cinema eye

『グリーンマイル』

鑑賞日01/8/6(ビデオ)
 スティーブン・キング原作の刑務所ものと言えば名作『ショーシャンクの空に』がすぐに思い出されますが、この『グリーンマイル』は、監督は同じくフランク・ダラボンながらまたちょっと趣が違ったヒューマン・ファンタジー・ドラマです。主演のトム・ハンクスの演技が冴えています。

 大恐慌時代のアメリカ南部の刑務所。ポール(トム・ハンクス)が主任を務める死刑囚舎房に双子の姉妹を殺害した死刑囚ジョン・コフィーがやってくる。彼は一見凶暴そうに見える大男だが、実は子どものようの純真さを持っていた。ある時コフィーは、ポールの持病を手を当てるだけで完治させてしまった。彼は奇跡を行う超能力者だった・・・。

 と言うことで、ストーリーは年老いたポールの口から、その奇跡の男との出会いと死までを綴っていきます。1935年、大恐慌後の混沌としたアメリカ社会を背景に生と死を一番間近に、そしてリアルに見据える死刑囚と看守たち。単なる死刑制度への疑問を提示するだけではなく、生きることの意味すら語りかけてくる骨太な作品です。

 ただし、それが社会派映画然として提示されるわけではありません。あくまでも娯楽映画としての立場を守り、優しく、そして易しく物語は進行していきます。ハードな中身をソフトに包んでそっと手渡されたような、逆に言えば羊の皮を被った狼のような二重構造を感じさせる映画です。

 『ショーシャンクの空に』ほどのドラマ性は感じさせませんが、さすが手練れの技と言って良い作品です。

今回の木戸銭…1400円