尾根を越える時のテクニック

 周囲を山に囲まれてしまった。山を越えるしかルートがない。こういう状況は結構あるものです。そこで知っておくと良いのが尾根越え。簡単な図で説明すると,真ん中の黒い線が山の尾根だと思ってください。それを緑のルートで越えていくものです。簡単そうなのですが,斜面を横向きに走行し,尾根側タイヤが尾根に乗り,車が頂上で安定するまでは結構怖い。

 進入角度が深いと,ジャンプしかねません。尾根に沿ってしばらく平行走行します。できる限り向こう側斜面を確認しながら,尾根の頂上に車を乗り上げます。そして,気持ちの中で少し尾根を車の腹で滑っていきます。そして車の慣性がなくなる前に向こう斜面に下りていくのです。

尾根を疾走するプロドライバー

向こう側から斜面を駆け上がり,こうして尾根を少し走行した後,こちら側に下りてきます。

 言葉で言えば一連の動作でどうってことないのですが,尾根に上がる前に手前に転倒するような気持ちになるわ,無効斜面で車が不安定な状況になりそうな気持ちになるわで,実は結構危険な走行ではあります。私の師匠は「お前にはまだむりだ。もっともっと練習が必要!」と言っていました・・・。

 進入速度が遅いと,山に乗り上げたとたん車が尾根に対して垂直になってしまうことがあります。それまでの慣性が車の腹に直接かかるわけで,大きなショックと共に車が止まります。私はそれでドアをへこませてしまったことがあります。また,斜面を上る際にトルクを失い,あわてて下にハンドルを切るのですが,半分車が浮いてしまったこともあります。ある程度の速度と,斜度の見極め,巧みなハンドリングが要求されます。

 尾根を走ったあとは,下るルートのとりかたがポイントになります。これは車の速度との関わりでその角度を決めるべきだと思います。

 速度が低い場合,斜面に対して垂直に近い角度で下ることになります。

 速度がある程度出ている場合は,斜面を斜めに下りる形になります。斜面の高さは左の写真と同じ程度なのに,ラインがずいぶん斜めなのが分かると思います。

 テクニックとしては決して容易ではないのですが,緊急脱出用としてはぜひ身につけておきたいものです。もちろん写真にあるようなプロたちは,客の悲鳴を楽しむために,豪快なドライビングを見せてくれますが,あくまで何年もの経験に基づいたテクニックであることを忘れてはいけません。師匠は言いました。「頂上ではとにかく周囲を見渡せ。見る目を失うな。」と。自分の腕も見失わないようにしながらも,練習に練習を重ねましょう。