いまむら騎手 / 2000年・9月〜12月


9月

 2(土): 1日2騎乗。5R・障害未勝利は初障害のメイショウヒグマに騎乗。平地時にも騎乗していた同馬の初障害、わずかな期待を寄せていたが、後方ままで見せ場なく惨敗した。 9R・ひまわり賞はホーマンヒバリに騎乗。九州産馬の特権ではあるが、未勝利戦で全く歯が立たない馬がオープンで通用するわけもなく、13着に敗退した。
 3(日): 今年の初勝利を挙げた馬・スリータイクーンがなぜか平地に出走。出遅れて後方から。向正面で徐々に進出するも3角で一杯、その後はずるずる後退し結局シンガリ負けに終わった。 やっぱり平地では通用しなかったようだ。しかし、あの「究極の飛越」ができるのだから、障害戦でもまだまだ活躍は十分できるはず。『J』で巻き返しを!!
 9(土): またまた1日2騎乗。5R・障害未勝利はショウザンリキオーに騎乗。先団につけていたが、正面の3つ目の障害で躓いて落馬。幸い人馬ともに異常はなかった。 12Rはテイエムガッツオーに騎乗。置かれた後方から1頭交わしただけの12着敗退。2騎乗ともに最低人気ではこの結果も仕方がないところか。
 24(日): メイショウヒグマに騎乗。前走同様全く見せ場なく惨敗。
 30(土): 5・8Rの2騎乗。5Rの障害オープンには平地を挟んで昇級初戦となるスリータイクーンに騎乗。今後を占う意味で重要な一戦である。スタートは平凡で後方からの競馬となった。しかし前回の障害戦同様、飛越は抜群に巧く徐々に順位を上げてきていた。 ペースが速く前とは差があったものの、それなりに追走していた。向正面でも差は詰めてきて、直線で一瞬伸びてきたものの平地力の差が出て伸び切れず5着までに終わった。 レースぶりは昇級戦としてはなかなか見応えはあり、相手次第ではオープンでも何とかやっていけそうな感じはあった。抜群の飛越力はオープンでも通用することは証明された。
 8Rはテイエムガッツオーに騎乗。最低人気ではあったが、最後の伸び脚はなかなかのもので9着まで盛り返した。もう少し追走が楽になれば上位までチャンスはありそうだが・・・。

10月

 7(土):  福島で衝撃の1日2勝!!

 今年初の福島遠征。3、5Rの2騎乗。ともに実力のありそうな馬での参戦で期待していたが、ここまでやるとは正直驚いた。現場に行かれた方にとっては、ウイナーズサークルで今村騎手を1日に2度も見られるとは、うらやましい!!
 まずは3R。初出走のギブアンドテークに騎乗。スタートはまずまずだったが、なかなかいいスピードを持っていて序盤から積極的に先手を奪う、1000m戦としてはベストの展開に持ち込んだ。 4角で外から2番人気のボルチモアボーイに並びかけられたが、直線で突き離し、最後追ってきた1番人気のエルチャンスを抑えて完勝した。馬体もしっかりとしていて、タイムもまずまず良いのでこの馬は結構走るかもしれない。次走も騎乗できれば引き続きチャンスはありそうだ。
3R・勝利のコメント
 ハナに行けるようなら行って欲しい、と言われていたんです。スタートが良かったし、他も来ていなかったので、物見はしていましたが行くことができました。坂路で動いていたけど、まだ余裕のある造り。これからが楽しみですね。

 そして5R。シークラッシュに騎乗。2番人気に支持されていた同馬。こちらもスタートはまずまずで、軽くムチを一発入れて内からコーナーワークで先手を奪った。それからは絶妙のペースでレースを進め、3角でも手応え良く、後続が並びかけてきた直線入口でスパート。 やや外へ膨れ加減も内に立て直して追い出すと、2馬身ほどのリードができ、そのまま押し切った。危なげのないレースで完勝、今村騎手自身初の1日2勝という大仕事をやって退けた。この日まで通算3勝、年間でも1勝が最多の今村騎手にとって、偉業と言えるほどの価値のある2勝である。 これを機に一気に今村騎手がブレイクすることを期待したい。これからもガンバレ!

5R・勝利のコメント
 トモが甘いのでスピード的に距離は長い方がいいですね。内枠で思い切ってハナを切って自分のペースで走れました。

 8(日): 京都へ帰ってメイショウヒグマに騎乗。惨敗続きのこの馬では実力的に上位は無理。案の定、後方ままに終わった。仕方なし。
 14(土): ここ2走、平地で騎乗していたテイエムガッツオーの障害入り初戦。6頭立ての4番人気であったが、序盤から行き脚がつかず、飛越でも全くスピードに乗らず後方ままの5着に終わった。 レース後半は徐々に飛越慣れしてきたが・・・。
 21(土): 初障害・ルールエースに騎乗。道中は終始5、6番手を追走していたが直線で一杯。結局大差負け。
 22(日): 福島で4歳未勝利戦・スルティールワンに騎乗。道中は中団よりやや後ろに付け、最後ジワリと差を詰めて7着まで押し上げた。次走あたり掲示板圏内に突入か?
 28(土): 洛南JS、スリータイクーンに騎乗。スタートで少し出遅れたため後方からのレースとなった。飛越は無難であったが、いつもの「究極の飛越」はやや影を潜めていた。 2周目の向正面から徐々に差を詰め、最終障害では3番手集団まで押し上げたが、最後の直線で伸び切れず6着に終わった。現状ではこれが精一杯か。

11月

 4(土): 中団よりやや後ろからのレースとなったテイエムガッツオー。前の集団からは離されていたが、前走より飛越もスムーズで、2周目で徐々に進出。 前とは差が開いているものの6着に健闘し、今後にメドの立つ内容であった。
 11(土): 今回の京都HJが重賞初騎乗。デビューしてから3年半での重賞騎乗は結果云々よりも今後の騎手人生の中で生かされることとなりそうで、いい経験になったことだろう。 騎乗馬・スリータイクーンの実力は、重賞メンバーではかなり劣っている感はあるが、レースでは離されずついて回り、最後はスタミナと平地力の差が出たものの7着と頑張った。 初体験となるバンケット障害も問題なくクリアしていた。全体的には危ない飛越が2つほどあったが大丈夫で、それなりに力は出し切れていたように思う。
 スリータイクーンもようやくオープンのペースに慣れてきたようで、展開が乱れれば突っ込んでくることもできそうだ。
 18(土): マンリーパースンに騎乗。スピードタイプで最後までスタミナが持つかどうかがポイントであった。レースではスタートからスピードの違いで先手を奪い、飛越も巧い。 1周目の向正面で10馬身ほどリードを保っての単騎逃げとなった。やや行きたがっているのをなだめながら向正面の障害を飛越していったが、躊躇なく軽々と飛んでおりスピードが全く落ちない。無駄な力を使わず、安定した低い飛越でバランスが全く崩れない。 飛越ごとに差が広がっていく。間違いなく今村騎手お得意の「究極の飛越」だ。最後は平地力で優るエイシンビンセンスに差されはしたが、3着以下を再び突き離したところにこの馬の将来性がうかがえた。
 このレースぶりが本物であれば、マンリーパースンの実力は重賞級。ただしそれは今村騎手のような「究極の飛越」ができる騎手でないと実力は発揮できないが。
 ちなみに「究極の飛越」とは、騎手が歩調を合わせて飛越させるわけでもなく、馬任せで騎手はバランスを崩さないことだけに気をつけて飛越させるというもの。障害に躊躇せずに軽快に飛んでいける馬でないとこの飛越は難しい。 この究極の飛越ができれば、障害飛越によるスタミナが最小限に食い止められ、さらに飛越ごとに差を広げられる利点がある。ただし馬と騎手の呼吸が合わないとちょっと危険ではある。
 もちろん「究極の飛越」は一般的な用語ではないのであしからず。
 19(日): 関東に赴いてフロムザストームに騎乗。前日同様に(外)の前評判の高い馬である。しかし前日のマンリーパースンと違って飛越が今一つ。後方から最後なだれ込んだというレースだった。 特に見せ場はなかったが、勝ち馬からはそんなに離されておらず、一度使われた次走に期待がかかる。
 25(土): 中京6R・4歳以上500万以下にてスルティールワンに騎乗。未勝利戦で通用しなかった同馬がクラスが上がって通用するわけもなく、予想通り惨敗に終わった。
 26(日): 京都5R・障害未勝利にて初障害馬バルビゾンに騎乗。後方からレースを進め、全く見せ場なくシンガリの11着に敗れた。

12月

 2(土) 圧倒的1番人気に応えて快勝!!

 単勝1.7倍の圧倒的一番人気に推されたマンリーパースン。前走のレースぶりを見ればスピードの絶対値が違うので当然の評価である。スタートからダッシュよく先手を奪うと、最初の飛越で差を広げる。そこからは一人旅。 単騎の逃げでレースを引っ張った。飛越は相変わらず巧い。タスキの竹柵はやや飛び切れていなかったが、問題はなかった。順まわりに入ったところでリードは15馬身ぐらいあったが、そこからうまく息を入れてペースダウン。 後ろの馬たちに2馬身まで迫られて少しヒヤッとさせたが、最終障害を飛越して再び差を広げると最後の直線ではまだ余力十分で抜け出した。最後は迫られたものの手綱を抑える余裕の勝利で着差以上に強いレースを見せた。 順当に勝ち上がり、今後の活躍が非常に楽しみである。飛越は低いがスピードが落ちず、ファイブポインターとヒサコーボンバーを足して2で割ったような飛越というイメージだが、この表現で分かるのかな(笑)?
 これで今年の4勝目。昨年までの通算勝利の2倍の勝ち星を挙げ、ついに今村騎手も普通レベルの騎手まで成長したように思う。それに、ようやくお手馬に素晴らしい素質を持つ馬が現れ、前途は有望だ!

5R・勝利のコメント
 掛かって行っているし、竹柵でヒヤッとするところもありました。でも、よく障害を見て飛んでいるので大きなミスはありませんでした。これから力をつけていく馬です。

 3(日): 人馬ともに中山初参戦! フロムザストームに騎乗。期待されていた障害初戦の前走は惨敗したが、見限れない魅力の持ち主で今回も期待されていた。レースでは最初の1周はずっと最後方から進めていたが、2周目の向正面から徐々に進出。 最後の直線ではなかなか良い脚で伸びてきたが、レースの大勢が決まってからで反撃が遅すぎた。とは言え何とか入着を確保。もう少し飛越がマシになれば、平地力があるのでもっと走ってもいいはずだが。
 9(土): 昨年の京都HJ2着馬、フジノセイガイハに騎乗。休み明けの前走が惨敗でまだ本調子になっていないようで、ついて回るだけのレースとなった。人気以上に持ってこれたのは収穫だが。
 10(日): テイエムガッツオーに騎乗。飛越がマシになってきており、ペースもゆったりだったため、まずまず追走できていたが最後は伸び切れず7着に敗れた。スタミナ強化が課題か。
 17(日): フロムザストームに騎乗。前走で入着を果たし、関西のペースについて行けるかがカギであったが、懸念どおり追走手一杯。結局着順としては6着だが、他馬の落馬もあり内容的には完敗であった。
 23(土): 中山大障害に騎乗。騎乗馬はフジノセイガイハ。もちろん自身初のG l 騎乗、チャンスは小さいが注目していた。 レースでは距離を考慮して最後方でスタミナを温存する作戦。2つの大障害も無事に飛越し、勝負どころで動こうとするも力不足で、最後はバテた馬を交わしただけの10着に終わった。 この経験が今後の騎手生活にプラスとなるはずで、再びこのレースに挑戦する時はこれを糧に上位を狙ってもらいたい。
 24(日): 6Rと9Rの2騎乗。6Rのテイエムガッツオーは後方追走から直線一気に追い込んだが8着までだった。そして今年ラスト騎乗は、20世紀最後の障害戦・三木HLPジャンプSのマンリーパースン。 前走で未勝利を快勝し、昇級初戦である。前走のレース内容から、スピードは断然で十分通用する実力はあるが、スタミナ面にやや不安を残し、距離の3900mを克服できるかの一点に焦点は集まった。 スターとはやや遅れ気味だったがダッシュ力の違いで先手を奪うと、2番手以降を10馬身以上引き離す単騎大逃げの形となった。序盤の飛越はこれまでのレースと同じく巧かったが、タスキに入ってきてからややスタミナが切れてきて、 飛越のフォームが崩れてきた。そして順まわりの最初の8号障害でバランスを崩し、後続に差を詰められて次の7号障害で3番手まで後退、さらに4号障害で大きくバランスを崩してずるずるとシンガリまで下がっていった。 最後は完全に一杯。大差負けに終わった。やはりこの馬には距離に限界があるようで、この距離は長すぎた。距離短縮で巻き返しを期すところだが、自分との闘い(折り合い)がやはりポイントとなろう。


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