cinema eye
鑑賞日92/5/14(ビデオ)
久しぶりにビデオを借りて映画を見ました。リドリー・スコット監督のこの『テルマ&ルイーズ』は公開された時から見たかった作品で、女性版「ボニーとクライド」という触れ込みでしたから、期待は大でした。
で、感想ですが、前半はちょっとかったるいですね。旦那に不満たらたらの主婦テルマは、日本にもよくいる主婦の典型みたいで、なんだか見ていていらいらするし、こいつがバカだから、ルイーズまでこんな目に遭うんじゃん、と腹立たしくさえあります。
ところが後半、このテルマがぐんぐん成長していくんですね。ふっきれた感じの二人の道行きは実に痛快です。タンクローリーを吹っ飛ばすあたりになると、もう「いけいけぇ!」って感じで、最後まで一気に盛り上がっていきます。ちょっと切ないラストなのにも関わらず、爽やかな感動を残してくれるあたりは、ベテラン監督の腕の冴えでしょう。
全体にケレン味にあふれた演出で、実にかっこいいシーンがたくさんありましたし、映像がずっと逆光で撮っていて、コントラストの強い調子なのが、二人の心象風景を表しているようでまた印象的です。
この映画、もちろんセクシャルハラスメントに対する女性の抵抗と解放をテーマにした映画で、そういう観点から論じるに十分足る出来だと思いますが、1つの娯楽作品としても文句なく楽しめる仕上がりです。もしセクハラ映画だから、と敬遠している向きがあったら、そういう先入観を捨てて鑑賞されることをお勧めしますよ(とは言え、やっぱり少しは考えて見て欲しいけど)。
今回の木戸銭…1300円