cinema eye
鑑賞日01/9/28(ビデオ)
国会議員からクレームがついてR-15指定になった曰く付きの作品。しかし、そんな過激な問題作ではありません。むしろ若い世代にこそ見てもらいたい青春ドラマだと思います。
中学3年の学級の生徒に殺し合いを強いる新法“BR法”。これに選ばれた生徒たちが無人島へ連行された。最後のひとりになる以外に生き残れない苛酷な条件の下、秋也(藤原竜也)と典子(前田亜季)は助け合いながら逃げ道を探す。
ストーリー自体、かなり荒唐無稽な上、深作監督の演出がまたかなりカリカチュアされていてリアルさがありません。いかにも「お話」なのです。いくら銃を乱射しようとも、いくら血が噴き出そうとも、それはあくまでも記号に過ぎず、そこに本当の「痛み」はありません。大人が見たら「子供だまし」だと思うような脚本であり演出なのです。
あくまでもこの映画で描きたいのは、極限状態に追い込まれた若者が、どういう行動を取るか、それによって人生にとって大事なことは何かを考えることなのです。一見バイオレンスなアクション映画に見せていますが、実はこれは甘くせつない青春映画なのです。その深作欣二の狙いをきっちり理解して作品に深みを与えているビートたけしの演技もさすがだと思いました。
だから最初にも書きましたが、これは大人が見るような作品ではなく、中高生にこそ見てもらいたいのです。なのにR-15指定するなんて、全く国会議員という連中は何と世の中をわかっていないのでしょう。
今回の木戸銭…1000円