cinema eye
鑑賞日96/10/6(ビデオ)
教師というのは、いつの時代も一種憧れの職業です。何と言っても若い次代の人間を育てるという使命感・達成感・貢献度抜群。特に自分の仕事がくだらない、と感じるようになる社会人になってからの方が、憧れる職業かもしれないですね。で、映画の世界でもちょくちょく教師もののヒューマンドラマが作られますが、この『陽のあたる教室』も、リチャード・ドレイファス主演の教師ものドラマです。
この手の作品には大体2通りあって、短期間に成果を挙げる「達成型」と、長年にわたる教師生活描く「人生型」とに分類されますが、これは30年にわたる音楽教師の半生を描いた典型的な人生型です。
ストーリーは、音楽バンドをやっていたホランドが、いやいや引き受けた音楽教師になった1965年から始まります。まだまだ強いアメリカの時代ですが、ベトナム戦争が始まり、アメリカも安穏と過ごしてはいられない頃です。ホランドは最初典型的なデモシカ教師だったのですが、子供たちを通じて次第に教育する喜びに目覚めていきます。そして彼に聴覚障害者の子供が生まれ、ホランドは仕事とともに父親としても目覚めていかなければならなくなります。映画はホランドが教師として、また父親として教育することで、逆に学び成長していく課程を30年にわたりアメリカの社会・文化・風俗の移り変わりとともに描いていきます。
比較的淡々と進んでいく映画で、小さなドラマはいくつもありますが、基本的には長い時間の中でホランドの変化を追っていきます。もっともそれも劇的に変わるというわけではなく、少しずつ変わっていくというだけですから、あまりドラマチックではありません。退屈はしない作品ですが、さりとて大感動のヒューマンドラマというには盛り上がりが乏しい気がします。もっともあまり臭いのも勘弁願いたいので、そう言う意味では大人のドラマかも知れません。ちょっと出てくる人物が皆いい人ばかりで、そのあたり食い足りない気がしますが。全体的に可もなし不可もなし、いいんだけどもう一歩、という印象でした。
今回の木戸銭…1100円