幹事クリタのコーカイ日誌2003

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4月25日 ● 『朝陽の中で微笑んで』。

 ドラマ『動物のお医者さん』のキャスティングについてはそれほど文句はないのですが、一番違和感があるのがエンディングのテーマ曲。ハムテルとチョビが海辺で戯れる映像をバックに、『朝陽の中で微笑んで』がとてもしっとりとメロウに流れます。全然ドラマに合っていません。

 この曲は若い人はあまり知らないかも知れませんが、僕たち40代にしてみれば「荒井由実」時代のユーミンの隠れた(?)名曲としてつとに有名な歌です。ですからドラマのエンディングで最初に流れてきた時に「おおっ!」と思わず腰が浮くくらいにびっくりしました。

 ドラマに合ってないなぁ、という感想とは別に、「やっぱりユーミンは曲作りの天才だなぁ」という感動の方が大きかったですね。歌っているのは諫山実生で、もちろんユーミンよりも百倍くらい上手に歌っていますから、曲の素晴らしさが一層引き立っています。特に声の柔らかさと深さが曲にぴったりで、ついつい聞き惚れてしまいます。

 数多いる日本の「シンガーソングライター」の中でも、「シンガー」と「ソングライター」の才能の落差がナイアガラの滝よりも大きいのがユーミンです。中島みゆきにしろ、桑田佳祐にしろ、井上陽水、南こうせつ、さだまさし、松山千春、谷村新司、小田和正、山下達郎、みんなボーカルとしても一流です。他人に楽曲を提供しても、自分で歌った方が説得力があります。強いて言えば吉田拓郎がシンガーよりもソングライターとしての力量が上回っているかな、という気がするくらいですが、拓郎の世界は拓郎の歌唱が一番合うという気もします。

 ユーミンは違います。彼女の歌を他の歌手に表現させるとより一層歌が際立つ場合がほとんどです。古くはバンバンの『いちご白書をもう一度』やハイファイセットの『冷たい雨』『卒業写真』(『朝陽の中で微笑んで』もハイファイセットは歌っていたと思います)、その後の松田聖子の一連の楽曲にしても、ユーミン自身が歌ってもそれほど魅力的ではありません。

 手塚治虫はずっと「絵が下手だ」と思い悩んでいたそうです。物語を作ることなら誰にも負けない、アイデアはいくらでも出てくる、ただそれを表現する絵がダメだと思っていたという話を聞くにつれ、ユーミンはどう思っているのだろうかと想像してしまいます。表現者としては手塚同様に悩んでいるのか、それともそこは突き抜けてしまったのか。もっとも僕は手塚の絵もユーミンのボーカルも味があって嫌いではないんですけどね。


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