お薦め温泉情報サイト<ボツ!>


この原稿は雑誌「インターネット・マガジン」1997年12月号のために書きながら、掲載スペースその他の都合でボツになったものです。実際の掲載誌には、この中のほんの一部が編集されて使われましたが、僕としては折角これだけ書いたのに日の目を見ずにハードディスクのゴミになってしまうのも哀しいので、ここでお蔵出ししてしまいます。よろしかったら温泉旅行などの参考にしてください。


 「秋だ、旅だ、温泉だ!」と言うのは、かなり日本人としては普遍的な発想だと思う。もちろん「秋だ、スポーツだ、ラクロスだ!」とか、「秋だ、芸術だ、爆発だ!」なんて人もいるだろうけれど、とりあえず秋はやっぱり温泉、と言うのは日本人のDNAに組み込まれているのでは、と思われるくらいポピュラーだ。
 で、温泉ったって日本中至る所にあるけど、一体どこへ行こうかね、と思ってマウスをクリックすると、なんと温泉情報はインターネットにあふれているではないか。世の中そんなに温泉好きが多いのか、いったいこりゃ誰が見るんだよ、って感じでサーチエンジンからは温泉関連のホームページが続々と検索されてしまう。えーい、面倒だな、と思うあなたのために、この幹事クリタが、温泉関連ホームページのお薦めをズバっと紹介してまいりましょう。

 まず定番と言われるサイトからいこう。なんたってお薦めは『SPA Collection!』。総合系温泉サイトとして定評のあるところだ。日本全国の温泉地の場所や交通手段・観光スポットなどの情報を満載しているのはもちろん、温泉ライフの楽しみ方から人気投票ランキングまである。ちなみに去年の1位は乳頭温泉郷、2位は白骨温泉だ。秘湯白濁系温泉は相変わらず人気が高いようだ。
 それからもうひとつ超有名サイトが『全国温泉案内Oh!YU』だ。こちらも全国の温泉を紹介している上に、ホームページを持っている旅館に直接リンクしているから便利。ただ、タイトルのアニメ風イラストは何とかして欲しい。あれは一般人はひくぞ。ともあれ、まずはこのあたりのサイトであたりをつけるというのが手堅いやり方だ。

 なんでもかんでも系ではなく、ちょっとこだわり系のサイトもある。まず『温泉と宿』。ここで紹介されている宿はわずか60軒。厳選されたお墨付きのところばかりだ。こういう場合、誰のお墨付きだ、ってことが問題になるんだけど、旅行作家などが選んでいるそうだから、一応信頼性は高い、と、思われる。僕自身行ってお薦めの吉野温泉元湯などが選ばれているので、多分信頼していいんじゃないかな。
 それから『野湯&秘湯とっておき情報』も良い。「日本一の温泉カメラマン」と自称する野口悦男氏が選んだ野趣あふれる温泉が紹介されている。このサイトの見所は、何と言っても写真!さすがプロの仕事だ。写真を見ているだけでも温泉気分が盛り上がる。綺麗なお姉ちゃんと一緒に秘湯に行きたい。うーん、つくづく行きたい!妻子持ちには目の毒のサイトかも知れない。

 せっかくインターネットなんだから、選ぶだけじゃなくて、予約までオンラインでできないか、と思うのも無理はない。そういう人には『全国の宿つつうらうら「やどかり」』がいい。キャラクターの温泉やどかりちゃんが全国観光地の旅館・ホテルを案内してくれる。ホームページをもっている宿には直接リンクして、オンラインで予約する(全部じゃないけど)。ちょっと俺って進んでいるかも、なんて気になれるほどでもないけど、パソコン素人の彼女には自慢できるかも。
 「やどかり」に限らず全国各地でホームページを開いて予約を受け付けている温泉地や温泉旅館がある。その中の白眉が湯原温泉「プチホテルゆばらリゾート」の『温泉と宿と露天風呂!おもしろネット626!』。ただ宣伝のために作ったというのではなく、とにかく読んでもらいたい、エンターテイメントにしたい、という思いが感じられる熱いサイトだ。「露天風呂・今日の入浴風景」なんてものを企画する発想も好きだし、きっと旅行代理店から圧力がかかったんじゃないか、と心配になる「かしこい宿の予約方法」など、さすが人気ホームページだけのことはある面白いコンテンツが満載だ。

 さて、実はここまでのサイトは、まあちょくちょく雑誌で紹介されているような有名どころで、きっと温泉好きでインターネット好きの読者なら、少なくとも幾つかは知っていることだろう。確かに定番だけあって、当たりはずれのない無難な線だ。だが本当にインターネットで面白いのは、実は個人の趣味丸だしのサイトに限る。温泉の好みなんて、なにを良しとするかは人それぞれ。ならば、そこんところを独断と偏見で評価しちゃっている温泉フリークたちのサイトを覗いてみるのも一興である。もちろん、個人の限界はある。どうしたって予算も地域も限られるから、必ずしもあなたのニーズに合致するとは限らないし、時期的にも最新の情報ばかりとはいかない。しかし、何と言っても自腹を切って浸かった温泉に対する生の声は熱い。思いがたぎっている。ほんと、業の深い人って、どんな世界にもいるもんですよ。

 まずは『温泉ゆ情報〜全国の温泉・山梨の温泉〜』からいこう。信玄の隠し湯が点在する山梨を中心に温泉情報を集めているが、それだけにとどまらず、同じ志を持つ温泉好きからの情報を掲載しているのがいい。インターネットを使えば個人でも居ながらにしてこれだけの情報を集められるのだ。
 同様のページに『かちかち温泉情報』がある。詳細な温泉データをホームページで公募していて、そのデータを都道府県別に見ることができる。行きたい地域の温泉を選ぶときにかなり参考になるだろう。「温泉いろは」といううんちくページも読み物としては面白い。
 ユニークなのが『出張旅情』。名古屋に住むサラリーマンが出張で集めた全国各地の温泉情報を掲載している。「出張」というサラリーマンにつきもののシチュエーションから温泉を評価するというのは新しいが、いまいち突っ込みが足りないのが惜しい。ただ「大穴データベース」と銘打っているあたりに、作者の指向性が感じられて好ましい。穴場度ってのは、温泉好きには欠かせない尺度だからね。
 『こだわり温泉博物館』は、信州の温泉情報を掲載している。「ガイドブックに載っていない信州の温泉事情」とあるように、かなりこだわりが感じられる評価が楽しい。掲示板で温泉情報を質問すれば、丁寧に答えてくれるようなので、信州方面に旅行してみたいなら、ちょっと掲示板で聞いてみるのもいいかも。また「温泉うんちくクイズ」も、温泉好きならチャレンジしてみたくなる企画だ。ちなみに僕は30問中20問正解。70%以上正解したら「温泉通」とのことだったので、わずかに及ばなかった。無念。
 『新潟温泉玉子』は、新潟の温泉施設を紹介しているが、とにかく情報のきめ細かさに脱帽する。素晴らしいと思うのは、各施設の浴場の間取り図。パンフレットにだって載ってないだろうに。いや、凄いこだわりだ。作者は温泉に浸かりながら、あたりをキョロキョロ見回しているんだろうか。
 『Yuuの温泉情報』は、東北地方の温泉情報を提供している。個人のホームページにしてはデザインが綺麗でプロっぽい。写真をふんだんに使っている割には軽いのもいい。

 温泉は本州ばかりではない。北海道には『北海道いで湯調査隊』がある。アクティブな5人の隊員たちが足で集めた温泉情報は、ツーリング好きの人には最適かも。北海道は日本一温泉の数が多いということだから、ますます頑張って情報を充実させて欲しい。
 九州地方の人には『恋人たちの九州温泉旅行』はどうだろう。温泉は恋人や夫婦など異性で行くと別々に入らなくてはならないので寂しい、という観点から、家族風呂があるか、ファミリー向けの宿かどうか、という観点からお薦めを決めているところが新鮮。
 個人の温泉関連ホームぺージで人気ナンバー1(?)は、『yoshie's page』だろう。パソコン教室のインストラクターをしているという福岡の美人妻yosieさんの温泉紀行が中心。さすが温泉好きだけあって、地元九州にとどまらず、関西・関東 ・東北へも足を伸ばしている。データとしては物足りないところもあるが、女性の視点の温泉評はインターネットでは少ないので貴重な情報である。
 『SATOKOのお薦めコーナー<温泉編>』は、香川県(高松県じゃないぞ)を中心にした四国の温泉情報。ちょっと重いページが多いのは難点だが、地図までついていて、しっかりとした情報提供がされている。

 以上、こだわりがあって、情報もしっかりしているサイトをいくつか紹介した。温泉フリークたちの熱い温泉心(おんせんごころ=僕の造語)は、尽きることがない。2000以上ある日本の温泉を完全制覇することは極めて困難なだけに、温泉フリークは今日もバイクで、クルマで、新幹線で日本中を駆けめぐる。インターネットがこれからその手引きとなることは間違いない。
 最後に僕の『幹事クリタのお薦め温泉』を紹介して終わろう。中部地方を中心に北海道から沖縄まで、風呂良し、味良し、コストパフォーマンス良しの旅館・ホテルを紹介している。必見?いや、うーん、暇があったら、でいいです。


幹事クリタのお薦め温泉へ

1997年11月前半のコーカイ日誌へ