この春の連ドラは『リーガル・ハイ』という久々の傑作がありました。７月からの夏ドラマにも期待したいところですが、果たしてどうでしょうか？

　まず定番枠のフジ系月曜夜９時は『リッチマン、プアウーマン』。タイトル通りの設定のラブストーリー。主演のリッチマンに小栗旬、プアウーマンに石原さとみ。共演は相武紗季、井浦新ほか。小栗がＩＴ企業の社長で石原が就活中の女子大生ということで、なんだか早くも先が見えてしまったような気がするドラマです。アイブーが小栗をめぐって石原の恋敵になるようですが、よほど脚本が面白くないとこの企画ではコケそうな気がします。

　同じ月曜ならＴＢＳ系夜８時『浪花少年探偵団』の方が面白そうです。東野圭吾原作の人気シリーズをドラマ化。東野作品は外れが少ないし、脚本もベテランの吉田紀子（『Dr.コトー診療所』など）なので、手堅い感じがします。主演に多部未華子、共演に小池徹平、山本耕史、前田航基、前田旺志郎、濱田龍臣、斎藤由貴、段田安則、小日向文世、松坂慶子と大河ドラマっぽい俳優を多く起用しているのも良い感じです。

　東野圭吾はよほど人気があるのか、フジ系木曜夜１０時はそのものズバリ『東野圭吾ミステリーズ』。演出に河毛俊作、河野圭太らスターを並べ、豪華キャストのオムニバス。ナビゲーターに中井貴一。毎回の主人公に唐沢寿明、松下奈緒、観月ありさ、反町隆史、長澤まさみら。フジがお得意の形だけに、これも一定のクオリティが期待できます。

　１４年ぶりに再ドラマ化されるのがフジ系火曜夜１０時『ＧＴＯ』。反町隆史の大ヒット作が復活です。もちろんキャストは一新して、鬼塚にＡＫＩＲＡ、冬月あずさに瀧本美織、他に山本裕典、城田優、川口春奈、田山涼成、黒木瞳ほか。反町＆松嶋に比べると小粒感は否めません。それに時代の違いもあるし、果たして今さらＧＴＯが受けるのかどうか。

　マンガ原作で注目はテレ朝系金曜夜１１時１５分『ボーイズ・オン・ザ・ラン』。かつてスピリッツで連載されていた花沢健吾のヒット作です。主役のダメ男田西に丸山隆平、後輩でマドンナ役のちはるに南明奈、ジムのトレーナー花に平愛梨、ライバルの青山に斎藤工。他に上田竜也、浅田美代子、陣内孝則、佐藤江梨子ら。キャストもいまいち魅力に欠けるし、僕は原作が苦手だったので個人的には見たいとは思いませんが、好きな人は好きかも。

　同じく深夜ドラマでマンガ原作がフジ系土曜夜１１時１０分『主に泣いてます』。カルト的人気マンガ家東村アキコの作品。主役の美大生、啓介に中丸雄一、超絶美貌で男を狂わす泉に菜々緒。他に草刈正雄、安達祐実、風間トオルら。このキャストでマンガの独特の世界観がうまく実写ドラマで表現できるのかちょっと疑問です。よほど演出が面白くないと単なる原作レイプに終わってしまいます。

　もうひとつ深夜ドラマでＴＢＳ系火曜夜０時５５分『ドラゴン青年団』。東京に出現したドラゴンを倒すべく勇者の末裔が旅に出るというファンタジー。主演に安田章大、共演に蓮佛美沙子、遠藤要、本多力、ユースケ・サンタマリアら。深夜らしい力の抜けたゆるいドラマのようなので、こちらは意外と拾いものかも知れません。ところで先の『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『主に泣いてます』と３本並んでジャニーズドラマなんですが、ジャニーズの中堅は深夜のＢ級ドラマで主演というのが定番になりつつあるのでしょうか？

　ただゴールデンのＡ級（？）に戻ってもジャニーズドラマはありました。ＴＢＳ系木曜夜９時『ビギナーズ！』。全寮制の警察学校を舞台にした青春ドラマ。主役に藤ヶ谷大輔、北山宏光。共演に剛力彩芽。完全にジャニーズファン向けドラマなので、オジサンはとても見る気になれません。今クールはジャニーズの一線級はみな夏休みみたいですし。

　ちゃんとしたＡ級ドラマとしては、まずフジ系火曜夜９時は『息もできない夏』。孤独な少女と陰のある男の社会派ラブストーリーだそうです。なんだか夏らしくないテーマだけどタイトルは夏。主演に武井咲、江口洋介。共演に木村佳乃、中村蒼、要潤、浅田美代子、北大路欣也ら。重厚です。ちょっと重すぎて見る気になれませんが大丈夫でしょうか？

　ヒューマンドラマではフジ系日曜夜９時『ビューティフルレイン』。若年性アルツハイマーの父とその娘の親子愛を描くそうで、主演に豊川悦司、芦田愛菜。共演に三浦翔平、でんでん、安田顕、丘みつ子、蟹江敬三、中谷美紀ら。芦田愛菜のお得意の泣かせドラマという気がしますが、実年齢５０才のトヨエツが父親というのは年齢が離れすぎという気がします。あと１０才若ければ親子に見えますが。

　もうひとつヒューマン系でＴＢＳ系日曜夜９時『サマーレスキュー〜天空の診療所〜』。こちらはタイトルにサマーと入っているし涼しげな山だしで、ちゃんとした夏ドラマになりそうです。標高2000mの山岳診療所をモデルにした医療ドラマ。主演に向井理。共演に尾野真千子、小池栄子、本田望結、笹野高史、佐藤二朗、松重豊、時任三郎ら。向井を主演にして脇を実力派で揃えているし脚本も秦建日子。ロケも金がかかってそうなので、これはかなりフジの意気込みを感じます。

　お仕事ドラマとしては日テレ系水曜夜１０時『トッカン　特別国税徴収官』もあります。こちらは主演に井上真央、共演に北村有起哉、鈴木砂羽、木南晴香、美波、塩見三省、岩松了、若村麻由美ら。ちょっと地味なメンツですし、税金を徴収する側のドラマはこのご時世に共感を得にくいかも。

　お仕事ドラマの定番と言えば教師と警察。ＴＢＳ系金曜夜１０時は『黒の女教師』。生徒のことをなにより考える女性教師たちが法を犯してまで教育問題を解決していくという荒唐無稽な教師ドラマ。必殺シリーズの教師版かも。主演に榮倉奈々、共演に木村文乃、市川実日子、小林聡美ら。警察モノは日テレ系土曜夜９時『ゴーストママ捜査線〜僕とママの不思議な100日〜』。夏だけに幽霊警察官の登場です。主演に仲間由紀恵、共演に沢村一樹、志田未来、君野夢真、芹那、真田佑馬、塚地武雅、生瀬勝久ら。どちらも無茶な設定ですが、ツボにはまれば化けるかも。

　ざっと見渡してもあまり夏らしい爽やかなドラマが少ないのが残念です。視聴率が取れる大物俳優があまり出ていないので、気合の入った本格派ドラマも少ないし、どちらかと言えば穴狙いクールになるかも知れません。僕が個人的に初回チェックしようと思っているのは『浪花少年探偵団』『東野圭吾ミステリーズ』『ドラゴン青年団』『サマーレスキュー〜天空の診療所』あたりです。東野圭吾原作作品はやはり見逃せません。