cinema eye

『マッドシティ』

鑑賞日98/5/21(劇場)
 ジョン・トラボルタとダスティン・ホフマンが、がっちり組んだ社会派ドラマです。博物館の警備員をリストラされたサム(ジョン・トラボルタ)は、銃とダイナマイトを持って館長に再度掛け合いに行く。しかし、頭に来て発砲したら、それがたまたまもう一人の警備員に命中。サムは仕方なく見学に来ていた子どもたちを人質に博物館に立てこもることになってします。テレビレポーターのマックス(ダスティン・ホフマン)は、たまたま館長に取材に来ていて人質になるが、これは特ダネだとばかりに自分に都合の良いように、そしてサムの刑が軽くなるようにサムを誘導。しかし、他のマスコミや警察・FBIの思惑もあって、事件はどんどん変質していく。

 と言うことで、受けることだけを狙うマスコミの狂気が、単なる頭の弱い警備員の運命をどんどん変えていってしまう、というマスコミ批判の映画です。右往左往するだけのサムはもちろん、かなり計算高くて頭の切れるマックスさえ、マスコミの生み出す「世論」の気まぐれさに翻弄されます。ラストシーンで一気に映画のテーマが声高に主張されますが、そんなシーンがなくても十分にテーマは感じ取れる映画です。

 ただ難点を言えば、テーマ性ばかりが強烈に出過ぎていて、エンターテイメント性がちょっと足りないかな、という印象を受けました。せっかくのキャスティングなのにもったいない、なんて。演出もちょっと途中でだれるところがあるので、冗長な感じを受けます。悪くはないのですが、特別ご贔屓にしたいような作品でもありません

今回の木戸銭…1000円