リモートコントロールダンディ ヒューマン
◆ゲーム概要 99/07/22 PS ACT
 時は1999年。人類は謎の敵の脅威にさらされていた。身長50メートルの巨大な怪ロボットが世界各地の襲撃を始めたのだ。しかしミサイルも、レーザーも、人類の持つあらゆる兵器は無力であった。
 そんなある日、世界一の財力を誇る王座財閥の御曹司である王座守は父より誕生日プレゼントとして一つのリモコンを渡される。それは王座財閥が総力を結集して開発した巨大ロボットヴォーダンを操縦するためのリモコンであった。彼は父の命に従い日本の地方都市鶏野に赴き、鶏野防衛隊のオーナーとして怪ロボットと戦う事になるのであった。

 身長50メートル体重5,000トンの巨大ロボットで悪と戦うロボット操縦アクションゲーム。ゲームは一人用のストーリーモードと二名のプレイヤーが操作するロボット同士の対戦モードが用意されており、ストーリーモードはロボットが出動するまでの状況を説明するストーリーパートとロボットを実際に操作するアクションパートで構成されている。

ヒューマンのHP
・5段階評価

ゲーム性
★★★★★

ストーリー性
★☆☆☆☆

キャラクター性
★★☆☆☆

快適性
★★☆☆☆


お気に入り度
★★★☆☆


・やりこみ度
 1回クリア。
◆コメント
●システムについて
 このゲームの一番の売りはリモコンによる巨大ロボットの操縦でしょう。金田正太郎少年が鉄人28号を操るように、プレイヤーはロボットを自由自在に操る事ができるのです。フルポリゴンで描写されたロボット戦闘は常に守少年の視点から描かれ、デュアルショックによる振動も併せてロボットの巨大感と重量感を十二分に演出しています。
 ロボットの操縦機の形状はプレイステーションのコントローラーと同一のボタン配置になっていて、R1ボタンを押すと右足前進、L1ボタンを押すと左足前進といった感じでそれぞれのボタンがロボットの四肢の動きに対応しており、ロボットを前に歩かせるといった単純な動作をするだけでもR1とL1を交互に押すといった感じで複数のボタンを組み合わせる必要があります。しかしこの複雑な操作方法は、ロボット操縦という行為にラジコンを操縦するかのようなリアルさを感じさせる事に成功しており、操縦方法をマスターしてシャトルパンチや大車輪キック、五千トンパンチといった必殺技を自由に使いこなせるようになった時の満足感はかなりのものでした。

 ゲーム中でプレイヤーがこなす事になるミッションは最初はロボットの操縦方法を把握するための訓練が中心で、全くのロボット初心者であるプレイヤーは主人公である守少年と同様に徐々に操縦方法に慣れる事ができます。中盤以降の実働ミッションは怪ロボットの撃退だけではなく暴走車両の破壊、ヘリコプターの撃墜、人命救助、映画撮影、ビル解体などバラエティに富んでいますので難易度は高いものの非常にやり応えがありました。ただ、ミッション失敗時にすぐに再挑戦できるのはいいのですが状況説明のデモをスキップする事ができないのはマイナス評価ですね。
 ちなみにミッションを終了した時に鶏野警備隊に入ってくる報酬は怪ロボットが壊した分も含めた町の被害を差し引いたものなので、ロボットで街を破壊してストレスを解消したいという人は逆にストレスが溜まる事になるかもしれません(苦笑)

●ストーリーについて
 このゲームの主人公である王座守君ですが、彼は父親からヴォーダンをいきなり託されて「戦え」と言われたから怪ロボットと戦っているだけで、彼自身にロボットと戦う意思があったわけではありません。性格的な面から見ても良く言えばクール、悪く言えば妙に冷めた性格で、大金持ちの御曹司ですからハングリー精神も皆無というロボットアニメの主人公としてはかなり珍しいタイプです。エヴァンゲリオンやパトレイバーのようにあえてパターンを外した設定で作品を成立させているロボットアニメだって数多く有りますからパターン外し自体は別に構わないのですが、このゲームの場合は主人公の設定が変なだけでストーリーそのものは中途半端に正統派ロボットアニメのパターンを踏襲しているのでプレイしていて主人公に全然感情移入ができませんでした。主人公を「父の形見のロボットで敵を討つんだ!」といった感じのお約束な熱血キャラにするだけで感情移入度が大分変わってくると思うんですが……

 シナリオの方もそれまで学校に通ってる描写が全くなかったのに学校を防衛するシナリオになったらいきなり登校するようになったり、いきなり登場したクラスメートの家が地上げ屋に嫌がらせされてるのを見て地上げ屋のビルを破壊するかどうかの選択を迫られたりといった感じでかなりいきあたりばったりな印象を受けました。ラストの方は無理やり話を感動的に盛り上げようとしているのですが、ハッキリ言って外しまくりです。マニュアルの制作スタッフリストによるとこのゲームの脚本はゲームデザイナー&監督の人が自ら書いてるようですが、もーちょっとまともな脚本家に頼んだ方がよかったのではないでしょうか。御神楽少女探偵団のシステムを発展させた表情豊かにアニメーションするキャラクターグラフィック表示もこれでは宝の持ち腐れとしか言いようがないです。

●ポケステミニゲームについて
 最近発売のPSゲームだけあって、本作もポケットステーションに対応しています。本編と同様にヴォーダンで怪ロボットと戦うという内容ですが、アクション性は無く「歩」、「防」、「攻」、「必」の行動をお互いに決定してその相性で体力を削り合うジャンケンのようなゲームとなっています。
 ゲームとしてつまらなくはないのですがそれほど熱中するような出来ではありませんし、このゲームをいくら頑張っても本編で有利になるわけでもありませんので、私は数回プレイしただけでそのまま放置してしまいました。

●まとめ
 ロボットアクションゲームとしては一流ですが、巨大ロボットストーリーとしては三流です。ゲームのコンセプトが他に類を見ない秀逸なものだけに実に残念ですね。まあストーリーのへっぽこさを差し引いてもゲームとしては十分に面白いと思いますから、巨大ロボットに浪漫を感じる人にはお薦めでしょう。

 次回作があるのであれば、クリア後でいいから出動パートだけを自由に遊べるモードも付けてほしいですね。