【アルバム名】
HONEYBUNS (ATLANTIC)
【リーダー名】
DUKE PEARSON (1965/5/25,26)
【パーソネル】
JOHNNY COLES (tp) GARNETT BROWN (tb) LES SPANN (fl) JAMES SPAULDING (as)
GEORGE COLEMAN (ts) PEPPER ADAMS (bs) DUKE PEARSON (p) BOB CRANSHAW (b)
MICKEY ROKER (ds)
【収 録 曲】
HONEYBUNS / NEW GIRL / YOU KNOW I CARE / IS THAT SO / OUR LOVE / HEAVY LEGS
【内   容】
運動:体を動かすこと。時の経過により位置を変えること。ある目的のために呼び かけたりすること。
 
現代人の運動不足が取り沙汰されている昨今、何事につけカラダを動かすというの はいいことですね。手軽なところでは学校の運動場を走るとか。息子に「母さん、オレ 、運動場を走るよ!」と言われて、反対する親はおりません。「うん、どうじょ。」と 、笑顔で送り出すことが出来ます。同じ運動でも、学生運動に走ってゲバ棒を振り回さ れたりすると、ちょっと困りますけどね。ちなみに英語では、運動場を走ったりする運 動はスポーツもしくはエクセサイズ、ゲバ棒を振り回すのはキャンペーン、ニュートン の運動方程式の運動はムーブメントまたはモーションと言うようです。ということで本 日のテーマは、火炎瓶カンケーのではないほうの「日本人と運動」。
 
 よく、運動神経がいいとか悪いとか申しますが、はっきり言って私は運動神経と いうのは皆無でございます。短距離を走っても、恐らく10秒は切れないんじゃないで すかね?50メートル走。高跳びなんかも大の苦手で、ベリーロールよりもジェリー・ ロール・モートン、背面跳びよりも這う背位。という人生を送ってきたわけなんですが 、こういう“運動が出来ないコドモ”というのは、得てしていじめられやすいものであ りまして。同じクラスの近藤という女の子は“うんどう”なんてあだ名をつけられてお りましたが、所詮は小学生ですなぁ。オトナだったらやっぱり“ゴム製品”とか?とま あ、それはさておき、運動が苦手でいじめられていた僕が、陸上記録会の選手に推薦さ れるという事態に陥ったのは小学6年生のことでした。うちの学校に市内の小学生が集 まって走ったり跳んだりするという、傍迷惑な催しが開催されることになりまして、ク ラスから何人かが選手としてエントリーすることになったんですけどね。
 
 で、学級会で選手を選ぶことになったんですけどね、だれかスポーツの得意な人 はいませんかぁ?という担任の問いかけに対し、どっかのアホが「いなばくーん!」と 。なんでやねん!と心の中で思いました。私は必死で、「それはね、とんでもないマチ ガイでね、僕を陥れようとする悪の組織がね・・・」ということを担任の先生に目で訴 えようとしたんですが、あいにくその先生はおばさんでした。おばさんだから体育は他 の体育教師が受け持っていて、そのへんの事情には疎いのでありまして。おかげでアホ の言うことを素直に信じてしまい、「いなばくんは、何が得意なんですかぁ?」と。で 、その私を推薦したアホというのが、アホでありながら妙に物怖じしないアホでありま して、突然の質問に一瞬言葉につまったものの、すぐに立ち直って「幅とびー!」と。 口から出まかせやん!と心の中で思いましたが、結局は幅跳びの選手として放課後の練 習に参加させられるハメになってしまいました。グレてやるぅ!と私が思ったのは、こ のときです。
 
 幸いにも私の幅跳びの成績が、凡庸を通り越してあまりにも問題外だったため、 「クラス推薦は何かの間違いだったんだろう。。。」と判断され、すぐにクビになった んですけどね。おかげでグレもせずに立派な大人に成長したわけなんですが、今でも“ 幅とびー”という言葉を耳にすると心の奥のトラウマが疼いて、思わずネカマになった り、汚夢老師になったり、ウマになったりするんだけど、トラウマだけにウマになっち ゃうのは仕方ないことだよね?で、そんな僕がひとつだけ得意にしていた運動がありま して、それは何かというと“縄跳び”でありました。
 
 私は病弱でコンニャク好きな少年でありました。小児喘息で1年生の大半を病欠 しちゃうほど、半ケツ好きな少年でありましたが、そんな私がリハビリ用に始めたのが 縄跳びでした。私は縄跳び自体は好きでもなんでもなかったんですが、失敗してスネに ぴしっ!と縄が当たったときの痛みは、ちょっぴり癖になっちゃうカモ?という感じで 、嫌いではありませんでした。
で、“継続は力なり”という諺はまったくもって正しかったわけでありまして、人 並みはずれて運動神経のない、いわゆる“運痴ぼーい”いなばくんも、縄跳びだけはセ ミプロ級の腕前になりました。腕を前でクロスさせる“あや跳び”だって、1回のジャ ンプで縄をひゅんひゅん!とまわす“二重跳び”だって、なんでもこい。ノーマル跳び なら500回はいけましたね。で、そんな僕が待ち望んでいた日がやってまいりました 。体育の授業で縄跳びのテストが行われることになったんですな。内心、しめた!と思 いましたが、その世界では重鎮である僕は、決してはしゃいだりはしません。「普通で ある。」という風を装い、淡々と跳び始めたのでありました。テストはノーマル跳びで 何回跳べるか?というものでありましたが、1人抜け、2人脱落して・・・と次第に人 数が減っていき、最終的にはクラス随一の“スポーツ万能ボーイ”ケンジ少年と“縄だ けボーイ”いなばくんとの一騎打ちになりました。途中、縄がスネにあたって、あ〜ん ♪となりかけましたが何とかごまかし、ついには時間切れで“両者優勝♪”という栄誉 を勝ち得たのでありました。やったね、いなばくん☆
 
 それからですね、女子児童の僕を見る目が変わったのは。いなばくんって、運動 はぜんぜんダメだと思っていたのに、実は縄のテクニシャンだったのね。素敵っ♪とい うところでしょうかね?下駄箱に「あなたの縄で、私を縛って♪」という手紙が入って いたのも1度や2度ではありません。・・・というような事態を密かに期待してたんで すが、なーんもありませんでしたな、見事に。縄跳びが多少うまくたってモテない。そ の事実を知らされた僕の縄跳びに寄せる熱い思いは、急速に薄れていったのでありまし た。おしまい。
 
 @ さ、デューク・ピアソンです。ブルーノートやジャズラインにわりと硬派な 作品を残したピアソンなんですが、60年代後半になると、かなり怪しくなってまいり ます。ということで、アトランティック盤の『ハニーブンズ』。
 
  ・花井、糞づまり
 
  > いちぢく、プリーズ。
 
何なんですかね?この購買意欲をソソられないジャケは。66年当時のアメリカで は、こういうぎゃるがウケてたんでしょうかね?なんだか、わくわくしながら“すけべ サイト”にアクセスしたら、ぜんぜんタイプじゃない外人のねーちゃんが出てきてしま ったときに似た落胆を感じさせられてしまいますが、メンバーは悪くないです。“デュ ーク・ピアソン・ノネット”と書いてあるとおり九重部屋奏団で、フロントはジョニー ・コールズ、ガーネット・ブラウン、レス・スパン、ジェームス・スポルディング、ジ ョージ・コールマン、ペッパー・アダムス。つまりまあ、ピアソンの作編曲家としての 才能にスポットをあてた作品であると言えるでしょう。んじゃ、1曲目から。
 
 タイトル曲の「ハニーブンズ」は娘の名前にちなんだナンバーだそうです。花井 ブンとか言うんでしょうかね?ピアソンの娘。で、聴いてみれば何とまあ、ベタなジャ ズ・ロック。。。66年当時のアメリカでは、こういうのがウケてたんでしょうかね? ピアソンには「スウィート・ハニー・ビー」という通俗ナンバーがありますが、あれに 輪をかけて第3のツーゾク・コゾクラ風。ちなみにノネットの連中は主にハモり担当で ありまして、ソロがフィーチャーされるのはピアソン以外ではジョニー・コールズだけ です。で、このコールズのソロは“地味なマイルス”みたいで悪くないですね。ピアソ ンのソロも良好なんですが、いかんせん、全体に漂う能天気なムードが聴く者の涙を誘 います。さ、気を取り直して2曲目にまいりましょう。「ニュー・ガール」。これはい いです。よく、畳と女房は新しいほうがいいなんてことを申しますが、ガールだって新 しいほうがいいです。漢字で「乳ガール」と書いても、これまたいいです。「煮湯蛾或 」と全部漢字にしちゃうと、これは今ひとつですね。で、ホーン陣とピアノの“ちょっ としたコール&レスポンス風”に演奏されるテーマがとってもGOODですね。原文ラ イナーには、漂うようなヴォイシングがどうのこうの…と英語で書いてありますが、英 語だから訳が違っているかも知れませんが、確かにそんな感じのメロディです。6管の ハーモニーが見事ですね。才能ありますなぁ、ピアソン。
で、テーマ・アンサンブルに続いてジョニー・コールズのソロになるんですが、こ れがまた抜群に出色の出来で、もう群を抜いて色が出てます。ソロの後半に絡んでくる ホーン・アンサンブルも見事です。アレンジとアドリブの絶妙のバランスって感じぃ? 完成度高し、立花は隆。ソロ2番手はアルトだからジェームス・スポルディングなんで しょうが、彼にしては例外的にオーソドックスで楽しめます。ここでテーマ・アンサン ブルと情事凍るマンの短いソロを挟んで、ピアソンのソロになります。いかにも彼らし い“クールなファンクネス”とでも言うべきプレイが堪能できます。最後にみたびテー マ・アンサンブルがあって、おしまい。たとえ1曲目がノー天気でも、この「乳ガール 」を聴くだけでもこのアルバムを買う価値はあるでしょう。さば、お薦めの1曲です。
 
 3曲目「ユー・ノウ・アイ・ケア」。この曲は他のアルバムにも入ってましたっ けね?レス・スパンのフルートをフィーチャーしたバラードであります。はい4曲目。 ペースが速いですね。解説が手抜きですね。で、4曲目はこれも何かのアルバムに入っ ていたような気がする「イズ・ザット・ソー」です。
 
  ・いつだってそう ひなのはスケベ
 
わざわざ俳句に詠まなくっても、誰だって知ってますね。わりと明るいムードの健 全な歌謡曲です。ちょっぴり哀感も漂っているあたり、さすがはピアソンですね。おー い!はに丸ではこうはまいりません。で、ジョニー・コールズのペットをフィーチャー したアンサンブルでテーマを演奏して、そのあとすぐにピアソンのソロになります。癖 がなくってちょっぴり物足りない気もしますが、それがこの人の持ち味。インテリ系の 人に“ねっとり濃厚プレイ”を求めてはいけません。続くソロはジョージ・コールマン ですかね?ちょっとアルトっぽいトーンで、あまり“らしく”ないんですが、フレージ ングはけっこう変です。はい、5曲目。このアルバムで唯一、ピアソンのオリジナルで はない「アワ・ラブ」。漢字で書くと「泡・裸撫」ですかね?楽しかったソ○プでの思 い出を綴った作品ではないかと思われますが、ホーン・アンサンブルとピアノの絡みが 美しいバラードでございます。サウンド的には60年代風タッド・ダメロンって感じで すかね?ま、ちょっぴり整いすぎて退屈な感じもしますが。
 
 ということで最後は元気にまいりましょう。「ヘヴィ・レッグ」。日本名「太っ といアシ」ですかね?いいですねぇ、太っとい太モモ。太モモが太くなくって、何が太 モモや?という感じなんですが、太っとい“ふくらはぎ”というのもオツなものです。 ただし足首は細くないと駄目です。そんな僕って、ちょっぴりワガママな脚フェチ?と か書いてるうちに演奏はどんどん進んでおりますが、はい、最初っから。ちゃちゃっち ゃー♪と、元気にはじまりますね。テーマはちょっぴり“すけべムード”の漂うメロデ ィでありまして、やっぱりアシはスケベじゃないとねぇ。と、一人で納得してしまいま したが、ソロ先発はスポルディング。必要十分に上ずったヘンなフレージングで、スポ くんらしさを満喫。続くコールマンの“地味なワイルド”とでも言うべき吹きっぷりも よろしいかと。3番手はジョニー:コールズ。“ノリノリで性格もちょっぴり明るくな っちゃったマイルス”みたいなソロを聴かせてくださいます。ときどき絡んでくるホー ン・アンサンブルも見事。で、ソロ4番手はピアソン。“地味にノリノリ”といったと ころですかね?で、最後にテーマ・アンサンブルがあって、おしまい。
 
 以上、ジャケットと1曲目に惑わされてはいけないね。という1枚でありました 。BNとジャズラインのピアソンしか聴いたことのない人も是非是非、欧陽菲菲。


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