○美並村キャンプ(平成11年11月13日,14日) 晴れ

一柳氏デザインのキャンプのパンフレット
参加者総勢30名以上での記念写真(粥川横の路頭前にて)

 今年の岐阜野尻湖友の会の行事は、なぜか晴れていい天気続き。今回のキャンプも巡検もからっと晴れていい日になりました。
 今回の集合場所は美並村の苅安駅前。夏の終わりの大雨で東海北陸道の途中が大崩落し、このときも美濃〜美並インター間は不通。そんなこともあって、国道156号線はもう大変。美濃インターとつながっているところから市街地を抜けるのに15分〜20分のはずが1時間以上かかる有様。冬のスキーシーズンを思わせる大渋滞でした。この渋滞に引っかかっただれかさんは少々遅刻して到着。
 全員そろったところで、急いで美山鍾乳洞へ。しかし、ここへの到着へも遅刻。係りの方は別のお客さんを迎えに行ってしまったということでかなり待つことに・・・。とりあえず、待つこと数十分。担当の方が現れて、洞窟探検へいざ出陣!
 洞窟探検
 今回案内していただいた鍾乳洞は、そんじょそこらの鍾乳洞とはちょっと違うのです。それは、洞窟の中に電気がない!つまり、昔は普通に営業していたのですが一度営業を取りやめて、いまでは“洞窟探検”として営業形態を変えてやっているものなのです。洞窟に入る人は懐中電灯を借りて入ります。当然真っ暗で、足元すらもしっかり見えません。中にはコウモリが住み着いており、目の前数十センチのところで観察できます。また、赤ん坊の手くらいの大きさのクモがいたりで、スリル満点です。
 元々鍾乳洞として営業していたので、中には立派な鍾乳石が見られました。天井からつららのように垂れ下がっている大きなものものがいくつかある場所や、左の写真のように、細いけれど数多く見られるところなど様々です。また、右の写真のような大人の太ももくらいの大きさの石筍(せきじゅん)も観察できました。鍾乳石と石筍がくっついてできた石柱も、小さいものではありますがいくつか観察できました。鍾乳洞内をよ〜く観察していると、ウミユリの化石がいくつか発見できました。
 参加者が夢中になった洞窟探検もあっというまに終了し、担当の方にお礼を言ったあと、本日のキャンプ地、「フォレストパーク373」へ移動しました。到着してみんなが驚いたのが、一つ一つのロッジ名が女性名だったこと。きっとすやすやねむれることでしょう・・・ということで、休む間もなく石器づくりへ。

 
  石器づくり

 まずは石器とは何か、どんな種類のものがあるのかのお話を聞きました。現在つかっている刃物を考えるだけでも、ナイフ、包丁、皮むき、・・・とたくさんでてきますよね。それを石で作るということで、参加者も大はりきりです。
 そして先月取ってきた下呂石の説明。石器を作るには黒曜石という石のような、ガラス質の石が適しています。その石を細かく加工して形を整えると出来上がりになります。
 
 石器づくりの最初は、母岩といわれる大きな石をたたいて、剥片(はくへん)を取ることから始めます。
 右の人がやっているように、ひざの上にタオルのようなものをひき、母岩をしっかり固定し、たたき石ではしをたたきます。このとき、母岩の向きやたたく方向によって、とれる剥片(はくへん)の大きさや形が違います。石の目をみて、たたく方向を考えて作業しましょう。

 これが母岩から取れた剥片(はくへん)です。切れ味はとても鋭く、このままでも十分石器として使えます。しかし、どの面もしっかり切れますので、持つところを作る必要があります。この剥片は、平らな面の上側をたたくと下側がはがれとれる性質があります。この性質を利用して、大きさを調整したり形を整えたりします。鋭い刃をつぶすには、その部分を押しつぶすようにしてやると、らくにできます。
 参加者は、理屈がわかり一所懸命に作業にかかりました。しかし、なかなかうまくいきませんでした。まず、そんなに簡単に剥片ができない!できても、小さなかけら程度のもので、ナイフとして役に立たない!できたと思うと、加工していく内に刃がかけてしまって切れない!これではナイフにならない!そんな連続でした。
 でも、一時間くらい努力して、何とか自分のナイフ(マイナイフ)を作ることができました。そのナイフでリンゴの皮むきに挑戦!こちらも悪戦苦闘の連続・・・。

 もし、今回の参加者がこのまま石器時代にタイムトリップしたら、きっと全員苦労することでしょう・・・。ひょっとしたら、全滅?
  夕食はバーベキュー

 今回の夕食はバーベキュー!みんなで炭火を囲んでの食事は盛り上がる盛り上がる・・・。小中学生はがつがつ食べる食べる・・・。女性陣も負けずにわいわいがやがや、むしゃむしゃ、ぱくぱく・・・。楽しいひとときでした。
 でも、ちょっと待てよ?と気づいたのは、あるお方。買い出し部隊がまだ帰ってきていないではないか!でもご心配なく。その人たちの分はとりあえず残しておきました。
   夜は星空観察会
 夕食が終わる頃、夜空には美しい星たちがいっぱいでした。東の空には木星や土星、真上より少々西の方に夏の大三角が見られました。
 なんでも、日本の真ん真ん中の地で星空観察会があるということなので、その会に便乗しようと、まずは子どもたちだけ車で移動。ちょっと小高い山の上まで登って、望遠鏡で木星、土星、月を見せていただきました。これらの星を初めてみた子も多く、感動的な声を漏らしていました。星空全体にわたって星座や惑星の位置を確認した後、しし座流星群の話をしてその場を離れました。ロッジに戻っても、星空の美しさは忘れられず、再び会員が持ってきた望遠鏡で星を見る参加者もいました。朝方には「明けの明星」といわれる金星も見ることができました。
 都会で生活していると目にすることができない多くの星たち。今回は天気にも恵まれ、貴重な体験をすることができたと、感想を述べる参加者が多くいました。
   夜は楽しく

 夕食、星空観察に続いて、仲間の輪(和でもよし)を広める会を持ちました。もう、みんな元気元気。子どもはジュースで、大人はスペシャルドリンクで、乾杯!あとは、みんなのおしゃべりが延々と続きました。
 ここで張り切りすぎた老若男女は、次の日の目覚めもハイキングもつらかったことはいうまでもありません・・・。
 2日目 は瓢ヶ岳(ふくべがたけ)登頂隊健闘ぶりが・・・
 全員、お目覚めもよく(?)快調な2日目の出だしです。予定より遅れること○十分。おにぎり作りに少々時間がかかったかな?もっと参加者みんな働こうよ!
 ということで、とりあえず山登りに出発です。この登山には、地元の「ササユリの会」の3名の方も参加していただけました。
 瓢ヶ岳(ふくべがたけ1162m)登頂隊は写真のような重装備に身を包み、駐車場にした星宮神社を歩き出しました。登山途中で、流紋岩の大きな岩が積んであるところがあり、そこで体調不良の隊長から面谷(おもだに)流紋岩の説明を聞きました。[写真はそのときのもの]
 星宮神社から2kmほど歩いたところで粥川の河原へ降りられるところへ到着。ここで第一回化石採集を行いました。しかし、この河原では、石灰岩らしきものはほんの数個見つかっただけで、ほとんどの参加者は化石発見はできませんでした。
 そこで、この河原からほんの少し上ったところへ移動し、これまた9月の大雨で山の斜面が崩れたところで、第二回化石採集を行いました。
   
 ここには、崩れた土砂の中に石灰岩が多く見られ、実にたくさんの化石が見つかりました。その多くは、白く丸いうずまき(正しくは同心円状)に見えるフズリナでした。しかし、探せばいろいろあるもので、巻き貝の化石もいくつか見つかりました。大きな石に入っていて、取り出せないものもあって、残念がる参加者の声もありました。
 この写真は、ササユリの会の古田さんが撮影されたものです。白く見えるものや丸く見えるものがフズリナ。写真中央左下あたりの三角形が倒れたように見えるものが巻き貝の化石です。フズリナと巻き貝が同じ時代に生きていたことが予想できますね。
   
 今回は、一日目の洞窟探検といい化石採集といい、参加者全員が一つのことにとても熱心で、腹が減ろうが時間がたとうが、とにかく「見る」「さがす」ことを楽しめたと思います。洞窟の案内をしてくださった方やササユリの会のみなさんは、その目の輝きに驚いておられました。しかし、それが裏目に出て、2日目の瓢ヶ岳登山隊は、残念なことに登頂はでききず、途中の滝までしか進めませんでした。
 けれども、参加者全員、洞窟、石器、星、化石・・・と、心に残る活動や発見があり、とても有意義な2日間であったと思います。

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