cinema eye

『ショーシャンクの空に』

鑑賞日96/2/29(ビデオ)
 昨年キネマ旬報の1位に選ばれた作品だけに、大いに期待してビデオを見たのですが、期待にたがわぬ素晴らしい作品でした。

 ストーリーは若き銀行家のアンディ(ティム・ロビンス)が、妻と愛人を殺害したとされてショーシャンク刑務所に入るところから始まります。そこでやはり終身刑で収容されている囚人レッド(モーガン・フリーマン)と知り合い、2人の交流を中心に刑務所生活が描かれます。

 一度は希望を失ったかにみえた主人公が、そこから一気に奇跡的な逆転の一手に出るところはなかなか痛快で胸がすく思いがします。決してきれい事ばかりではあろう筈がない刑務所の中で、それでも希望を失わずに必死で生きれば救われるというメッセージは、どうしても臭く観念的になりがちですが、ぎりぎりのところでそうならないで大人の観客も納得させられる演出の見事さに拍手です。

 物語はレッドの視点から描かれ、彼のモノローグで進行します。淡々と事実を綴っていく物静かな展開ですが、その静かさが逆に観る者を惹きつけていきます。映画は2時間半ありますが、中だるみもせず、長いとは感じさせません。途中には結構強烈なシーンもあるのですが、ラストは後味良く終わっているので、見終わってイヤな感じもしません。昨年の1位にふさわしい作品だと思いました。

今回の木戸銭…1700円