北斗の拳 世紀末救世主伝説 | バンダイ | ||
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◆ゲーム概要 | 00/10/26 | PS | 格闘ACT |
199X年、世界は核の炎に包まれた。海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体が絶滅したかに見えた。だが……人類は死滅していなかった!(ナレーション:千葉繁) 暴力の支配する無法の荒野で明日への希望を見失う罪無き弱者達。そんな彼らを救うために一子相伝の暗殺拳を武器に悪党共に立ち向かう一人の男がいた。 胸に七つの傷を持つ男、その名は北斗神拳正統伝承者ケンシロウ! 週刊少年ジャンプに連載されテレビアニメ化もされた人気劇画が3D格闘ゲームとしてプレステで復活。 原作が一番の盛り上がりを見せた世紀末覇者ラオウとの決着までのストーリーを8章に分けて再現した救世主伝説モード、救世主伝説で観たムービーを再生・編集できる世紀末シアターモード、救世主伝説に登場した格闘家達で対戦ができる覇者決定戦モード、襲い来る雑魚敵達を制限時間内で何人爆裂させられるのかを競うミニゲーム「ザ・あべし」の4モードが用意されている。 バンダイHP 北斗の拳コーナー |
★★☆☆☆ ストーリー性 ★★★★☆ キャラクター性 ★★★★★ 快適性 ★★★☆☆ お気に入り度 ★★★★★ ・やりこみ度 救世主伝説クリア。 |
◆コメント | |
●北斗現れるところ乱あり? 北斗の拳のゲームはこれまで多数のハードで発売されて来ましたが、そのほとんどはクソゲーという評価でした。そもそもキャラゲーというのは版権を取得した時点でそれなりの売り上げが見込めますから、原作に何の思い入れの無いメーカーがキャラ人気だけを目当てに制作して原作ファンを裏切るような出来になる場合が多々あったのです。 しかしこのゲームは北斗の拳に異常なまでの思い入れを持ったスタッフによって制作されたようです。その片鱗はゲームのマニュアルにも現れていました。 ・秘伝伝承!(コントローラーの基本操作) ・怒りは肉体を鋼鉄の鎧と化す!(ガード) ・軌跡を刻めー!不屈の魂で蘇れ!(セーブ&コンティニュー) ・北斗神拳で秘孔をクリック!!(HPのurl紹介) これは説明項目章題からの抜粋ですが、これを読んだだけでこのゲームがただ者ではない事が理解出来るのではないでしょうか? ●炸裂!北斗神拳 本作のメインである敵とのバトルはポリゴン格闘ゲームとなっており、フィールド内を360度自由に移動する事が可能です。ただしフィールドを見下ろしている視点は固定で変更ができないので、画面奥や障害物の向こうに回るとかなり戦いづらくなります。 自キャラの操作は方向キーで移動、〇ボタンでジャンプ、×ボタンでパンチ、□ボタンでキックとなっており、レバーやボタンの組み合わせてキャラクター固有の特殊技を出す事ができます。パンチボタンを押し続けるとガードをするのですが入力の関係上必要な時にすぐにガードする事はできない上に正面からの攻撃しか防ぐ事ができず、さらに長時間使い過ぎてガードゲージを使い切ると一定時間ピヨってしまうので使いこなすのはかなり難しいです。プレステのボタンは4つあるんだから、△ボタンをガードに割り振ればかなりマシになったと思うのですが…… 上記の説明を見れば判るように、このゲームは格ゲーとしての出来は大味でそれほど良くありません。しかしこのゲームには北斗神拳ならではのシステムが存在します。敵が攻撃を仕掛けてくる際に一瞬光る事があるのですが、そのタイミングに合わせてこちらの攻撃を命中させれば敵の攻撃を見切って秘孔を突いた事になり、敵の残り体力に関係なく雑魚を一撃で爆死させられるのです。 さらに雑魚敵の中に混じってたまに登場する赤い雑魚敵の攻撃を見切った場合は秘孔入力画面に切り替わり、画面に表示される上下左右の矢印に合わせて7つのボタンを敵のセリフが終わる前に正しく押せば自分自身の体力が回復する上に赤雑魚の爆発に巻き込まれた敵をまとめて倒す事ができます。敵のセリフはやたらに多い上にそれぞれのセリフのどの時点で秘孔コマンドを入力出来たかで悪党の断末魔のセリフが4種類に分岐するので、プレイしていて飽きが来ません。この「リアルタイムあべしシステム」が本作の目玉の一つといっても過言ではないでしょう。 例:「北斗だぁー?コケおどしもいいとこだぜ!」ボス敵と戦う時にも秘孔入力は登場し、ボスに止めを刺すためには敵の体力を0まで削った後で秘孔入力を成功させねばなりません(体力が0になる前に見切りに成功した場合は敵に追加ダメージ)。 秘孔入力のタイミングはステージが進行するにしたがって制限時間が短くなっていくのですが、それぞれの敵に対応した入力パターンは一定なので、反射神経が鈍い人(私だ……)でも何度も繰り返していればそのうち成功する程度の難易度でした。 ●時はまさに世紀末…… 救世主伝説モードはポリゴンキャラの演技で原作を再現するストーリーデモと敵キャラと戦うバトルで構成されています。ポリゴンキャラの造形は他のPSソフトと比較してかなり粗い部類に入り、雑誌やHPの静止画像では似てないように見えるのですが、実際のゲームでは計算され尽くしたキャラクターの動きとテレビアニメでお馴染みの声優さん達の音声の効果で見事に原作の雰囲気を出しています。ゲーム起動時にはクリスタルキングの歌に合わせてポリゴンキャラでテレビ版のオープニングを完全再現するデモが流れるのですが、アニメをそのままムービー化すればいいのに手間隙かけてポリゴンキャラを使うところにスタッフのこだわりを感じます(版権の都合でアニメ版の映像が使えなかったという説もありますが)。 クリア済の章のストーリーデモは世紀末シアターで閲覧できるのですが、ただ再生するだけではなくキャラクターのセリフを適当に入れ換えてオリジナルムービーを制作する事ができます。 例えばレイの妹のアイリの目を治すために秘孔を突くシーンで「お前の命はあと3秒だ」とケンシロウに喋らせるといった具合にオリジナルと全く違う展開にする事が可能で、プレイヤーの発想次第でいくらでもパロディムービーを制作してメモリーカードに保存できるのです。 読者の制作したオリジナルムービーを募集して誌面で発表したゲーム雑誌がいくつかありましたが、優秀作のムービーはどれも世紀末にふさわしい狂った内容のものばかりでした。購入者の中には格闘ゲームよりもオリジナルムービー編集の方にのめり込んだ人もいるとか…… ●まとめ 純粋に格闘ゲームとして見ればかなりの難があるのですが、北斗の拳ファンであれば涙するであろう演出が随所に散りばめられた良質のキャラゲーです。一つの時代を共有した強敵(とも)のみがプレイする資格を持つゲームと言えるでしょう。 ●余談 しかし初回生産版購入者に抽選で当たる特典品がジャギ様のメタル製胸像というのはいくらなんでも暴走し過ぎだと思う(^^;) |