cinema eye
鑑賞日95/1/21(ビデオ)
ケビン・コスナーとクリント・イーストウッドの豪華共演で話題になったロード・ムービー。とは言えイーストウッドは監督に力を注いだのか、単に出てくるだけで、なんら意味のある行動はせず解説役をしているだけです。それとケビン・コスナーが脱獄して子どもを誘拐するという悪役を演じたということでも話題を呼びました。
ただ基本的には悪役と言えども従来のケビン・コスナー路線です。時代設定がケネディ暗殺前の60年代ということもありますが、つまりは「古き良きアメリカ」の伝統を守る父と息子の世界です。この場合は、誘拐した子どもとの疑似父子ですが。ケビン・コスナーがここまでこうした父子関係にこだわるのは理由はわかりませんが、トラディショナルなアメリカ人がこういう映画を見てホッとするんだろうな、というのはうかがえます。彼は現代のジョン・ウェインなのかもしれません。
それにしてもケビン・コスナーの行動を正当化しようとするためか他の登場人物が子役をのぞいてあまりに魅力がありません。特に彼を追うイーストウッドに精彩がないために、のんびりした逃避行となってしまい、追いつ追われつの緊張感が皆無。それだけロードムービー色が強くなってしまいましたが、監督の狙いはそのへんにあったのでしょうかね。ちょっと疑問です。2時間半ありますが、ちょっと長いな、と感じてしまいます。
それと確かにケビン・コスナーの悪役というのは悪くはないですが、基本的にはいい人なので、いまいち食い足りない印象も残ります。できたらもっと本格的な凄みのある悪役も見てみたいですね。
そうそう、映画の中のイーストウッド署長はこの事件の後で、多分ケネディ大統領がやってきて、その警備をするのでしょうが、それが失敗に終わって『ザ・シークレット・サービス』へとつながるのでは、と思って笑ってしまいました。
今回の木戸銭…1300円