界を夢見る。
投稿者モン・
・投稿者コメント：初めて投稿しまちゅ 甚だ･･信が無い上に、創りあげる。で終わりの方が良かった気が
・主催コメント： 何年ぶりかの投稿者に感動した主催者ですが、男は「少女」に幻想を抱くもんです。娘が成人した主催者も、まだそんな部分があります。照れる。
