偏った情報で偏った判断

 CNNのサイトで「報復を支持するか」というアンケートがあります。19日午前中の時点での結果は,51%が支持とういものでした。毎日新聞社のサイトにも同じようなアンケートがあります。これの結果は74%が反対です。

 これはおもしろい結果です。要するにメディアが流す情報で,民衆の感覚は狂わせることができるということの立証でしょう。CNNのサイトには「被害者の健全だった時の写真コーナー」なんてものがありました。お涙頂戴作戦です。パレスチナが健全だった頃の特集はいつ組んでもらえるのでしょう。西部劇さながらの「手配写真」を前にした兵士の写真を掲げ,映画のプロモーションさながらの演出です。シュワルツネッガーの映画の公開を延期したらしいのですが,そんな映画は必要ないですね。

 どのメディアもそれぞれの考え方やスタンスを持っています。私が書いているように反米,親イスラムの立場もあります。現在CNNがアメリカ国民の気持ちを高揚させる記事を発信するのも当然かもしれません。しかしその「戦争突入の意識の高揚」のあおりが,筋道の通らない,見当違いの戦争を引き起こそうとしていると言っても過言ではないでしょう。戦前の日本では軍部による意識操作がありました。あの当時の国際状況を考えると,仕方のないことなのかもしれません。しかしそのつけは大きかった。日本は骨抜きにされてしまったのです。

 メディアがあおり,国民が偏った判断をして引き起こす戦争のつけは大きいですよ。アメリカ人がつけをつけと感じられるかどうかは別として。

 以前日本のニュース番組でこんな実験をしていました。港近くの洒落たレストラン街をカメラは写しています。そしてアナウンサーは「おしゃれな地域です。しかしこのままカメラを横に向けてみましょう。すると,実はこんなに雑然とした地域だったのです。この地域を美しく最先端の地域だと紹介しようと思えば簡単です。カメラをさっきの位置に固定しておけばよいのですから。これがカメラのトリックです。」と解説していた。

 私たちはどのカメラの位置で,この事件を見ているのでしょう。

 

またもやショーと化している「戦争」

 ニューヨークの公園ではベトナム戦争以来の「思想を持った」集会が開かれているらしい。そこではベトナム戦争の時には反戦ムードで一杯だったのが,好戦,反戦入り乱れての議論があるということです。各国政府がすることもできない議論を一般市民がすることはよいことだと思います。その声を政府は聞く耳を持っていないが。そしてその集会をも含めた大規模な戦争ショーを始めようとしています。タイトルは「無限の正義」。

 舞台は,またもやアメリカ本土ではありません。自分の領地とは遠く遠く離れた中東,アジア。今回のショーのプロモーションは「自国領土での事件」という派手な演出を伴っています。前回のショーはテレビゲームさながらの空爆の映像が多かった。戦場でのアメリカ兵が腕につけている某時計メーカーの時計が爆発的に売れた。「戦争にも耐えられるタフな時計!」です。

 今回はベトナム戦争にもまして泥沼化の予想があります。「敵」は岩陰に潜み,地理に長じ,訓練も積んでいます。ヒーローは仲間の死に涙ぐみながらもたくましく武器を集め,軍備を整え,もう敵の言葉には耳も貸さずに突進を決めます。状況は困難なことが分かっていても,「正義を守るため」には弱気になってはいけません。でも一人で突っ込んで負けてしまった場合,逆に自分が悪者になってしまうかもしれません。ぬかりなく友達には連絡をしています。少し弱気になっている友達にははっぱをかけています。このヒーローを見ている国のみんなは,少しやりすぎではという声もありながらも,たくさんの旗を振りかざして応援しています。「やっつけてしまえ!」「俺たちの平和な街を取り返せ!」「悪は死んでしまえ!」という声が響いています。さあ,第2幕では・・・。

 今回は,アメリカ国民はどんな映像を見て喚起の声を上げるのでしょう。岩場にてこずりながらも深く潜入を試みる突撃精鋭部隊の映像でしょうか。波をかきわけながらたくましく進んでいく空母でしょうか。体を揺らしながらぶっ飛んでいくF16戦闘機でしょうか。それとも,泣き叫びながら爆発から逃げるアフガニスタンの子どもたちの映像でしょうか。いや,これはアメリカ国民を冷静にさせるから,メディアは放映しないな。観客が減ってはショーは成り立ちません。客を惹きつけるだけの魅力を持った演出が必要です。アメリカはハデで強そうなのが好きだから,もっと爆弾やミサイルが必要ですね。議会は承認しているから,火薬の量はOK。

 自分の国から離れた世界で,誰が死のうと,何人死のうと,関係ないのでしょう。旗を振りながら「報復」を応援しているアメリカ国民を満足させるにはもっと多くの殺戮が必要ですから。そしてテレビでその映像を見て,喜びたいのでしょう。「ビルの中にまだいるかもしれない,私の友達を探して」と涙する人も,アフガニスタンへの爆撃,殺戮での大勢の人の死には喜びの声をあげるのでしょうかねえ。

 本当にラディン氏やアフガニスタンを攻撃していいんでしょうか。

 本当に殺戮部隊への補給を日の丸を揚げて応援していていいんでしょうか。

 日本もショーのパンフレットの隅に,名前を載せてもらいたいのでしょうねえ。

 

これで本当に納得できるのでしょうか

アメリカ大統領ブッシュは次のような要旨の演説をしたそうです。

 一、報復軍事作戦などに400億ドルの支出を認めてくれた議会に感謝する。9月11日、自由の敵は我が国に戦争を始めた。米国の領土が攻撃されたのは1941年以来だ。

 一、数千人の一般市民の命を奪ったのは、アルカイダというテログループだ。彼らの目的は極端な考えを世界の人々に押し付けることだ。指導者はウサマ・ビンラディンである。

 一、米国は次のことをタリバンに要求する。アルカイダの指導層を米国に引き渡すこと。米国人を含む投獄されている外国人全員の釈放。テロリストの訓練キャンプを閉鎖し、米国に立ち入り調査をさせることだ。

 一、これはイスラム世界との戦いではない。敵はテロリストの組織であり、それを支援する政府もまた敵だ。テロの世界ネットワークを打ち破るために外交、司法、金融での影響力など、あらゆる力、武器を使う。テロリストに安息の場はない。各国は米国の側につくのか、テロリストの側か、選択しなければならない。

 一、この戦いは世界の自由にとっての戦いなのだ。私はすべての人が参加することを望みたい。そして我々はこれから、長い旅に出たいと思う。これは「自由対恐怖」「正義対残虐」の戦いだ。この戦いは常に行われてきた。勝利は必ずやって来ると確信し、行動しよう。

 また,「裁きがなされるだろう」と自分が裁判官のような発言をし,各国に対し「我々につくか,テロリスト側につくかどちらなのか」と極端に狭い選択肢を押し付けています。まるで世界の王様気取りです。これでは自分の「自由」な意思に基づいて「自由」な判断もできそうもありません。アメリカ国内での反戦集会もブッシュには「テロリスト側についた「残虐者」と見えるのでしょうねえ。

 またもやいくつもの疑問を感じます。

○アルカイダを犯人グループとし,それを指導しているのがラディン氏であるとする根拠は一体何なのでしょう。

○アルカイダが持っている極端な考えとは何なのでしょう。

○「極端な考え」を世界に押し付けることとは,一体何のことを言っているのでしょう。

○テロリストのキャンプの調査は,どうして国連ではなくアメリカなのでしょう。

○「世界の自由にとっての戦い」とはどんな意味なのでしょう。「自由」とは何のことを言っているのか,この矛盾した演説からは何も分かりません。

○全ての人が参加とは,世界中の人にアメリカが戦争を起こそうとしていることを認めろといっているのでしょうか。

○「自由対恐怖」「正義対残虐」という意味がさっぱり分かりません。アメリカ軍が自国に駐留することを恐れ,アメリカ軍が自国内で残虐なことをしても手が出せない国もあるというのに。この演説からはブッシュへの不信感しか感じられません。

○勝利とはどうなることをイメージしているのでしょう。

 この演説で心を躍らせ,戦争勃発を応援する人間が何人,何千人,何万人といるかと思うと,地球の寿命より先に自殺するようなものですね。理論も筋道も感じないし,説明も不足しています。こんな程度の演説なら,小学生でも書けそうです。格好をつけた言葉を並べただけですから。中身も何もない。アメリカとはこんな人物に国の行き先を任せ,こんなものに踊らされる国だったのですね。そこに憧れ留学していく不幸な世界中の若者は,何に憧れるのでしょう。

 やはり世も末です。新世紀なんですが,世紀末ですね。

 

素朴な疑問への答えは誰がだしてくれるのでしょう

 20日付けのガルフニュース(UAE)のサイトには,元パイロットという人の話しということで,次のようにありました。

「あのようなフライトは小型機の操縦を覚えた程度の人間にできることではない。200トンもの機体を簡単に操縦できない。相当の飛行経験が必要である。飛行機のリモート操縦等を地上から行うことなら,まだ考えられる。」

 つまり,飛行機訓練を受けた人間が犯人だとされているけれど,そうではなく,だれかのリモート操縦ではないか,というものです。

 こういう疑問に対して「こういうことだ」「その通りだ」「いやこういう根拠で違う」と答えてくれるのは誰なのでしょう。他にもいくつかの疑問があります。だれも答えてはくれないだろうし,答えるとまずいのもあるのでしょうね。

○アラビア語で書かれた操縦マニュアルというのも変。通常は英語記述ではないのか。

○実行犯リストの中の少なくとも3人は事故当時,外国にいたことが判明ししている。これは同姓同名なのか,間違いなのか,それともなにか。

○実行犯リストの中の名前の中には,日本滞在経験もある,身元がはっきりしてい人もいる。「実行犯」と断定して書いている理由はなにか。

○民間機爆撃の命令をアメリカ大統領は出している。ピッツバーグに落ちた飛行機は,アメリカ戦闘機が爆撃したのではないか。

○どうして事件発生後1日や2日程度で,ラディン氏が容疑者として名前が挙がるのか。その間にどんな捜査をして,どんな証拠を持っていたのか。

○飛行機がリモート操縦された可能性はないのか。それに対する捜査は進められているのか。

○犯人がアメリカ人であるという可能性はないのか。それに対する捜査は進められているのか。

○どうしてイスラエルの多くの(ほとんどの)人間は当日出社していないのか。

○事件当日,アメリカ要人はワシントンを離れていたのはどうしてか。

○ホワイトハウスへの激突がなかったのは,飛行機の操縦ミスではなく,最初から計画されていたのではないか。WTCには外国人が多い。国防省は国民へのショックが大きい。ホワイトハウスは,狙われていた,というだけでも感情の高ぶりを生みやすい。

○本当はイラクをつぶしたいのではないのか。

○今回同盟国の関係の強化をやけに図るのは,中東攻撃の際,反対意見を出さないようにするためではないのか。

○国連もNATOも実質的にアメリカが左右できる組織ではないのか。

○イスラエルがパレスチナへの攻撃の手を止めたのは,アメリカが「それどころではないから,ちょっと待ってろ」と言ったのではないか。

○沖縄の米軍基地は6月から動きが活発になっている。やはりアメリカは今回のことを知っていたか仕組んだのではないか。

○ラディン氏を衛星で追いかける技術がある国なのに,何時間もルートをはずれた飛行機への対処がほとんどなされていないのはなぜか。

○誤認逮捕等がいくつも出てきているが,謝罪や反省の言葉が少ない(ほとんどない)のはなぜか。

○6月頃にカタールでは,アメリカ軍が入り大使館が撤退している。これはなぜか。今回の作戦の準備ではないのか。

○アメリカ航空産業界のリストラが発表されていますが,人員削減は長い経営努力の上,最終手段として行われるものではないのでしょうか。今回のテロと関係あるかのような報道はどうしてなのでしょう。

 今思いつくのはこんな所ですが,少しでも疑問が解けるといいなと思います。でのアメリカが言うことは信用できないので,何を言われてもだめかもしれませんが。

 

肉を切らせて・・・

  ブッシュ大統領の議会演説での「文明国は、次は彼らの町がテロの標的になり得ることを理解している」という言葉,報復活動を十字軍に例えた態度,そして次には「米国の敵はイスラムでもアラブでもなく、過激派テロ組織と、それを支援する全国家だ」と言っています。

 世界史の本を学校で読んだことがある人間なら,十字軍の遠征がイスラムの国々への侵略行為であったことを知っているでしょう。つまり,ブッシュ大統領の本音は「イスラムたたき」なのです。

 イラクへの爆撃をしました。「今回のテロとは関係ない」といいながら,その根拠がはっきりしません。つまりこれは,けんかをしかけているテロ行為です。アメリカのテロ行為への報復をねらっているのではないでしょうか。イラクが怒って仕返しをしようとすれば,それこそアメリカが戦争を引き起こす格好の材料となる。ブッシュはイスラム世界も包囲網に加わるよう呼びかけています。つまり,イスラムの中で分裂を起こさせるのがねらい。そうすれば,アラブをアメリカの植民地にできるからです。歴史の中で恩義を背負わせた経緯があるためか,堂々とアラブ世界にアメリカ軍を駐留させ,今回も出撃体制を整えています。つまりブッシュが言う敵とは,イスラムそのものであり,ねらいはアラブ世界の混乱です。そうすればほぼ完璧にアメリカによる世界制覇ができ,世界をコントロールできると考えているのではないでしょうか。

 事件の本当の首謀者はだれか,ということが消えてきているようです。今ラディンを殺し,アフガニスタンを壊滅させることが,本当に正等であるかのように見えますが,それが一番大事なのに,一番はっきりしていないところです。大きくきれいな言葉で,視点をずらそうとしています。

 事件(何度も言うように,知っていたか,仕組んだと思われる)で犠牲者を出したことを大義名分として,アメリカの世界侵略活動が進められていると考えられます。本当に,今だまっていていいのでしょうか。

 きっと今回の戦争で亡くなる方に対しても「世界の正義のために必要な犠牲であった。彼らの誠意ある貢献の上に,全世界の平和は保たれ,悪を断ち切ることができた。彼らはアメリカおよび全世界の英雄である。心からお悔やみを申し上げると共に,今後彼らの死を無駄にしないように,全世界がアメリカと共に歩むことを願っている。」と演説して終わりでしょう。「全てはアメリカの手の中に落ちた。はむかう奴はまた叩くだけ。そのためなら,何人でも殺すぜ。」という本音は隠したまま。

 

何を大事にしているのでしょう」 

 ブッシュ大統領は,議会演説で「米国は多くの国,国際機関が親しみと支援で応じてくれたことをうれしく思う。中南米からアジア,アフリカ,欧州,イスラム世界の国々だ。」と語っています。その反面,世論調査会社ギャラップによると,米軍による大規模な武力報復の是非についての調査では欧州や南米などでは8割から9割が武力行使よりもテロの容疑者の身柄引き渡しと裁判を求めていることが明らかになったとあります。またNATO加盟国の中で支持が比較的高かったフランスやオランダでさえ3割弱にとどまっていると発表しています。逆に指示が77%と高かったのはイスラエル,米国国内では54%となっている。


 これはどういうことでしょう。ブッシュ大統領の言う「多くの国」とは,「民」を言っているのではなさそうです。国民の意思とは遠い所で判断がなされ,戦争を引き起こそうとしています。これが政治というものなのでしょうか。「お前は素人のくせに何が分かる。」といわれればそれまでですが,大統領が何を根拠にああいった発言をしているのか,さっぱり,さっぱり分かりません。各国の国民の声を無視して,それが政治だと言われればもう政治に期待することは不可能でしょう。


 民衆の声を無視した政治を続け,民衆の期待を裏切り続け,最終的には暴力で解決を図ろうとするならば,それこそ封建社会の再来です。さらに今回は民衆をだまそうとやっきになっている。ナチです。地下組織が生まれ,政府とは関係ないところで自治を行おうとする。自分たちの声を聞かないならば,自分たちの思想や行動の自由は自分たちで作らなければならない。政府は自分の都合に合わないから,難癖をつけてそれを崩壊させようとやっきになる。結局,その繰り返しです。ブッシュ大統領は「文明」という言葉をよく使いますが,この今の状態が「文明」だとは全く感じられません。


 テロ行為を容認する気もないし,人が殺されることをよしとするわけもありません。しかし,ブッシュに代表されるような政治のやりかたや,今のアメリカの行為がテロを生み出す要因であることは簡単に分かります。だれだって話も聞いてもらえず,勝手に口出しされたり,規制を加えられたり,圧力ばかりかけられていたら「切れる」でしょ。いじめる相手にけんかしても勝てなければ,靴の中に画鋲を入れることは,一体どちらが悪いのでしょう。もし先生ならば,どう指導しますか。やはり靴の中に画鋲を入れられた側に立って,「やったかもしれない者」に出て来いと呼び出しをかけて,そのままその生徒を殺してしまいますか。
 


ブッシュ大統領の演説に関わっての疑問

○自由の防衛に立ち上がる(called to defend freedom)・・・とは何のことですか。とにかく彼の言う「自由」の意味が不明。
○我々が敵に裁きをかけ,敵に正義を知らしめれば,正義は実現される。・・・またまた得意の「正義」。これまた意味不明。正義とはけんかにつよい者の言い分ですか?どうしてアメリカが裁判ができるのですか?

○自由そのものが攻撃される世界になっていた。・・・???意味不明です。

○我々が集めた証拠のすべてが「アルカイダ」と呼ばれる,ゆるやかに連携したテロリスト組織の集団を指している。・・・だから,証拠は何なのですか。どうしてアルカイダを犯人扱いするのですか。だれも知らないのに,知っているような気になっている,一番の問題点です。これを既成事実にしてしまってはいけません。

○支配地域に身を隠すアルカイダのすべての指導者を米当局に渡すすこと・・・どうしてアメリカなのですか?どうして国連を無視するのでしょう。今回の被害が世界だと言うなら,アメリカではなく,ますます国連でしょう。

○テロリスト訓練キャンプに米国が立ち入り,閉鎖を確認できるようにすること。・・・国連を無視してはいけません。アメリカの「俺が,俺が」という態度が世界中で嫌われていることに,いつになったら気づくのでしょう。

○どうして我々を憎むのか?彼らはこの議場に集まった我々,つまり民主的に選ばれた政府を憎むのだ。彼らは自分たちで勝手に指導者と名乗っているに過ぎない。彼らは,我々の自由を憎むのだ。我々の信仰の自由,言論の自由,投票や結社,異なる意見を持つ自由を。・・・全然答えになっていません。彼らとの会話も拒むブッシュに,どうしてテロにアメリカが憎まれるかは,100年たっても分からないでしょう。だれが,政府や信仰の自由を憎んでいると言ったのですか。ここがアメリカがわざと分析せず,大きくごまかしをしている点ではないでしょうか。分析などしなくても,アメリカが世界から憎まれる理由はいくらでもあります。それら全てにふたをして,話の筋道を横にそらしています。そしてアメリカ国民は絵に描いたようにだまされています。

○我々につくか,テロリストにつくか・・・前にも書きましたように,こういう極論では話になりません。一国の指導者が発言する内容ではないでしょう。

○これは世界の戦いだ。文明の戦いだ。進歩,多様さ,寛容,自由を信じるすべての人の戦いだ。・・・意味不明です。世界を上から見下ろす態度に見えます。勝手に同盟国だ,仲間だ,だから俺の苦しみは君の苦しみでもあるはずだ,とわめいています。イギリスでのテロはアメリカのテロとして対処したんでしょうか。地下鉄サリン事件も文明の戦いとしてアメリカは軍を差し向けたのでしょうか。もちろん,アメリカが同胞面して口をはさんでほしくはありません。一つでも多くの国を巻き込んで,連帯責任にしようとする姿勢が感じられます。

○文明世界は米国側に結集している。・・・事件が発生するやいなや,あちこちの国に対して「なっ,味方だろ。攻撃にあったアメリカの味方だろ。これからの俺に力を貸すよな」と声をかけまくったことを言っているのでしょうか。

 言葉の端々にあふれる映画の台詞のような奇麗事,演説中の高揚した顔・・・。周囲が見えなくなっているファシストにはもう誰も何も言えないのでしょうか。

 

UAEはタリバン政権との断交を発表しました

 これが外交というものなのでしょうね。UAEは本日,タリバン政権との断交を発表しました。アメリカからタリバン政権を認めている政府はぶっ潰すと言われたからでしょう。演説でも言っています。「我々の敵は,過激なテロリストのネットワークであり,彼らを支援するすべての政府なのだ。」UAEが「これはうちのことかなあ」と思うのは当然でしょう。UAEなどという開国30年の歴史しかない小国は,たかだか200年ではあるけれど,世界の王様面しているアメリカには勝てません。まともに話し合いもできないでしょう。サウジアラビアはUAEの発表を通して,イスラム各国の反応を見ているようです。そりゃそうでしょう。イスラム圏分裂の危機ですから。アメリカの朋友を名乗るイギリスはイラクにささやいていますし,とにかく,イスラムの西欧寄りを増やそうとやっきになっていますから。

 こと対米関係ではイラク,シリアといった強硬派がいます。エジプト,サウジといった穏健派がいます。いろいろなスタンスで関係を保ってきました。そこに亀裂を生じさせようというのが,ねらいでしょう。これが,最終的なアメリカの目的であるように感じます。

 パキスタンがアメリカに強調姿勢を見せたのは,インドが先に協力を申し出たからです。インドにアメリカからの金が流れては,カシミールで勝ち目がなくなるからです。パキスタンも金が必要。だからアメリカに寄るしかない。よろうとすればつきはなす。もっと苦しみたいかといじめる。国民はそんなアメリカの態度が気に入らないから反対する。政府はそうは言っていられない。板ばさみです。

 イスラム各国を板ばさみにし,援助という名のもと金をちらつかせ,まるで汚職選挙のよう。焦燥,疑心・・・そういったものを巧みに利用した分裂作戦でしょう。演説の中にこうあります。「我々はテロリストたちの資金源を絶ち,互いに対立させ,隠れ家もなく,休息もとれないように追い回す」と。これはまさにイスラム諸国に対しての行動の説明であるかのようです。

 ブッシュ大統領の演説の一部を,ブッシュ大統領に対してそのまま返したいと思います。

「アメリカは,20世紀に起こったすべての殺人的なイデオロギーの継承者なのだ。自らの過激な目的を達成するために人命をぎせいにし,権力を獲得する意思以外は,すべての価値を放棄したアメリカは,ファシズムやナチズム,全体主義の道を歩もうとしている。アメリカがたどりつこうとしているその道の終わりには,歴史に刻まれた,見捨てられたうその,墓標無き墓場が待っている。」

 

インドやパキスタンに金をちらつかせ,アフガニスタンの人をUAEから追い出しました。

 インドやパキスタンに対し「核を持つから」という理由で行われていた経済措置が解除されました。つまり,今回アメリカに協力しようとしているから,金をあげよう,というものです。つまり,インドやパキスタンには「核を作っていいよ」と言っているのです。きっと次は「アメリカには技術や資源があるから,うちから買うといいよ」と持ちかけるのではないでしょうか。そうすればアメリカ軍需産業は潤いますし。

 パキスタン政府としては板ばさみです。余りにも金がない今,アメリカがちらつかせる金は再建のために欲しいと思うでしょう。しかし国民の反米意識はあまりにも高い。その国民の気持ちが分からないでもないはずです。

 こうやって他の国を揺さぶって,何がおもしろいのでしょう。自国の「自由」や「文明」のために,他国をもてあそぶ態度は許しがたく思います。

 また,UAEのタリバン政権断交により,アブダビのアフガニスタン大使館がクローズしました。大使館がクローズと言うことは,アブダビのアフガニスタンの人は,ここにいられないということです。一月に数百ディルハム(2万円程度)の金をかせぎ,国に仕送りをし,50度の気温の下でも働いていたおじちゃんたちは,行き先を失います。どこへ行けというのでしょう。UAE政府が悪いのではありません。弱いものいじめの結果です。脅迫を受けた人間を非難するわけにはいきません。

 とにかくやり方が汚い。これが先進国の外交というものなのですか。これまで繰り返されてきた悲惨な歴史から,人間は何を学んだのでしょう。

 イスラエルからは,テロの犯人はイラクにあり,レバノン人,エジプト人が首謀者という情報が入っているようです。またもやかく乱ですね。アメリカはどう対応するのでしょう。無視しますか。アメリカに守られていると思っている国も,早くアメリカに利用されているだけだと気づく必要があります。いざとなったらどの国も捨て札ですよ。かれらにとっては。

 

人の道としての活動を」  

 自衛隊がパキスタン方面に赴き,救護活動をしてはどうかという話があったように思います。国連はアフガニスタンに小麦を送り,毎日新聞のサイトのトップには日の丸がついた小麦の袋を運ぶレイバーさんの写真が載せられています。「危機に瀕するアフガニスタンを救おう!」というものでしょうか。

 確かにアフガニスタンは危機です。アメリカが爆弾を落とそうとしていることが明白だからです。難民も増え,国家は確実に混乱するでしょう。行き場を失う者,命を亡くすものも多数出るでしょう。だから,少しでも食料を送り,助けようとするものです。

 人道的に見えるこの行為,本当はちょっとおかしくないですか。私には,小麦の袋についた日の丸が,非常に汚く見えました。「どうだ,私は難民を救うことができる力を持っているのだ。この日の丸を忘れるなよ。目に焼き付けておけよ」と語っているようでした。レイバさんの目には,そんなもの写っていないのに。

 食料がどうしてもない。だから,援助できる力を持っている国が援助する。これは人道的なものでしょう。苦しむ人がいる限り,援助する力がある限り,続けるべきです。どんな圧力を受けても,どんな外交関係であってもです。日の丸も何もいらない。中の小麦に毒が入っていないという証明だけつけて送ればよいのです。

 おかしいのは,今はアフガニスタンに援助をしていることを声高々と言うのではなく,罪のないアフガニスタンを攻撃目標にしているアメリカを非難するべきなのに,していないことです。「俺はアフガニスタンへの攻撃を認め,応援する。でもアフガニスタンの民はかわいそうだから,小麦を送る。」何やっているんですか。これは。本気でアフガニスタンのことも,事件の本質も見ていない態度です。全く意味不明です。どうして援助が必要な国に戦闘機を何百機向かわせる国を応援しているんですか。

 自衛隊の救護活動は,もちろん人種,国籍,兵士,国民だれをも問わずの活動なのでしょうね。タリバンだろうと,ラディン氏だろうと,アメリカ兵だろうと,アフガニスタンの国民だろうと,パキスタンの国民だろうと,傷ついていたら手当てをし,回復に向けて全力を尽くし,温かく迎えるということなのでしょうね。日の丸も,何もいらない。そこが救護場所であることさえはっきり分かる旗を立てればいいのです。

 人としての道は国を超え,主義を超え,宗教も国益も何もないところで歩まれるものだと思うのです。日本が相変わらず「世界から疎外視されることを恐れている」と新聞に書かれるのも当然でしょう。今の日本がやっていることは,だれのためにもなっていないからです。本当に目を向けるところに目を向けていないからです。

 小泉首相はいつパレスチナに来るのですか?いつアフガニスタンに入るのですか?いつ何を根拠にしてアメリカの態度を賞賛し賛同するのかをはっきり示すのですか?本当に人の道ですか?