cinema eye
鑑賞日92/3/27(ビデオ)
1990年の名作と評価の高い「少年時代」をようやくビデオで見ました。
物語はすでにご存知の方も多いと思いますが、昭和19年から20年にかけて 東京から富山へ疎開した少年の、地元の少年達との友情やら喧嘩やらを通して描く少年心理の物語です。
僕は先入観で、この映画はきっとクサイ少年の友情物語だろうと思っていたのですが、意外やもっと深いドラマでした。富山のがき大将、武は疎開してきた少年伸二に対し、二人でいる時は優しく接するのに、仲間といるときは高圧的な態度でいじめる。微妙な少年の二面性。かねてから武をこころよく思っていなかった別のグループが、そこをうまく突いて伸二を仲間に取り込み、武をリーダーの座から追いやる。伸二という異分子を巡って表面化していく対立と抗争。少年だから純粋だとか言うことはなく、彼らも大人と同じように人間としての弱さもずるさも持った存在であることを、映画は淡々と描きます。
最後の最後で井上陽水のヒット曲が流れ、一応感動のエンディングにはなりますが、これがなければなかなか苦い映画です。僕個人としては、もっと苦いラストの方が良かったな、と思いましたがやはり、こういうプロジェクトでは、最後に救いがいるのでしょうね。
今回の木戸銭…900円