cinema eye

『御法度』

鑑賞日01/5/5(ビデオ)
 大島渚が新撰組を舞台に男の狂気と愛憎劇を描いた13年振りの新作。松田優作の忘れ形見・松田龍平の魅力が画面に満ちています。

 幕末の京都。新撰組に加納惣三郎(松田龍平)というひとりの美少年が入隊してきます。ほどなく同期入隊の田代彪蔵(浅野忠信)との関係を噂され、新撰組内に波紋が広がっていく、といういかにも大島渚、いかにも欧米人受けするオリエンタル・エキゾチック趣味な映画です。

 キャストが面白い作品です。松田、浅野の他に、総長・近藤勇を崔洋一、副長・土方歳三をビートたけし、沖田総司を武田真治。さらにトミーズ雅、坂上二郎、伊武雅刀など意外性のある役者が新撰組の隊士を演じています。

 ビートたけしはとても抑えた演技を見せます。あくまでも狂言回し役に徹していますが、たけしならではの冷静さと残酷さがいかにも土方らしいし、また武田真治の沖田も、美しさと脆さと無邪気さが良く表現されています。

 浅野忠信も味わいがありました。こうした達者な役者に囲まれて、松田龍平が何もせずとも大根ならではの輝きを見せます。天性のスターという印象でした。

 面白いかと言われると、日本趣味が高じすぎていて、日本人には実はそれほど面白い映画ではないと思うのですが、個性的な役者の競演だけは見応えがありました。

今回の木戸銭…1000円